フランスで山歩き

仏リヨン在住、40歳を過ぎて再び山に目覚めた元ワンゲル部員。週末になるといそいそと山に出かけています。

帰りも疲れ果てたガリビエ

先月、ツールドフランスで有名なガリビエ峠の近くの頂上、グラン・ガリビエ(3228m)に山スキーで挑戦したときのお話です。


山スキー歴は25年以上の友人Dさんにリードしてもらいました。
これは頂上から下りつつあるDさん。


最後の80m(高低差)はとても急なので、スキーを外して登りました。
スキーばかりか、ザックも置いて来た地点まで下りてきたので、滑り止めを剥がしてここからはスキーで下りていきます。


ところで、この時点で出発してからもう、5時間半以上経っています。ここまで、途中で瓦せんべいを2枚と、先ほどこの地点で板を外した時に、Dさんがシリアルバーを半分くれたのが唯一、口にしたものです。なんでそんなに何も食べないで黙々と登っていたのかと言うと、この日は恐ろしい強風で、座ることはおろか、立ち止まることさえ辛かったのでした。


写真って、気温や風は伝わりにくいと思いますが、この雪が舞い上がる一枚は風のキツさも寒さも分かる一枚なんじゃないでしょうか(;^_^A


Dさんが「どうする?立ってでもご飯食べてく?」と聞いてくれたのですが、疲れ過ぎていて正直お腹が空いている感覚もなく、なにせ寒いのです。
「いらない。風がないところまで下りてから落ち着いて食べたい」と答えました。結果的にはこれが良くなくて、この後しばらくして目が回るような感覚を覚えることになります😓


下り始め。


雪の状態はイマイチで、わたしには難しく感じました。風が強い時って、大体雪の状態は良くないんですよね・・・


それでも、頑張ってDさんに付いていきます。
景色はとてつもなく美しく、そしてこの日誰一人として出会っていません。
週末だというのに、かなり有名な山なのに、意外でした。


下りてきた斜面。


一枚前の写真と同じ斜面と、その続きのなだらかなところを滑るわたしを前からDさんが撮ってくれていました。


しばらくほぼ平らなところが続きます。


お、立ち止まった。
ここからちゃんとした下りなのかな?と思ったら・・・


なんとここから結構登りが続くそうです😭
高低差で200mほど登るので、滑り止めをまた貼ります。


この後、急な斜面をトラバースする形で登っていくのに「大丈夫だとは思うけど、万が一、雪崩が起きた時のために50mほど感覚を空けて歩こう」とDさんが言います。
50mどころか、もっと先に進んでしまったDさんからわたしの姿が見えなくなったときに運悪く、滑ってシャーっと何メートルか滑り落ちてしまいました。
下が崖とかでは全然ないので、危険というわけではないのですが、ツルツル過ぎて立ち上がれない💦Dさんは慣れているから、このくらいのツルツルさではスキー板にはめるアイゼンは出してこなかったけれど、わたしは付けるべきだった😢


ちょっとでも動くと、体がズズっと滑ってしまうので、こけたままというか、斜面に這いつくばったままDさんを呼びますが、どうやら前に進み過ぎているようで、聞こえていないようです。「どこにいるの!?」と悪態をつきつつも、何とか自分で立ち上がることができ、再び歩き始めると、Dさんが戻ってきました。
「ゴメンゴメン。聞こえなくって。板用のアイゼン出せばよかったね」と。


やれやれ、ここで登りはおしまいだそうです。
ここで滑り止めを剥がしました。


軽快に下りていくDさん。
この日誰にも会わなかったばかりか、通った場所は誰のトレースもありませんでした。


下りてくるわたしをDさんが撮ってくれていました。
この斜面が、この日一番良い状態の雪でした。


ひとつ上の写真の斜面を滑り下りた後、あまりにもお腹が空いたので何か食べていくことにしました。高低差的には4分の3くらいは下りてきているのですが、この後ややこしいゾーンがしばらく続くので、車に下りるまで結構かかりそうだったのでした。


サラミ切り中のDさん。
それにパンとチーズ。
保温マグのコーヒーはとっくに冷たくなっていました。


この少し下からが、この日一番イヤな雪でした。
膜が張ったようにボソッとした雪で、スキーがズボズボっとハマるので、ターンすることがとても難しいのです。高低差で100mくらいでしたが、下りるのにやたらと時間がかかりました。


最後は森でした。
森の中は風や直射日光の影響を受けにくいため、良い状態の雪が残っていることが多いです。


ただいまぁ💦
出発してからなんと9時間も経っていました。
わたしの短い山スキー歴で、一番疲れたハイキングでした(;^_^A


ストラバを入れていました。
最初と最後の部分が急なのがよく分かるかと思います。距離は14kmと大したことありませんが、高低差が1900mオーバーしてました😮


お読みいただいてありがとうございました。

3度目のグラン・ガリビエ(3228m)

夏山で2度登っているセルス山塊の最高峰であるグラン・ガリビエに友人Dさんと山スキーで登った時のお話です。


左奥には、谷を挟んで真向いになるエクラン国立公園の最高峰、バール・デ・ゼクランが。


もう、いつ着くの?
というくらい遠く感じます。


これは時間でいうと、なんと5時間くらい登った地点です( ̄▽ ̄;)
急斜面で雪が風に晒されて硬くなってた部分がかなり多く、スキー板用のアイゼンや、靴にはめる軽アイゼンを付け外しに時間がかかったこともありますが、こんなにややこしい雪山に来たことがなかったため、精神的にもきつかったです。


振り返って。
でもこういう景色のおかげで、つらさも忘れてしまいます。


ヘロヘロなのに、嬉しそうです😂


最後の80mほど(高低差で)はとても急なので、スキー板は外します。


見上げて。
覚えています、夏山でもこんなでした👇

写っているのは、山友のS君です。


夏山の写真の岩にも写っているペンキマーク、雪ぎりぎりのところに見えていました。
つまり、夏山の大体同じところを登るようです。たまに、夏山と雪山とでは別のところを通ることもあるのです。


ここからの景色でも、十分にきれい✨
頂上はもうすぐです。もうヘトヘトなんですけど、行かないわけには行けません。


ザックもスキー板も少し下に置いてきちゃいました。
身軽に登ります。


おおっ?
どうやら着いたみたいです。


つ、着いた~😭😭😭😭
グラン・ガリビエのふたつある頂上のうち、東の頂上。高い方(3228m)です。
写真の中央に写っている部分が西の頂上で、ここより9m低くなっています。初めて来た時は間違えて、そっちに登ってしまったのでした。その後、少し下りてこちらに登り返しました。直接は来られないので、ある程度下りる必要がありました💦


夏山で行ったのは足首に後遺症の残る大けがをする前のことで、高低差もかなりあるし険しいところもある山なので、もう来ることはできないとまで思っていたので感動もひとしおでした。


こちら(東の頂上)の方がいくらか広いのです。
真ん中らへんにアンテナとソーラーパネル、その少し先には十字架があるのでそちらに向かいます。


十字架は入ってないけど、端っこまで下りてきました。
ここの3228mは山スキーで登った最高の標高だ、と思い込んでいたのですが、考えてみると去年の3月に登ったお山が3230mで、ここより2m高かったのでした。
ちょうど、中央の3つの尖がりのすぐ右側にあるひと際真っ白な三角っぽいお山がそうです。ただし、ここと違って淡々と登るだけの、難しいところのない山でした。


2度目の夏山で来た時に大体同じ位置で撮ったものです👇

前述のS君が撮ってくれたのでした。


すごいパノラマを独り占めです。
この日、ここまで誰一人出会っていません。
ついでに言うと、この後も誰にも出会いませんでした。
同じ景色を、初めて夏山で来た時に撮っていました👇

8月の下旬だったと思うのですが、いくらか雪渓が見えています。


こちらはもっと高いお山たちです。
手前は3800~3900m台、左奥のバール・デ・ゼクランは4102m。
フランスでは、モンブランの周辺以外では唯一の4000m級になります。


わたし達の登ってきた斜面は急とはいえ、アルピニスム(クライミング)の装備なしでも登れますが、反対側は絶壁に近いようなさらに急斜面になっています。
あんまり見ていると気分が悪くなるので💦適当に目をそらします(;^_^A


普段なら頂上でピクニックというパターンが多いんですけど、あいにくザックは少し下にあります。というか、もしここにあったとしても、立ち止まることもはばかれるような、かなりの強風だったのでとても座って何かを食べる気にはならなかったと思います。


下りていくDさん。
急斜面なので、後ろ向きに。
同じところを夏山で👇

夏山でも急なのは同じですけど、雪がない分滑りにくいし足を置く場所も広いし掴める岩も出っ張っているので、登り下りはしやすいと思います。


帰り編に続きます。
お読みいただいてありがとうございました。

頂上が遠い・・・グラン・ガリビエ

夏山で2度登っているグラン・ガリビエ(3228m)に、先月半ばに友人Dさんにリードしてもらって山スキーで挑戦したときのお話です。


途中、急だったり雪が滑りやすかったりでスキー靴に軽アイゼンをつけて登りました。


急な部分がいったん終わったので、アイゼンを外して再びスキーを履きます。
ここまで特に休憩はしていなかったので、この機会に立ったままおやつを食べていくことにしました。


先月の里帰りで買って帰った神戸のお菓子、瓦せんべいを持って来ました。
玉子の味が優しくて、昔から大好きなお菓子なのです。神戸の学校や会社では、イベントや記念日にオリジナルデザインの瓦せんべいを配ったりもします。


瓦せんべいで元気回復、再びスキーを履いて歩きだしたところ。


少し平らなところがあった後は、再び急になってきました。
ジグザクに登っていきます。


奥のとがった山のところらへんが・・・


強風でめっちゃ雪煙がのぼっています(◎_◎;)
これ、そこのてっぺんだけなんだよね・・・わたしたちはこんな風にさらされることはないんだよね・・・と何の根拠もなくポジティブに信じつつ足を進めます。
それが結果から言うと、風がなかったのはここまでと、最後の最後にほとんど全部下りてきて森に入ってからだけで、その間はずっとかなり酷い風にさらされることになりました😓


Dさんいわく、この後さらに急になっていくとのこと。
実はDさん、この1週間前の週末にも自分と同じレベルの山スキー仲間とここに登ったばかりで、トレースはなくてもどこを通ればい良いのか完璧に覚えておられました。
その話を前夜に聞いたわたしが「いいなぁ。わたしも登ってみたいけどわたしのレベルだと無理だな~」と言ったのに対してDさんが「そんなこともないと思うよ、大丈夫なはず」と連れてきてもらうことになったのでした(*´▽`*)


スキーでは登るのが難しい急斜面になるので、再びスキーを担ぎます。
ただし、雪は柔らかいのでスキー靴にアイゼンは付けなくてもいいみたいです。
この日、時間を食ったのはこういったスキー板やアイテムの付け外しでした。
でも安全第一なので仕方ないですけどね。
帰りにも登るところがあって、滑り止めをまた貼ったり、剥がしたり、またその際にビンディングと板の間の雪が凍ってしまって靴が嵌めにくくなってしまったりと、何かと時間がかかりました。


急斜面を登っていくDさん。


Dさんが上から撮ってくれていました。


強風で雪が吹き飛ばされているのが見えるかと思います。
髪もなんかぐちゃぐちゃ(-_-;)


どうやら稜線に到着したみたいです。


嬉しそうなわたし。
ただし、まだ全然頂上じゃないんですけどね(^_^;)


登ってきた斜面を見下ろして。


この景色。ここが頂上というか目的地でも全然問題ない感じです(^▽^;)


ヌッとした感じのお山は、エクラン国立公園最高峰のバール・デ・ゼクラン(4102m)。
アルピニスムでしか登れない、一介のハイキング客には高嶺の花のお山です。


一方、こちらは昔はアルピニスムでしか登れなかったのが、氷河がほぼなくなってしまったことから、装備なしでも登れるようになったエギーユ・デュ・ゴレオン(3427m)。山スキーでも高低差は1700mとそこそこあるものの、そんなに難関な山ではない(今登っているグラン・ガリビエと同程度)だそうです。


頂上まではあと1時間半くらいのようです。
登頂編へと続きます。
お読みいただいてありがとうございました。