フランスで山歩き

仏リヨン在住、40歳を過ぎて再び山に目覚めた元ワンゲル部員。週末になるといそいそと山に出かけています。

フランスで最も美しい村のひとつへ

バスク地方滞在2日目。お昼前後に軽くハイキング&ピクニックをした後は「フランスで最も美しい村」のひとつに選ばれている村に向かいます。


この日の天気予報は曇り時々晴れ。午前中はかなりどんよりとした曇り空でした。お昼過ぎから晴れ間が広がってきました。


ピレネーは大西洋から地中海の間にスペインとフランスにまたがる広い山塊ですが、中央辺りに高い山は集まっており、海岸部に近いピレネー・アトランティック県にはなだらかな感じの山が多いようです。


そして牛よりも羊の方が圧倒的に多い土地柄です。
普段よく行く山で見かける放牧の羊達(山の中での放牧期間は初夏から初秋にかけてのみですが)が主に食肉用なのに対して、ピレネーでは羊のチーズ作りが盛ん。
羊の品種も毛足の長いのや、真っ黒の毛のとかいつも見るのとは違う品種です。牛の品種は大体分かりますが、羊の品種にはまだまだ詳しくないことに気付きました(^▽^;)


村に近付くにつれ、ブドウ畑がぼちぼち見られるようになりました。バスクにはワインもあるのです。コクのある赤のイルーレギと、白の甘口、ジュランソンが有名です。ワイン生産者のところに寄りたくなってきました。帰りはライドシェアリングだからそんなにたくさんは買えないけど・・もちろんリヨンでもバスクのワインくらいワイン屋さんに行くまでもなく、ちょっと大きなスーパーに行けば買えます。でも、違うんです!その土地を訪れて、葡萄畑を見て、歩いて、作ってる人から話を聞かせてもらって味見をして買う、という過程が大事(というか生き甲斐でした、かつては)なんです(^▽^;) 山にハマる前はしょっちゅうワインの産地を巡り歩いていました。今では、たまたま行った地方でついでに寄って帰る、くらいになってしまいましたが・・・


友達にワイン作ってるところにも行きたいと言うと「実はこの辺りで一番有名なワイン生産者、俺の親戚」とビックリする返事が・・・
ただし親戚と言ってもあまり普段会っていない親戚らしいんですが、どうせ行くなら適当に選ぶよりはそこにしようよ、と10年近く前に行ったきり、という彼のうろ覚えの道順通りに進むと立派な門が。


どんどん登っていきます。もうハイキングの出発地点にでも向かってるような気分になる眺めのよい林道みたいなところ(多分既に私道)を走ります。


見晴らしのよい広場のようなところに立派なお城みたいな建物があり、友達曰くここで試飲したり買うことが出来るそうなのですが・・あいにくシーズンオフで閉まっていました_| ̄|○ バスクは夏の間は結構な数のツーリストが訪れるようですが、それ以外の時期は観光客でごった返すようなことはほとんどないようです。


残念だけど建物の前で一応記念撮影。


こんな急な斜面に葡萄畑があるのもバスクならでは。でもローヌの谷の最北端のワイン、コート・ロティ(赤)やコンドリユー(白)もこれくらい急なところにブドウ畑があります。どちらも個性的でだーーい好きなワインです。
👇2、3年前に訪れたコンドリユ―のワイン畑

コンドリユ―とコート・ロティは大体同じ場所で作られています。コート・ロティはかつてローマ人がフランスに初めて葡萄を植えたフランス最古の葡萄畑だといわれており生産量が少ないこともあって高級ワインの類に入ります。ロティはグリルされる、という意味で急斜面にお日様がさんさんと降り注ぐ様子がそのままイメージされるワイン名です。こうして書いていても味が思い出されて涎がでてきそうにおいしいワインです。


さて、ピレネーに戻ります^^;


村に下りる途中のブドウ畑。


やれやれ、下界に戻ってきました(なんかハイキングにでも行ってた感覚)・・・


この後、村に着く前にワイン生産農家の看板があったので行ってみたのですが、出てきたおばあちゃまが「あら~・・つい今さっき嫁が帰っちゃったんですよ。彼女が販売担当でね、わたしは分からないから・・・」とのこと・・・もういいです、今日はワインは諦めろっていうメッセージだと受け取りました(-_-;)
さっさと村に向かってツーリストをしなければ・・・


サン・ジャン・ピエ・ド・ポール村に到着です。
レ・プリュ・ボー・ヴィラージュ・ド・フランス、「フランスで最も美しい村」協会にはこの村を含めて現在157の村が登録されています。


不公平な感じに南部、特に南西部に多く集まっています^^;
パリ周辺や北東部のスカスカ感が半端ない・・・


城壁に囲まれた旧市街地からほど近い駐車場に車を停めて門のひとつから中に入ります。


この村は昔からスペインのサン・ジャック・ド・コンポステーラへの巡礼の道ルートに入ってました。巡礼の道はスペインにほど近いこのあたり22㎞に渡る部分がユネスコ世界遺産に登録されています。そして、この城壁の入り口の門も同じく遺産登録されています。


門の真横が教会で、城壁と一体化しています(@_@)


巡礼の道であることを示すプレートが地面に埋め込んでありました。村中あちこちにあるのかと思ったら、門から入ってすぐの場所で見ただけでした。
このまま村のメインストリートを歩いてもいいのですが、何度も来ている友達が別の散歩コースを考えてくれていました。城壁ぎりぎりに遊歩道が設けられているのです。


メインストリートには夏ほどではないにしてもそこそこ観光客がいましたが、こちらには全然人がいません。
ここでも先頭を歩くのは友達の飼い犬・チキータちゃんです。


マグノリア(日本の木蓮と同じ??)が咲き始めていました。


木蓮、こちらにも・・・
人んちのお庭のすぐ裏を歩きます。果樹やお花が植わってたり、家庭菜園してたりとみんな好き勝手に楽しんでいて楽しく眺めながら歩きました。


城壁に沿った細い階段を登っていきます。キツっっ💦


高台にたどり着きました。城壁に囲まれた街にふさわしく要塞として使われていたようで、説明書きがありました。要塞。。もしや・・やっぱりっっ!!17世紀に活躍した築城の天才・ヴォーバンによる建築物でした。もう、どこに行ってもフランス国内(少し外国にも)で要塞というと大抵この人なのです💦 ルイ14世に仕えた建築家なので当然かもしれません。


ニーヴ川の支流の畔になります。ニーヴ川はピレネーの中心的な大河アドゥール河に沿岸部直前で合流し、友達の住むアングレットとバイヨンヌの中間で大西洋に流れ込みます。


村の中心地に戻ってきました。
白塗りの壁にバスクのテーマカラーである赤や緑に塗られた梁や窓枠、雨戸がかわいいバスク建築のおうちややレンガ造りの古い建物がひしめき合った中世の村です。


今でも巡礼の旅をしている人たちは多いのです。村には巡礼者のためのホテルがたくさんありました。大抵はドミトリー形式のようで、巡礼のシンボルマークであるホタテ貝の絵があるのですぐに分かります。巡礼の人たちも首からホタテ貝をぶら下げていることが多いです。


ここは巡礼インフォメーションコーナーになっていました。


巡礼の旅グッズ屋さん。山グッズ屋さんとかなり近いものがありますがキリスト教関係のグッズも置いてることが大きな違いでしょうか。


色々歩いて見て回ったのでそろそろ村にお別れしたいと思います。
次回に続きます。

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