フランスで山歩き

仏リヨン在住、40歳を過ぎて再び山に目覚めた元ワンゲル部員。週末になるといそいそと山に出かけています。

ピレネーの雪の避難小屋で友達ふたりと迎える朝

山友のふたりとスペイン側のピレネーにスキーハイキングしに行った時のお話です。


合宿中のお宿は、標高約2000mの地点にあるウイシェラ避難小屋。
トゥールーズ在住でピレネーに詳しい、そして避難小屋マニアのEさんが夏に泊ったことのある小屋でした。


昨日は寝たのが1時を過ぎていました。
まだふたりが寝ているので、そーっと起きて外に出ました。
ピレネーのお山と朝日でピンク色に染まる空が美しく、しばらく小屋の前にいました。


避難小屋の窓ガラスにお山が映っています。
夏の放牧期間には羊飼いさんが滞在する小屋なんだそうです。


少し離れて。
こんなに小さな小屋なんです。4、5人も泊まったら満員御礼になってしまいますが、幸いわたし達だけでした。
小屋は小さいのに、結構大きな煙突が。暖炉があるということが外から見ても分かります。アルプスの避難小屋では薪ストーブのことが多く、暖炉のある小屋はあまり見たことがありません。


寒くなってきて小屋に戻りましたが、小屋の中も外とあまり変わらない寒さで、気温を確認するとマイナス3度でした。
男子が起きてくる気配もないので、自分で暖炉に火を点けることにしました。
小さな枝をピラミッド状に立て、その中に置いた丸めた紙(パンの袋を使いました)に火を点けると、ふわっと燃え上がります。


徐々にもう少し大きな枝をくべ、火が安定してきたところで昨夜、寝る直前にくべて燃え尽きてなかった大きな木を加えました。
しばらくすると、ふたりが「あったかい空気が上がってきたよ。ありがとう」と屋根裏から降りてきました。
ただし、暖かくなったといっても、避難小屋内の気温は0度よりも上がることはありませんでした🥶


朝ご飯タイムです。
インスタもブログもしていないため、映えという言葉は知らないふたり(;^_^A
めちゃくちゃなテーブルもリアリティがあっていいでしょう!?


わたしの朝ご飯はこれです。
前夜にスペインに入ってからスーパーで買ったパン。工場生産のものでしたが、結構おいしかったです。個別包装の蜂蜜はうちから持って来たものです。おいしくはないんですけど、軽さ優先です・・・と思ってたら、Yさんが普通に自宅で食べてる瓶に入った蜂蜜を持って来ていたのにはびっくりしました。


Yさんは暖炉でバンを焼いてました。
ただし、焼けるという状態をすっ飛ばして直接焦げてました(;^_^A


さて、朝ご飯をゆったりと食べて後片付けを済ませるとハイキングに出発です。
泊まりのハイキングにも慣れていて最小限の荷物で来てるわたしはパッキングが早いんですが、ふたりがまだ終わっていないので待っています。
さて、ここでよく見てください。
上の写真のズームです👇

ほぼ毎週末、日帰りまたは泊りで山スキーしてるEさん。パッキングはほぼ完了しています。


問題はこちらです。
なんでか、常に準備に手間取るYさん。まだ全然です(;´Д`)
これ、全部ザックに入らないよね?いらないものもあるよね?
で、何してんの・・・?
「なんかぁ~、俺のビーコン、電池ないみたい」_| ̄|○_| ̄|○_| ̄|○
そういうことは、うちを出発する前に確認してください(T_T)
昨日の朝、民宿を出る時も荷物がまとまらず、おまけに「俺、スキーのズボン忘れたみたい」と大騒ぎしてたのでした。すぐにEさんが別の部屋で見つけたんですけどね(^-^;


向かう方角はYさんも分かってるようなので、Eさんとふたりで先にゆっくりと歩き始めることにしました。
ジグザグに登っているのは、前日夕方に気温が高くて雪が柔らかくなり過ぎて登りにくかった斜面。今朝は逆に、夜間に凍った表面がまだ融けておらず、スキーがツルツルと滑りやすい状態です。


クト―(ナイフの意味)とフランス語で呼ばれる、スキー用のアイゼンを付けることにしました。ビンディングの金具にひっ掛けるだけなので、ものの数秒で装着することができます。雪によく引っ掛かるので、歩く速度は落ちるけど滑る心配なしに登れるのです。


Eさんに撮ってもらいました。


これはフランス語でコンヴェルション、日本ではキックターンと呼ばれる登るジグザグの向きを変えるテクニックです。
傾斜が緩い場合、なんとなくカーブを描く感じで向きを変えることができますが、30度くらい以上になってくると、鋭角にバチっと向きを変えることが必要となってきます。これを今までちゃんとマスターせずに適当に行き当たりばったりな足の動きでやってきていたのですが、Eさんが「君、これちゃんとできんかったらあかんよ」とこの急斜面で徹底的にレッスンしてくれました。


わたしの山スキーの師匠、Oさんも今まで幾度となく教えてはくれていたのですが、イマイチ気の短い性格なため!?やり方は見せてくれても、すぐに先に進んでしまうのできちんとマスターできずにいたのでした。
Eさんは面倒くさがることもなく、この長い斜面の20回くらいのコンヴェルションをみっちり付き合ってくれ、その結果、無駄な動きなしにちゃんとできるようになりました(^^)v



斜面の傾斜は最後は緩やかに。


斜面を登り終わると、稜線部分に到着しました。


雪が柔らかい&斜面でもないので、もうアイゼンの必要はありません。
外すのも一瞬です(^^♪
ここで、急いで登ってきたYさんが合流しました。


Eさんが自分の携帯で撮って後日送ってきてくれた写真です。


お昼~午後編に続きます。
お読みいただいてありがとうございました。

暖炉で鶏ローストしてみた

スペインのお山に友人ふたりとスキー合宿しに行った時のお話です。


夏の間は羊飼いさんが寝泊まりするという避難小屋に2泊しました。
この一帯は羊の放牧地になるようです。羊の骨が小屋内に少々置いてありました(・・;)


熟練山スキーヤーで避難小屋も大好きだというEさん。
今回のスキーハイキングはピレネーに詳しい彼が企画してくれたものです。
鶏を一羽持って来てくれました。暖炉の上のフックに吊るしてクルクルと回し、暖炉の火でローストするというのです。


前日、地元のスーパーで買い出ししたときに男子二人が買ってくれていたスペインワインのナヴァラ。こんなの背負ってくるから岩のように重たいザックだったんですよね💦ありがとう✨


鶏が焼けるには1時間から1時間半ほどかかるようなので、ゆっくりと晩酌タイムです。


ポテチはわたしが買って背負ってきたものです。軽い&安い( ̄▽ ̄;)
ロリータという謎の名称のポテチ・・・
普通においしかったです。


鶏ローストの様子をぜひ見てください(7秒間)
👇

Poulet à la cheminée
こんなんでちゃんと焼けるの??と半信半疑だったんですが・・・


こんがりときれいに焼けました。
ただし、どこも均等に火が通るように途中で鶏の角度や高さを2回くらい調整していました。紐の長さを変えたり、鶏の中に通した針金の角度を曲げて変えたり。
わりと面倒とも言えますが、雪山の避難小屋のアフタースキーで気の合う友達とワインを飲みながら暖炉の前でああでもない、こうでもない、とウダウダ言ってるのは楽しいものです。


鶏がもうすぐ焼けそう、という頃合いを見てアルミホイルに包んだジャガイモを暖炉の火に投入。ジャガイモもEさんが持って来てくれていたのでした。重たいのにありがとう✨


人生最高の鶏ローストであることに間違いはありません。


わたしが栄誉ある入刀を任されました(^▽^;)
Yさんがフォークで押さえてくれています。


鶏から落ちる汁を受けていたフライパンにジャガイモを投入、暖炉でさらに少し温めました。

うまー(((o(*゚▽゚*)o)))♡


豪勢なディナーになりました。
ただし、食べ始めたときはもう11時を回ってました(^-^;


ご飯のあと、みんなで歯磨きついでに小屋の外に空を見にいきました。


寒いだけあって空が澄んでいるのでしょう、とってもきれいに星空が見えました。


もう1時前です。
最後に大きな薪を暖炉にくべて、屋根裏に寝に上がりました。


それにしても、足先が寒い~
わたし史上初の靴下4枚重ねの最高記録が出ました。替え用に持って来ていた靴下を全て重ね履きしたものです(^▽^;)
末端冷え性は辛い・・・


2日目に続きます。
お読みいただいてありがとうございました。

山友達と楽しむ避難小屋の夕暮れ

熟練山スキーヤーの友人ふたりとピレネーの避難小屋に泊まった時のお話です。


お昼過ぎに避難小屋に到着し、小屋前でランチをしてから午後の散策に出掛けました。
ふたりよりも早く避難小屋に戻ってきたので、避難小屋でお茶を飲みつつひとり時間を楽しみます。


リラックスするためにスキー靴を脱ぎました。
靴下も少し湿っているので履き替えます。
スキー靴のインナーをスリッパ代わりにするという技もあるのですが、湿っているし、避難小屋の床は砂や木くずなどで結構汚いので、うちから持ってきた飛行機のアメニティ(トルコ航空)でもらった簡易スリッパを履きます。快適とは言えませんが、荷物の重くなる泊りがけハイキングでの妥協策です。


窓際には羊などの動物の骨がコレクション!?されていました(;^_^A


ピレネーの山々をバックにマジックアワーが始まりました。
まだそんなに寒くなかったので、お茶を手にしばらく小屋の外で夕暮れの空気を満喫しました。


これはほぼ同じ時間(2分違い)に、友人Eさんがスキー中に撮った写真を後に送ってくれたものです。この直後、避難小屋に向かって下り始めたんだそうです。


体が冷えたというEさん。コーヒーを作りたいということで雪を融かして水にします。
わたしのシェラカップがいいサイズなので貸してあげました。
キャンプブームで日本ではとてもポピュラーなアウトドアグッズですが、意外にもフランスでは見かけません。Eさんに「軽いし、形がいいね!」と絶賛されました。


日が暮れてどんどん冷え込んできました。
暖炉に新聞紙や小枝を入れて点火します。アルプスの避難小屋では薪ストーブが主流ですが、避難小屋に詳しいEさん曰く、ピレネーでは暖炉があることが多いんだそうです。


スキー中に遠くから見えたという枯れ木を拾いに行ってくれたEさん。
枝を簡易ノコギリで切っています。小さいノコギリなので切りにくそう。


シール(スキーの滑り止め)や靴下を暖炉の前に掛けて乾かします。


焚火の世話に忙しい男子二人。
楽しそうです。


太い部分は切るのにもかなり時間がかかります。
この作業のせいで、腱鞘炎気味になったというYさん(・・;)


半分ちょっと切り込みを入れたところで足で割ろうと試みますが、かなり苦戦していました。


火吹き棒が欲しいね、とふたり。でもこの小屋にはないみたい・・・
部屋の隅に転がっていた箒の柄(らしき棒)をへし折って代用品にしました。中が空洞なのでバッチリです。グッジョブ(^^♪


ピレネーの避難小屋の暖炉の火を6秒間感じてください(*´ω`)
👇

Cheminée à la cabane
雪を入れた鍋も写っています。
お昼過ぎに小屋に到着したときに、お日様で少しは融けるかと日向に置いておいた鍋でしたが、残念ながら全く融けていませんでした( ̄▽ ̄;)
さて、暖炉の火が安定したところで晩ご飯の準備を始めます。


なんとEさんが鶏を一羽丸ごともってきてくれていました。
約1,7㎏の立派な鶏です。中に針金を通しています。


鶏の中を通した針金を鶏の上で輪にして、輪の上の辺りに麻ひもを括り付けます。
どちらも小屋にあったものです。Eさん曰く、どこの避難小屋にも置いてあるので、持って来なかったそうです( ゚Д゚)


暖炉の内側に引っ掛けます。
炎から近過ぎず遠すぎない位置に調節します。
このように遠火でローストするんだそうです。
暖炉での鶏ロースト✨初めての体験で楽しみです。


夜編に続きます。
お読みいただいてありがとうございました。