フランスで山歩き

仏リヨン在住、40歳を過ぎて再び山に目覚めた元ワンゲル部員。週末になるといそいそと山に出かけています。

氷河の麓の山小屋に一泊

子供たちと先週2泊でエクラン国立公園の北部をハイキングしてきました。2泊目に泊まるのはクロ・デ・キャヴァル氷河の麓にあるパヴェ山小屋(Refuge du Pavé 標高2841m)です。氷河湖であるパヴェ湖がすぐ隣にあります。


えらい質素な造りの建物です。ドアや窓も隙間だらけだし・・・避難小屋でももっとましなとこいっぱいあります(◎_◎;)
予約しようと電話した時はもう一つ下の別の山小屋(1泊目したとこ)に繋がり、「上の山小屋は今電話が不通なんですよ、電気がなくってね」太陽光パネルはあるもののほとんどストックできないらしく少しでも天気の悪い日が続くともうアウトらしい…管理人さんの話では2年後に改装される予定なので、それまでは電気をストックするシステムも他の工事も予算が出ないらしいです。
まあわたし達は1泊するだけだから掘っ立て小屋ぶりも楽しくていいですが♪(;´∀`)


管理人さんスペース。台所兼事務所。一番奥が物置兼寝床でした。


こちらが建物の大半を占める宿泊客用寝室です。26人寝られるそうです。


細長い寝室にはふたつドアがあり、そのうちひとつを開けた風景。


そのドアですけども、ちゃんと閉めてもこのように隙間が結構あります(~_~;) 夜寒いんじゃないの??と不安がよぎります。


そのドアから出てみた風景。先で開いてるドアがメインの出入り口(食堂スペースのドア)です。


トイレはもちろん屋外です(;´Д`) 小屋から少し下りたところになります。
水は近くの川から直接ホースで引っ張ってきた水で、常に流れています。
これを見た子供たちが言いました「僕、夕方以降あんまり水飲まないようにする・・・」夜中トイレに行こうとして滑落、は避けたい事態です。


そして水場はこれです(;'∀') トイレに水を取り込んでいるのと同じホースですがトイレの直前に蛇口が取り付けられています。歯を磨いたり顔を洗ったり飲み水を汲むのもいちいち勇気が要ります。


ベッドメイキングをする子供たち。毛布はありますが、シーツの持参を義務付けられています。
小屋に到着してすぐに管理人さんに明日の予定を聞かれました。アルピニストがほとんどの山小屋らしいのですが、このように細長いので行動を始める時間が遅い人たちから奥のベッドになるようです。わたしたちは「明日はのんびり下山するだけ」と答えたので一番奥になりました。ただしわたしは朝日を見るために6時くらいには一度外に出ると思います、とも付け加えておきました。


寝床の準備ができたので湖の方まで散策しに行くことにしました。


山小屋と湖の間のごつごつした岩のエリア。


小屋から湖はすぐです。


子供たちはこの湖が思いのほか気に入ったようです。畔で結構な時間それぞれに黄昏ていました。次男は黄昏過ぎて注意散漫になり両足をドポンと水に浸けてしまい靴下を替えに先に山小屋に帰っていきました(;´Д`)
乾燥しているおかげで靴も靴下も翌朝には乾いていました(絶対無理だと思ったんだけど💦)。


小屋に戻ると、前のテラス席で二人のアルピニストがビールを飲みつつ寛いでいました。


小屋に戻ってまたクイズ遊びです。
小さな山小屋だと「バーナーは屋内では禁止」、大きなところだと「屋内は指定の場所でのみOK」というパターンが多い気がするのですが、ここは「中で使ってくれて大丈夫ですよ、テーブルの上でどうぞ」と言われたので遠慮なく飲み物を作らせてもらいました。


またまたおやつに出てきたのは日本で買ったポテトチップスです。今回スナック菓子を3日分で5袋も持ってきました(^◇^;)


ぼちぼち晩ご飯の準備に取り掛かります。


乾燥ボレ茸(セップ茸の仲間でもう少し安い)をぬるま湯で戻します。


もうさすがに肉はないので、日本で買ってきた肉団子っぽい大豆製品を使ってご飯を作ってみます。まずはお湯で戻すようです。スーパーで売ってるお肉にかける用のインスタントソースを持ってきました。イマイチでしたが、大量に入れた乾燥キノコのおかげでなんとかなりました( ̄▽ ̄;) それとパスタ(タリアテッレ)を茹でました。


ポテチをつまみながらのご飯作りです(^_^;)


頂きま~~す(#^^#)


この日はわたし達の他に5人の宿泊客があっただけでした。このテーブル長いんですけど、わたし達のすぐ左側で管理人さんも交えて食べています。ちなみにメニューは野菜スープの後に豚肉のロ―スト、プルーン添え。それにポレンタをグラタンで焼いたものが付け合わせでしたが管理人さんが「初めて挑戦した」と言ってただけあり、緩すぎて全然グラチネ(焦げ目をつけること)できてなくてとろっとろでした(^^; 宿泊客のひとりが差し入れで持って来たチーズ、トム・ド・サヴォア、そしてリンゴのタルトのようなケーキがデザートでした。

彼らは全員アルピニストで明日登る予定の山、ここ数日で登った山の話をそれぞれがしています。フランス人の中年男性3人とドイツ人の中年カップルですが、ドイツ人もフランス人並みにエクランの山をよく知っていました。エクランはスイスに近い方のアルプスとかに比べると外国人は少ないのですが、例外的にドイツ人には結構出会います。


山小屋の周りにはアルピニスト向けの険しい山がいくつもあり、その代表的なものは小屋と湖の名前にもなっているル・パヴェ(Le Pavé、 標高3823m)やピック・ガスパール(Pic Gaspard、標高3880m)などです。これらはアルピニストでも上級者向けで、もう少し楽な、といっても普通のハイキングではやはり無理というピック・ノール・デ・キャヴァルやピック・シュッド・デ・キャヴァル、ポワント・デ・シャモアなど3300~3400mの山がすぐ近くに構えています。


この夜、そして以前に別の山小屋でも聞いた話なのですが、ひと昔前まではフランスの山小屋はアルピニストの人たちが宿泊客の大半を占めていたところが多かったそうなんですが、ここ10年20年でハイキング客のほうが多いという山小屋も増えてきたらしいです。もちろん小屋の立地条件にもよりますが。なので、一般的にそこまで山小屋に快適さを追求してこないアルピニストだけでなく(どうせ彼ら夜明け前の暗いうちに出ていくし💦)、小屋での滞在時間が長く、小奇麗さ・快適さを求める一般ハイキング客の受けをよくするためにデラックスに改装してベッド数も多くしてどんどんお客さんに来てもらいましょう、というところが増えているそうです。
この山小屋も2年後に改装を控えているそうですがどんな小屋になるんでしょうか。何にしても、今回このボロボロな(スミマセン)状態のところに一度来ることができて良かったと思います。


さて晩ご飯も食べて色々面白い話も聞けて満足満足(#^^#)
暗くならないうちにトイレと歯磨きをすまして明日に備えて早寝しようと思います。


次回は下山編です。

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