フランスで山歩き

仏リヨン在住、40歳を過ぎて再び山に目覚めた元ワンゲル部員。週末になるといそいそと山に出かけています。

凍える寒さのムール・フロワ山頂へ

日が経ってきてしまいましたが、これは2週間前の日曜にエクラン国立公園南部のムール・フロワ(2993m)に登った時のハイキング記です。
この日はお天気が良さそうなのがこの辺りより南だったので車で3時間半かかるこの地方まで遠征したわけです。雪に邪魔されないで色んな山に行けるのももう限られた時間だなぁと思うと一回一回の休みの日が貴重に思えてきてしまいます。


途中経由した羊飼い小屋までは地図にも載っているハイキングコースですが、以降コース外となります。ケルンはあるにはあるのですが途切れがちなうえ、羊飼い小屋から峠に向かうまではデコボコで複雑な地形のところを通るので、目で見て「あ、絶対あっち」というようにすぐに分からないのでちょっとウロウロしてしまった部分もありました。


峠以降は稜線の部分を歩くので方向が分からなくて困る、というようなことはありません。


奥の白い山が目指す山頂です。


これは振り返った写真。元気溢れる人は山頂から下りたあと、この隣の山にも続けて登って周回するということもできるみたいですが、もう日も短いですし帰り道も遠いし今日はやめておきます(^^; 何せ、駐車場からこの山の麓のエリアまでがダラダラとやたら長い谷だったので、帰りのことを考えるとちょっとブルーになります💧


ところで、写真の中央に人が写っているのがお分かりでしょうか。この日、帰り道に駐車場付近の谷を散策していた人が二組あった以外、こっちの山の方で出会ったのはこの30代くらいのソロの男性が唯一でした。「早起きですね」と声を掛けると「駐車場を7時過ぎに出たよ。この先にライチョウがいっぱいいたよ。もうみんな真っ白でね。全部で7羽いたかな」
(≧∇≦)会いたい、ライチョウ💖ちなみにフランス語ではラゴペード・アルパンまたはぺルドリ・ド・ネージュといいます。


お天気は午後からのほうがよい予報だったのですが、高低差1550m、コースタイム8時間とそれなりに長い行程だし暗くなるのも早いので、やはり朝のうちから登ることになりました。


基本は稜線を歩くだけなのですが、一番てっぺんの部分を歩けるとは限らないので、その場合右側なり左側なり行けそうなところを通るわけですが、ケルンは峠以降はほぼゼロで(稜線なんだから方向は分かるだろ!ってことでしょうか)マーキングもないので自分で通れそうなところを探りながら歩くのが少しストレスです。まぁ歩き甲斐があると言えばそうなのですが、ちょっとこれ、絶対違っただろう(;´Д`)みたいなところに来てしまったら、ほんとに続きが無理そうなら引き返すし、何とか行けそうなら時間かかっても慎重にゆっくり進むし、まぁ結構時間のロスがあります。でも早く行くより安全に行くのが大事なので仕方ありません。遅くなりそうだったら帰りのダラダラ長い谷の部分を小走りして調節するとしましょう。


せめて頂上でガスの合間から景色が見えるといいんだけど・・・


怖いところは終わりのようです。のっぺりとした、しかし最後がかなり急っぽい斜面にやって来ました。
この日、最後の100m(標高)ほどが足が上がらなくて辛かったです。高低差1800、1900歩く日もあることを考えたら1550は特にキツイことはないと思ったのですが…
標高にしても、3000以上は夏の間はしょっちゅう登ってて高山病っていうのにもなったことないし、、なんだか分からなかったけどこの最後の辺り何せ足が重かったです。


しかもすんごい急でザレてるしズルズル滑りながら最後の数十メートルを登ります。


最後が遠い・・・
あ、でも青空です✨


振り返るとこんなガス💦


ようやく・・・ようやく頂上が見えてきました。それにしても一歩一歩が苦しいです・・足に鉛でもぶら下がってるように感じます。


稜線の左の方から歩いてきて峠に着いて登って来たわけですが、右はこんななだらかなザレ場になっています。右側の斜面全体ではありませんが、ここから下りるのは簡単そうです。ただ駐車場はそっちじゃないので、そういうわけには行きませんが(^^;


着いた・・と思ったらまたガスの中。。こんな重り付きの足で登ってきたのにぃ~
三角点だか水準点だか分かりませんが、立っていました。


ガスってるだけでなく・・・
寒いΣ( ̄□ ̄|||)
風が稜線の途中からきつくなってきて、しかも気温がどんどん下がった気がします。
雪が薄っすらとあるし。


それでもまぁこの壁のようなものの中でご飯を食べるとしよう・・・全体は囲んでくれてなくて2辺だけなのが残念なのですが、ないより全然ましです。


ガスはピラミッドの下に来るとスゥーっと消えてくれました。


南っぽい山肌が眼下に広がります。どれも3000m以下のそこまで高くはない山々です。エクラン国立公園には3000m以上の山が150ほどあり4000mに近い山もたくさんありますが(最高峰は4102m)、高い山は北部と中部に集まっており南部ではあまり見られません。この山頂、2993mもこの辺りでは一番高くなっているくらいです。


ちゃぶ台と椅子が既に作られています。ありがとう、作ってくれた人!
あ、でもちゃぶ台真ん中に水が溜まってるね・・と思ったら凍ってました(;´Д`)
もう、寒い寒い寒い寒い寒い、その単語以外頭に浮かびません。でも稜線のもっと下でも風ビュンビュンだったし、落ち着いて座れるような場所はなかったし、風がましな峠より下に下りるには結構時間かかるので、仕方ない、この真冬のような場所でご飯食べるとします・・(つд⊂)エーン


スープ2種類持って来たのでどっちにしようかと考えてみると、この寒さの中では日本のクノール「ベーコンとポテト」がおいしそうに思えました。東ヨーロッパのビーツスープはまた次回。


写真からは寒さが伝わってこないでしょうが・・・稀に見る拷問のような寒さの中大急ぎで食べる全然楽しくない山頂ランチとなりました。スノーシューでハイキングしてる時でも、ここまで寒くて辛いお昼ご飯はそうそう記憶にありません。これより寒かったのは昨年12月友達カップルと行ったヴェルコール山塊最高峰、グラン・ヴェイモンでの山頂ランチくらいしか思い出せません。
小さなサイズのシェーヴル(山羊乳)チーズ、サラミ、蕎麦粉入りパン、それに先ほどのスープです。期待してたほとんどハズレがないはずの日本のインスタント食品なのに・・わたしの作り方が悪かったのかどうか分かりませんが(って熱湯注ぐだけ💧)、なんか舌触りがザラリとして水気が多すぎたインスタントマッシュポテトみたいな感じで、ベーコンの味もあまりしなくてちょっとがっかりでした。それとも寒すぎてわたしの舌がおかしくなっていたのでしょうか。今度あまり寒くないときに再度チャレンジしてみたいと思います。
おそろしく冷たい突風の中、大急ぎでお昼を食べて山頂を退散することになりました。
ところで、ムール・フロワ(Mourre Froid)のフロワ、とは寒いという意味です。その名の通り、と納得しました。


・・・あ、すれ違った兄さんが言ってたライチョウですが、7羽どころか1羽も見ませんでした(;´Д`) 鳴き声さえ聞きませんでした。


次に続きます。

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