フランスで山歩き

仏リヨン在住、40歳を過ぎて再び山に目覚めた元ワンゲル部員。週末になるといそいそと山に出かけています。

南仏・カランク国立公園 第一弾

フランスに全部で10あるうちの国立公園(うち7つが本土に、3つはレユニオン島などの海外県に)のうち2012年に指定された最も新しいのがカランク国立公園です。
カランクとは地中海沿岸に見られる石灰質の真っ白な岸壁が複雑な形に入り組んだ地形のことで、マルセイユとカシの間にあるものが国立公園になっています。入り江には観光船で来ることができ、海岸の岩場ではハイキングやクライミングを楽しむことができます。
古い話で申し訳ないのですが、昨年の春に2度カランクに行きました。1度は子供たちと、もう1度はひとりでです。
大きく分けて「マルセイユ側のカランク」と「カシ側のカランク」とになりますが、子供たちと来たのはカシ側のカランクの方です。


普段ハイキングに行く山とは全く違う空気、景色に3人とも魅了されっぱなしでした。
カシは風光明媚な港町でホテルが少し高め。民宿は少し離れたところにしかありません。カシとマルセイユを結ぶ県道559番線上にひとつだけあるホテル、これがカランクからとても近くてしかも安かったので迷わずここを予約しました。


うちから約350キロ、高速のサービスエリアでの1度の休憩を含め3時間半の道のりでした。ホテルの駐車場に車を置いて準備を整え歩き出したのは9時30分です。
ホテルの裏側に小径があり、ここから30分歩くとメインハイキングコースのひとつにぶつかります。車でもっとメインコースに近いところまで行って駐車することもできたのですが、せっかくなのでホテルから直接歩くことにしました。


ミストラル(南仏特有の北風)が少し冷たいものの、青々と茂った常緑樹が初夏を思わせます。この10日前には雪景色の山の中を歩いたばかりだったので、まるで別世界に来たかのようです。そしてこの10日後にはまだ雪のたっぷり残るボーフォータンでスノーシューをしました(^^;)


日差しが強く、歩いていると早速汗ばんできました。
簡単に言うと、海に向かって歩きます。アップダウンがかなりあります。


あっ…。ガサガサっと音がしたので振り向くとイノシシが!
フランスでイノシシを見かけたのは初めてです。


暑さに弱い次男がバテ気味だったこともあり結構時間がかかってしまいました。2時間弱でこの見晴らしの良いところまでやってきました。


いつもは一緒に山に行っても写真は頂上で少し撮るくらいの子供たちですが、普段見慣れない沿岸部の絶景の連続でこの日は撮りまくりでした。


あっ、これは・・・


今日の第一目的地である有名なカランクのひとつ、カランク・ダン・ヴォー(Calanque d'en Vau)です。


周辺で写真を撮っていたオランダ人カップルのハイキング客に1枚撮ってもらいました。カランクは有名なので外国人にも人気があります。


休憩にちょうどいい広い場所がありました。
遠くに浮かんでいるのはリウ島(île de Riou)。


まだ12時になっていないけどみんなお腹が空いていたのでお昼ご飯にします。


至るところにローズマリーが群生しており、いかにも南仏に来た気分になります。


さて、お昼休憩のあとは少し山側に戻り、西(マルセイユ側)へ向かいます。このエリアに東西を結ぶハイキング道は平行して3つあるのですが、もちろん一番海に近い道を歩きます。周回するので帰りには一番山側の道を通って帰るつもりです。


好奇心からハイキングコースから逸れて海側に向かってみたら、こんな怖いことになっていました。一応ここから海へ下りられるみたいですが、ほとんどクライミングですね。


ハイキング道に戻ってきました。いちいち海を覗きに行きます(^^;


そんなに標高が高い場所はない代わりにアップダウンはたくさんあります。


わたしの好きなよじ登り系だらけです。


上っては下り・・・を繰り返します。これは来た方向を振り返った景色。


子供たちも黙々と登ってきます。


この辺りはドゥヴァンソン岸壁と呼ばれる場所で、その先に飛び出して見えているのがモルジウ岬。今回は岬まで行く時間はないのでその手前で周回のため右側(山側)に方向を変えます。



これがあちこちで咲いてました。ハマナスかと思ったんですけど、葉っぱが違う・・・
気になって今調べたら、「シスト・コトヌー」、英語でロック・ローズ(岩場のバラ)と呼ばれるハンニチバナ科の花でした。


尖がってるのは、グランド・キャンデル。クライミングする人に人気があります。
この地点から次第に海から離れていきます。北側にしばらく上りの道を歩いたのち今日これまで歩いた海沿いの道と並行する形のハイキング道を通って出発地点に戻る予定です。


海沿いとはまた全然違ったタイプの山道です。いかにも南仏っぽい乾いた土地です。


だいぶ上ってきました。今日は行かれなかったモルジウ岬が小さくなっていきます。


だいぶ高いところまで上って来たのでまた見晴らしが良くなりました。そんな感じはしないのですが地図上ではここは稜線ということになるらしくて「レストレ稜線(Crête de l'Estret)」と載っており、このハイキング道は主にその稜線上ということになります。


午後4時過ぎ。朝からもうかなり歩いています。


すごいケルンがありましたΣ(´∀`;)


風がものすごく強かったです。稜線だけある・・(^^;


稜線コースを通って出発地点にしたホテルの駐車場に戻ったのは18時30分。まさに1日中歩いたことになりみんなそれなりに疲れましたが、青空に映える真っ白な断崖絶壁、適度な岩登りととっても充実したハイキングになりました。しょっちゅう出る「長すぎる。しんどい」という苦情(特に次男)も今回は全く出る気配さえありませんでした。


最後に1枚・・・
子供たちが休憩している間にわたしだけ小高い岩場にちょっと登ってみました。
「ね~、お母さんさ、ちょっとあそこ登りたいんだけど、僕たちも来る?」「・・・いらん~。待ってる。」・・・ハイキング中に幾度となく繰り返される会話です(^^;
子供が自分の携帯で写真を撮ってくれていました。


元々2日間カランクを歩くつもりで1泊で来たのですが、1日でかなり満喫できたし、翌日ちょっと天気が良くなさそうだったのでこの辺りよりも良い予報がでていた少し北方面、アルデーシュ川の峡谷へ行くことにしました。
その時の様子はまた別の機会に書くかもしれませんが、その1か月後にひとりでカランクに舞い戻って来たので、次回の記事はカランク第2弾を優先したいと思います。今度はマルセイユ側のカランクです!

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