フランスで山歩き

仏リヨン在住、40歳を過ぎて再び山に目覚めた元ワンゲル部員。週末になるといそいそと山に出かけています。

携帯バッテリー切れで写真なしハイキング

おととい帰ってきた2泊3日でのちょっと南の山への旅行記です。
デジカメの調子が悪くておまけに寒さのせいでしょうが携帯のバッテリーが恐ろしいスピードで消耗していったため、1日目のハイキングでの写真はほぼありません。
実は3日目は1日目と同じところを歩いたので(なかなかこれといった理想的なコースが周辺で他に見つからなかったため)3日目は携帯での写真のみですがいっぱいあるので、コース自体のお話はそちらに詳しく書こうと思います。



この地方の中心都市になるブリアンソンから20分ほど細い県道を上ると比較的大きな村であるセルヴィエールを通過します。そこからさらに数分間進んだところにある集落、ル・ラウス(1745ⅿ)の駐車場に車を停めます。


前回にも書いたように、わたしが駐車場に到着すると同時に60歳前後くらいのおじさまおばさまがぎっしり詰まった乗用車が5台到着。総勢20人ほどです。マルセイユから来たそうで、わいわいがやがやと賑やかです。


車から降りてきて、みなスノーシューを装着し始めました。こんなに大勢のグループに山で出会ったのは初めてですが、みんなしてスノーシューというのにも驚きました。というのも、山スキーヤー10人に対してスノーシューは一人出会うか出会わないかといった少なさだからです。


おじさまの一人が言います。「僕たちはイゾアール峠まで登るんだけど、君は?もし同じなら一緒に歩く?」と声を掛けてくれたのですが、聞いてみると最短距離での往復だそうで、わたしは行きは遠回りの周回で歩きたかったので遠慮しました。


イゾアール峠は標高2360m、ツール・ド・フランスでのカテゴリー超級(難易度の高い峠などの山岳通過区間)に数えられている峠のひとつで今年のコースにも組み入れられました。


つまり、晩秋から初夏にかけて冬季閉鎖中の道路の部分(や、並行したあたり)を峠に向かってスノーシューやスキーで登ることができるのです。目的地が峠なので、山頂ではないにしても視界が開けていることが期待できるし、何より傾斜の緩やかな(自転車には厳しいのでしょうが)谷という雪崩の危険性のない場所であるため人気があるようです。道が閉鎖されている地点(ハイキングの出発地点)が1700m台と冬にしては比較的標高の高いところから歩き始めることができるのも嬉しいです。


40分ほどスキーヤー、スノーシュー兼用のコースを歩いた後は夏のハイキングコースに入ります。ここは細いところも多いのでスキーだと無理ですがスノーシューならなんとか通れるように村が発行しているコースマップに書いてありました。


傾斜自体はきついところのあまりない森の中でしたが、最近誰も歩いていなかった様子で全くのノートレース、雪もかなりの量あったために一歩一歩が沈んでしまいやたら体力いりました(;^_^A


雪が積もっていても夏のコースの道の形が何となく分かるところが多いし、木にペンキマークもあったのですがしばらく進むと木の幹が雪を被ったところが多くなりペンキが見つからなくなってしまいました。木々の間隔もどこを見ても同じような感じでどれが道なのかまるで分かりません。。プチ道迷いです(・・;) 


でもまあ向かう方角は分かっているので適当に進んで行きます。峠自体は他の山で隠れて見えないのですが、地図上で峠の隣に二つ並んでる大きな山はしっかり見えています。特に不安もなく歩き続けていると、後ろの方から声がしました。


「ああよかった。誰かいた。僕たち迷ってるかもしれないんです。もうマーキングもなくなったし。あ、あなたのトレースに付いてきたんですけどね(悪かったな💧)。あなたどこに向かってるんですか?」
「イゾアール峠です」「ああ僕たちも一緒です。」「じゃあ一緒に行きましょうか」
こうして男女5人組と共に歩き始めました。間もなく山スキーヤーやスノーシューのしっかりとしたトレースに合流することができました。


しっかりしたトレースに合流しているのに、しかも方角的にもなんの疑いもないのにこのグループの一番年配の男性が何度もやたら「ほんとにこれであってんの?」「思ったよりずっと長い」「峠、あれと違うの(と、全然ちがうとこを指さす)」・・・とうるさいうるさい(~_~;)  しまいには「ああ、これ絶対に俺たち間違ってんだ。」とまで言い出す始末。もう、じゃあ引き返すなりなんなり勝手にしてください!と言いたいのをこらえて「ここからは峠見えないですけど、あの二つの山は峠の続きになってる山ですから方向的にはこれでいいはずですよ。それに峠道路はあちらの山肌を通ってるので、この野原のようなところを横切った先で合流できます」と地図を見せますが、見る気もないらしくちらっと覗いたくらいで自分のGPSが「正確に表示されていない」「こんなに遠いはずがない。どっかで間違ったに違いない」と文句ばかり言っています。わたしはGPSは持っていませんが、この人たちはGPSは持っていても紙の地図は持っていませんでした。


いい加減ウザくなってきたので、わざと何度かプチ休憩をして歩く速度をずらしました
(-_-;)


やっと手前の山の後ろにイゾアール峠が見えかけてきたときに前方から先ほどのうるさい男性が他のメンバーを励ます声が聞こえました。「ほら、もうすぐだ!あの先に峠があるはずだ」いきなり自信たっぷりのリーダーに豹変しておりズッコケそうになりました(^^;


峠の少し手前にナポレオン三世の時代に作られたアルプス街道上の6つの峠の旅籠のうちひとつがあります。1858年開業の「イゾアール峠山小屋」です。今でも峠道路が開通している夏場と冬のスキーシーズンには営業しています。
わたしはハイキングでは自炊派なので、日帰りはもちろん山小屋とかに泊まったとしても大抵ご飯は自分で作っていて、この日もジェットボイル持参でインスタントスープ、チーズ、サラミにパンという定番のご飯のつもりだったのですが、寒い!寒すぎる~~!お天気は最高にいいんですが、森の部分は無風でしたが開けたところに出てきてから結構風も強くなってきています。


朝10時前の標高1700m台の駐車場でマイナス12度でした。約2300mのここはもっと寒いでしょう。それにジェットボイルを使うにも、ペットボトルの水が完全に凍っていますΣ(゚Д゚) 雪を水代わりに沸かすという手もあるでしょうが・・・ダメです。降参です。
ナポレオン3世に敬意を示して、お昼は楽させてもらうことにしましょう(^▽^;)


5人組に続いてイゾアール山小屋(風レストラン)にわたしも入ります。建物の外には30人分くらいのスノーシューが立てかけられていました。逆にスキーは二人分しかありませんでした。完全にいつもの割合と逆転しています。


中に入ると賑やか!
駐車場で話をしたマルセイユの20人グループがもうデザートを食べているところでした。森を通る遠回りコースで来たわたしと違って峠道路をそのまままっすぐに上がるという最短ルートで来ているので当然でしょう。


ノリのいいおじさまおばさま達といっぱい話をしました。うちひとりのおばさまは日本語を勉強してるらしく、頑張って日本語でわたしに話しかけてくれました。おじさまのひとりは「今度マルセイユに来たら連絡して。カランク(海岸線の岩場のハイキングもできる国立公園)を一緒に歩こう」と電話番号をくれました。


このグループの他に、地元のまあまあ大きなスキー場、セール・シュヴァリエのスキー学校のスノーシュー体験コースの数名プラスインストラクター2名というグループもありました。先ほどの5人組なども含めてレストランはほぼ満席でした。晴天の日曜でしたし、しかもこの週末が冬のシーズンの初日だったことを思えば当然かもしれません。


まずはヴァントゥー(南仏ドローム県産の赤ワイン)をグラスで注文しました。ビール飲んでる人も結構ありましたが、冷えてしまいます💦


料理は4種類しかなくて、わたしはほうれん草のハムの入ったキッシュにサラダ添えというのにしました。キッシュは一台の6分の1か8分の1くらいが出てくるのかと思ったら豪快に4分の1出てきてびっくりしましたが、お腹が空いていたしおいしかったので完食(^▽^;)


料理は4種類なのにデザートは7,8種類もありました。わたしはリンゴのシュトゥーデルにホイップクリーム添えにしました。これで19,80ユーロ(2600円くらい)と街中のお店よりは割高ですが、山の上ということを考えると特に高いことはない値段だと思います。


マルセイユのグループや5人組に「峠にこのあと行くんですか」と聞くとだれも「いや、もうこの後帰る」と(◎_◎;) 峠まで高低差100mくらいなんですが。。まぁこんだけレストランでゆっくりしちゃうと、このあとまた登るって気にならないのも分からないでもないけど(特にアルコールはいると💦)、峠の反対側・・わたしは見たいです!!


お店を出るともう3時半を回っており、日が傾きかけています。峠に向かって歩いてる人はわたしの少し後にひとりいるくらいです。20分弱で到着しました。
おおっ、反対側にはケラ山塊が見渡せます💖 登ってきてよかった!


夕方になりかけてるのと風があってかなり寒かったのとで5分くらい滞在しただけですぐに下り始めました。
前半は峠道路に大体平行した野原というか木の疎らな森の部分を歩き、途中から峠道路そのものを歩いて駐車場のある集落まで下りました。急ぎ足でも1時間半くらいは架かったと思います。


車を停めていた駐車場から予約している民宿までは20分程度です。道路は結構急な下りだし、雪が完全に除雪されきれていないので夕方で日陰になって気温も下がって地面が凍ってると思うので、かなりゆっくり目の速度で下りていきました。


寒さで急激にバッテリーが空になった携帯を車の中で充電します。
おかげで民宿の手前らへんから再び写真を撮ることができました。
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県道を離れて集落に向かう途中の道。びっくりなことに集落は県道からガッと下がったところに位置しています。しまった、地図で距離の感じは見ていたけど(ハイキング地図にも入っている部分なので)、高低差があるとは。。除雪ちゃんとされてなかったら厳しいんじゃなかろうか。。雪があるところの上りは無理だろ(;´Д`)

集落に向かう道がふたつあったのですが、どちらが行きやすいか民宿に電話して聞いてみます。「ああ、片方は全然無理だよ。途中から全く除雪されてないからね(あ、傾斜少なそうでそっちから行こうかと思った方だ💦)。もう一つの急な坂から下りてきて。そっちはちゃんと除雪されてるから。普通のタイヤでも大丈夫なくらいだよ」


これ・・普通のタイヤでも行けるんですか??ほんとに?(;'∀')


民宿のすぐ前には車が停められず、そこは行き止まりになっているので恐る恐るバックで来た道を戻り、適当なスペースを探して駐車。ぎりぎり邪魔になるかならないかといった感じだったので路肩に除雪されてた雪を崩して場所を作って停めました💧雪国って大変だぁ・・・


「雪崩怖いね3点セット(ビーコン、ゾンデ棒と併せて)」のスコップが役に立ちます(使い方違ってますが)。


民宿の前から。


民宿。パッと見どうってことない平凡な民家なのですが、これは増築された部分で一番古いメインの部分は築400年という歴史ある建物でした。次回に紹介したいと思います。

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