フランスで山歩き

仏リヨン在住、40歳を過ぎて再び山に目覚めた元ワンゲル部員。週末になるといそいそと山に出かけています。

同僚S君と怖い山から下りて豪華ピクニック(^^♪

今月前半に同僚S君と出掛けたイタリア国境近くでの日帰りハイキングです。今回はS君がハイキングサイトで見つけてきたモン・セティ(3153m)。今まで聞いたこともない山で登山道はほぼ皆無、ケルンもあまりたくさんなくてこの朝に出会った地元の男性は先月チャレンジしたけどどこを通って登ればいいのか分からなくなり最後は岩壁に阻まれて撤退した、とおっしゃっていました。
無名過ぎてS君は登ってる最中にも山の名前を忘れていました…わたしも今回記事を書くにあたり怪しくなって確かめたくらいです( ̄▽ ̄;)


岸壁みたいなところをつたって登っていくところが多くて神経すり減りました(-_-;)
最後は安定感のある普通の?頂上です。


高度計は大体あってます。派手にずれてることも多いのですが。。


グラン・メアン氷河の真向かい。


頂上のケルン。谷の奥を左側に進むと駐車場方面です。



左が先ほどのグラン・メアン氷河で右はエヴェット氷河。


今1時前だし、普通だとここでお昼ご飯のタイミングなんですが、S君「俺、ワイン飲んで下りたくないよ、生きて帰りたいからね」わたしも同じです。ほろ酔い気分で足元ふらついたりしたら大変です。ここではナッツとドライフルーツがぎっしり入ったパンを食べただけで、ピクニックは湖くらいまで下りてからにすることにしました。


登るのも怖かったけど、下りるのも怖いです。眼下には湖畔でピクニック予定のグラン・メアン氷河湖が。


高所恐怖症ではないけどあんまりじっくりとは見たくない眼下の景色。


慎重に下りていきます。


どっから登ってきたのか途中分からなくなって(道はないし、ケルンも少ないので)適当に下りました。


やれやれ、もう怖いところはお終いです。


湖目指して、といってもうここからは見えないので上から見た時の記憶をもとに進んで行きます。


ベストなところを歩けたのかどうか・・最後に急斜面を登るハメに。でも「怖くなかったら(ちょっとくらいしんどくても)何でもOK」という気分です(^^;)


もう見納めになりそうな白いサクシフラージュ。


花びらが落ちたあと真ん中がクルクルになるブノワット・ランポント。


レノンキュール・デ・グラシエ。氷河跡などのザレ場が大好きです。初夏から晩夏にかけてずっと見られますがさすがにそろそろお終いでしょう。


どこでお昼食べてもいいようなもんなんですが・・・


遠くから眺めて目を付けていた大きな平たい岩に陣取ることにしました。


ブルゴーニュの赤です。
今回私が持って来たのはこのワインとメインのお肉のみ。他はすべてS君が準備してくれました。行き先の山から、運転からピクニックのメニューに至ってS君プロデュースのハイキングとなりました。


サラミを切るS君。コルシカのサラミだそうで味わい深くとてもおいしかったです。
ところでミニトマトの横にある棒のついたハンドルみたいなものはジェットボイル専用のコーヒーを漉すやつ。コーヒー好きのS君、たとえ山でもインスタントコーヒーはイヤみたいですΣ(´∀`;)


仏南西部のパテ。ピクルスも忘れずに持って来てくれていました。も~こってりしてて激ウマでワインが進む✨


トロリととろけてるのはサン・マルスラン。グルノーブルの近くで作られている牛乳製のチーズで、リヨンではいい状態のものが手に入りやすいのでとてもよく消費されています。タッパーの中にはボーフォールチーズをおろしたもの。


最近S君も購入したジェットボイル。黒でカッコいいです。パスタを茹でてバターとボーフォールチーズをまぶします。


続いてお肉を焼きます。お塩を忘れてしまったので来る途中に寄ったパン屋さんに頼んで分けてもらいました。ありがとう、パン屋さん(#^^#)


そのパン屋さんで買ったこのお菓子ですが、案の定というかボロボロになっちゃってました。S君と半分こして、これは残った部分ですが原形を留めていません(-_-;) 
フィロ生地は中近東や北アフリカなどアラブ諸国が起源。サヴォアの山奥のパン屋さんのお菓子(しかも町の名前が入ってました)に使われるのは珍しい・・とS君がパン屋のご主人にそのことを言うと、そのブラマンという町は、ハンニバル(カルタゴ=今のチュニジアのあたりの将軍)が紀元前218年にアルプス越えを行った時、ハンニバル軍が通過したという記述がのこっているらしく、その史実にオマージュを捧げて考案したお菓子なんだそうです。山奥の村のパン屋にひっそり並ぶ地味なお菓子の裏に壮大な歴史が広がったような不思議な感覚になった瞬間でした。
ちなみにフィロ生地の中にアーモンドクリームとリンゴが入っていました。ぐちゃぐちゃになってたけど味はおいしかったです。S君がいれてくれたコーヒーでピクニックの締めとなりました。


怖い山から下りてきた開放感でいつも以上の大宴会となりましたが(^^; 駐車場までまだ結構あるうえ、リヨンまでも遠いのでそろそろ出発したいと思います。正面の土手のようになったところを越えていきます。


アデノスチルは夏の後半に元気な花。背が高いので目立って景色に華を添えてくれます。


ケルンに石を足してご機嫌なS君。


今日の目的地だった「怖い山」モン・セティ。見るからに登る気がしない外観です💧


この急なところを下りたのち、左側に緩やかな谷を下っていきます。


この辺り、集まって咲いてました。


谷底に下りてきました。駐車場まであと30分ほどでしょうか。


ブルーベリーを食べつつ駐車場まで戻りました。
最寄りの村、ボヌヴァル・シュル・アルクは「フランスで最も美し村」のひとつに選ばれていて、わたしは3度ほど訪れたことがありますがS君はこちらの地方自体来るのが初めてだったのでハイキングのあとに寄ってもいいね、と言ってたんですが、別の案を思い付きました。S君はそちらのほうがいいと言います(両方する時間はない)。
なので、今回はボヌヴァルの村観光は諦め、駐車場からすぐのところにある小さな集落、レコ(L'Ecot)をササっと見るだけにします。


駐車場から徒歩5分ほどです。冬にこの周辺でスノーシューした時に訪れました。
その時の写真👇



雪景色の方が綺麗に見える気がします。


トレードマークの可愛い教会。


今回初めて中に入ってみました。可愛らしいフレスコ画がありました。
さて、ボヌヴァル村観光をボツにして浮上してきたアイデアとはいったい何でしょうか。


それは…ヨーロッパで一番標高の高い峠道路、イズラン峠を経由して帰るドライブです。6月末、冬季閉鎖期間を終えてオープンした約1週間後に次男と来ました。S君は通ったことがないと言います。この道路は正にボヌヴァルから出ていて、北上し峠を越えてタランテーズ地方(ボヌヴァルと同じくサヴォア県)のスキー場としても有名なヴァル・ディゼールに下りることになります。
峠道路に入って間もなく、スイスナンバーのスポーツカー3台組(ロータス、ポルシェ、アルファロメオ。全てオープンカー)にいきなり抜かされました(^▽^;)


でももう7時を回っているのでドライブしている車はほとんどありません。夏場を中心にバイクや自転車の人に大人気の峠道路ですが、ほぼ貸し切り状態で気持ちよく走ります。


雪渓の残るところも。


この日はお昼ごろから雲が少しずつ出てきていましたが、曇ってしまうほどではなく、夕暮れ前の陰影の強くついた雲は完璧な青空よりも景色をダイナミックに見せてくれるような気がします。


放牧の牛さん達の搾乳タイムでした。


もう峠まで間もなくです。


イズラン峠、2764m。標識にシールがいっぱい貼られています。バイクや自転車のクラブ、グループなどのシールです。


この右の辺りが駐車場になっていますが、一台も停まっていませんでした。


夕方のきれいな空の下をゆっくりと下りていきます。


ここら辺なんて車から降りて散策したいくらいです。


駐車スペースに停まっているキャンピングカーがありました。いいないいな(≧∇≦)


ちょっとここらではあまり見ない真っ黒な牛さん達が草を食んでいました。


少しずつ標高を下げていきます。前回はお昼に走ったのですが、今回のほうが断然景色が良いような印象です。夕焼けパワーによるものでしょう。


間もなくヴァル・ディゼールの町に到着します。ここからリヨンまでは3時間半弱。ボヌヴァル~リヨンも大体同じだけかかるので、峠道路を走った分だけ余計に時間がかかったことになりますが、こっちからリヨンに帰る高速代は行きよりも安いというオマケ付きです。
S君が朝うちに迎えに来たのが5時10分。夜送り届けてくれたのは10時半前。とっても長い充実した一日でした。

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