フランスで山歩き

仏リヨン在住、40歳を過ぎて再び山に目覚めた元ワンゲル部員。週末になるといそいそと山に出かけています。

「フランスの奥底」から7つの湖へ

先月2度テント泊で行ったサヴォア県ベルドンヌ山塊のラ・クロワ湖とその少し上のラ・クロワ峠。クロワとは十字架のことです。峠には国境を示すサヴォア十字が彫られていました。


サヴォアは1860年にニース伯領と共にフランスに統合されるまでは公国であり同時にイタリア(サルディーニャ王国)の一部で、この峠を含む一部の山はフランスとサヴォア(イタリア)との国境だったのです。
ラ・クロワ峠の行き先案内看板に反対側に下りると「フォン・ド・フランス Fond de France」に行けるとありました。それを見て3年ほど前にその村からハイキングをしたことを思い出しました。仕事が休みだった先週木曜にそこから出発するハイキングに出掛けました。


7時過ぎにフォン・ド・フランス村に到着。
うちから2時間ほどと比較的近い目の範囲です。ここもベルドンヌ山塊ですが県的にはサヴォア県でなくイゼール県になります。フォン・ド・フランスとはフランスの奥底、の意味でかつて国境手前のフランス側に位置する最後の集落であったことを意味しています。


前回は村の入り口にあるだだっ広いハイキング客用の駐車場に停めたのですが、ハイキングコースは村を横切った部分から始まってた気がするのでもう少し進んで住民用かもしれない、でもガラガラに空いてる駐車場に停めました。


「フォン・ド・フランス 標高1089m」こんなに低い標高から出発するのは久しぶりです。冬だと除雪の関係であり得ますが、夏は1500~2000mくらいから歩き始めることが多いのでこの低さは衝撃的です。目的地は標高2700m台で夏山の行先としては特別高くはないのですが、駐車場が低いので累計高低差は1700m以上、コースタイムは11時間ほどらしいので日がどんどん短くなってきてこういう長い行程のハイキングはそろそろ難しくなってきます。
黄色いオフィシャル看板の下に消えかかってほとんど読めない哀愁漂う手作り看板…
あれ!?これ、知ってます~


3年前に来た時👇

前回来た時もインパクト強くて写真に撮ったのでした・・・ただしもっといい状態でした💧 黄色のオフィシャル看板には地図に載ったハイキング道上の行き先しか書いてないのに対し、お姉さんの看板にはコース外だけど、ここからこんなとこも行けるよという行き先と時間がいくつも書かれています。例えば、わたしが今日目的地と定めたベル・エトワールという山(同名の湖もある)へは5時間半、とあります(わたしが調べたのより短い)。ただしどこをどう進めという説明はここでもこの後も一切ありません(^^;


準備を整えて出発したのは7時20分くらいでした。人んちの庭と境目がない野原💧を横切っていきます。


公園の散歩道みたいなところをしばらく歩き・・・


山道っぽくなってきたと思ったら・・・


ああっΣ(゚Д゚)
そうだ、ここで3年前は間違えて右側の林道みたいなところ30分くらい上がっていっちゃったんでした。正しくは左側の倒れた木になんか書いてある方に進みます。


頑張って面白い要素を探そうとしても何も見つからない森の中の結構急な道をひたすら登っていきます。標高1000m台から出発した人の宿命です・・・そうだ、頑張って早く歩くことを目標にしよう。


時おり少し開けたところを通るのですがちょうど空ピンクの時間帯です。こんな標高低いところにいて大したものは見えませんが、何かの山のてっぺんが辛うじて見えています。なんだろ、あの山・・・これだけだとちょっと分かりません。もう少し見えて来たら方角や形から分かるでしょう。


鬱蒼としているのでキノコちゃんだらけです。色んな方のブログ(日本・外国問わず)で最近キノコの写真を見ることが多いので、やはりシーズンなんでしょうね、この日は10種類くらいは見かけたと思います。でも残念ながらわたしが知ってるわずか3種類ほどのおいしいキノコは目に付きませんでした。


キリがないのでほとんど写真は撮りませんでしたが、この毒キノコちゃんだけはかわいいので何枚か激写しました。めちゃくちゃいっぱい生えてました・・・


ポピュラーなコースなので道は分かりやすかったですが、唯一少し戸惑ったのがここ。
登山道が林道と交わったあと距離にしてほんの100mほど林道を歩くのですが、林道よりも少し高い位置にこのペンキマークが付いた木があるので、ここから新たにハイキング道に分かれるのかと思ってそちらに進んだのですが少々荒れており、それでも一応道の形はなんとなくあるのでしばらく進むとやがてなくなった(;´・ω・)分かりにくい場所にしてはケルンのひとつもない・・・おかしい、と思い林道に戻ってそのまま進むと間もなく新たに登山道へと分岐する地点がありました。ひとつ前のは紛らわしい位置にペンキマークが付いた木があるため、ハイキング客が時々そちらに歩いて行ってしまうので踏みならされて道の形になり、余計に間違えやすくなる、という負の連鎖かもしれません。
思い返すと、前回もここで間違えたような気がしてきました…しかもその時は間違えたと思わずそのまま無理やり道でないところを登っていって正しいハイキング道に合流したような記憶があります💦


出発から1時間弱でグレザン山小屋(1610m)に到着です。駐車場から520m登っているのでわたしにしてはまあまあのペースです。


山小屋少し上から。谷の底が今日出発した村です。さきほどてっぺんしか見えてなかった遠くの山がだいぶ良く見えています。


えーと、どうやらボージュ山塊のようです。


振り返って左手はスキー場になってるエリアです。


こちらがこの後進んで行く方向です。


谷になっていて、右側の斜面の山肌に沿った道を上がっていきます。


ちょっと意外なものが落ちていました。生のニンジンの先っぽです。
わたしが時々ハイキングに一緒に行く同僚のS君はよく生のニンジンをハイキングに持って来ては「君もいる?」と勧めてくれるのですが(欲しくなったことはないので毎回断っています)、彼以外にも生のニンジンをハイキングに持ってくる人がいたとは・・・


だいぶ上がってきて高い木がなくなってきました。


今まで土の道だったのが、岩々地帯を時々通るようになりました。


1900m前後の辺りにラズベリーがいっぱいなっていました。せっかく頑張って急いで歩いているのにここでペースダウンです(^^;)


スキー場方面がよく見えるようになってきました。このスキー場は「セット・ローSept Laux スキー場」。ロー「Lau(x)」とは湖Lacを意味する方言。すなわち7つの湖、という美しい名前の地名は今間もなくわたしが到着しようとしている湖がいくつも集まっているエリアです。スキー場自体にはもちろん湖はありませんが、そこから近くて印象の良いこのエリアをスキー場名に使っているわけです。


緩やかで安定感のある道が続いていましたが、ちょっぴり険しくなってきます。


険しいことよりも、小川に沿っているため岩が濡れてツルツル滑りやすいことの
ほうが怖いです。


3年前、正確には10月の終わりでした。小川は凍り雪もあって初冬の雰囲気でした。この時は本気でツルツルだったので凍ってないところを歩くのに結構遠回りしたりしたのを思い出しました。


駐車場からずっととても分かりやすいハイキング道でしたがここらへんで一度軽く道を見失って岩々のところを適当に登っていきました(;'∀') 間もなく正しいハイキング道に交わることが出来ました。森から出ても谷間を歩いていたので今まで日陰でしたが、ようやく日向に出られます(^^♪
頂上・・じゃないけど湖がある平たいところに間もなく着きそうです。


斜面を登り切ると待っていたノワール湖。


2090mで駐車場からちょうど1000mになります。かかった時間は2時間ジャスト。わたしにしてはまあまあ悪くないタイムです。ここからは景色もよくバラエティに富んでくるのでもったいないので大急ぎで歩いたりはせずに普通に歩きます。


引き続き少し上ります。


小さな湖が二つほどあります。


そして大きな湖、キャレ湖の畔を歩きます。
左上に建物が見えていますが、この辺りの湖は水力発電に使われているので電力会社の建物です。小さな湖を除いてすべての湖はダムで堰き止められており、湖畔も結構な範囲がコンクリで固められています。もちろんそれでもまわりの山の景色と併せてきれいとは言えますが、車で来るような観光地ならまだしも、1000m以上も登った先にこれだけ手の加えられた景色があるとちょっと興ざめです。もちろん電気は日常生活を送るのに必要なのでこれは良くない、という気はありませんが。。


興ざめナンバーワンの大きなダム。出来るだけ見ないようにします💦


👇3年前

窪んだところなどにまとまってある初夏の残雪とは違って全体に粉砂糖ををまぶしたみたいできれかった・・・


今日もブルーベリーいっぱい(*'▽')


次の分岐に到着・・・壊れています(;´Д`)
わたしの行きたい山は入っていませんが、とりあえずは「COL DES SEPT LAUX 7つの湖峠」へと進みます。


・・・まぁ色々文句言ってますけど、お天気もいいし、全体的にはこのように気持ちの良いところではあります。
前回はここら辺の湖でご飯を食べてからもっと先の湖、そして峠(と言ってもほとんど登らない)まで行ってから帰りました。今日はそれに加えて頂上ひとつ目指すことになります。



後編に続きます。

×

非ログインユーザーとして返信する