フランスで山歩き

仏リヨン在住、40歳を過ぎて再び山に目覚めた元ワンゲル部員。週末になるといそいそと山に出かけています。

憧れのロシェ・ブラン、登る前から撤退(゚Д゚;)

わたしの住むリヨンからは1時間半~2、3時間で色んな山塊に行けるのですが、なぜか憑かれたように同じところばかりをリピートしてしまう時があります。最近のベルドンヌ山塊がそうです。ここ1か月ほどでテント泊で3回、日帰りでも一度歩きましたが、数日前に平日休みだった時もなぜかこちらに足が向いてしまいました。


目的地には先日行った「美しい星」という名の湖や同名の頂上から正面に見えたロッシェ・ブラン(2928m)を考えています。3000m級の山が何百とあるフランスでは特別高い山というわけでもありませんが、わたしがよく行く、または行った先からよく見えるベルドンヌ山塊ではアルピニスムの装備なしで登れる山としては一番高くなっています(標高的には3番目)。見た目もカッコいいので一度登ってみたいと思っていましたが、登山道がなくて分かりにくいと聞くので躊躇していました。雪山シーズンに入ってしまう前にぜひチャレンジしたく思います。


先週末に子供たちとテント泊で来たラ・クロワ・ド・フェール峠のすぐ近くに車を停めます。グランドン峠、ラ・クロワ・ド・フェール峠を結ぶ峠道路にはその麓の二つの村とは全く別のもうひとつの地点からアクセスすることができます。今回、その道路を通ってきたので同じ方向に来たという感覚は薄いです。


ダムのある大きな湖に沿った県道沿いの駐車場です。


わたし的にはベルドンヌ山塊に来たつもりなんですが、オワザン地方(エクラン国立公園北部)にもかかってるということみたいです。そちら方面の名産物のイラストが描かれた看板がありました。チーズにハチミツ…素晴らしい✨ 焼き物や木の工芸品のイラストもありますが、こちらはあまり興味がないのでどんなのがこの地方にあったか思い出せません💦


そして、ここはサヴォア県とイゼール県との県境になるようです。
ツール・ド・フランスの定番コースでサイクリストさん達の多い峠へと続く道路なので「自転車を追い越すときは1,5m空けて」という注意書きが。まあ普通の道路交通法で決まっている間隔です。


看板がバリバリに割れていますが(;´Д`)ハイキングサイトによると ここから道がでているようです。ただし地図に出てくるメインの道ではないので、どの程度しっかりした道なのかはわかりません。標高1727mと既に高いところにいます。峠道路万歳(≧∇≦)・・・もう2週間もすれば一番標高の高い道路のいくつかは冬季閉鎖期間に入ります。この道路は2000mほどまで上がりますが、閉鎖されるのはそれよりは少し遅い目だったと思いますが、何にしてもそれらの峠道路は雪深いので年間半分かそれ以下しか開通していないのです。


谷を大体川沿いに登っていくというよくあるパターンです。


登りはじめに珍しいものが。ヒース(エリカ)です。エクラン国立公園で秋に見たことがあるくらいで、他の山塊では見たことがありませんでした。ここはベルドンヌ山塊とはいえ、エクランに近いんだなと早速思い知らされました。


おっ、ペンキマーク?嬉しい♬このままずっとあるといいんだけど…(→ふたつみっつあった後、なくなりました💦)


振り返って。赤い絨毯のようなブルーベリー。
ここで犬を連れた初老のおじさまにすれ違いました。地元の方でどこかの頂上に登るというわけではなく、この辺りにワンちゃんと散歩に来たそうです。ロッシェ・ブランに行こうと思う、と言うと日曜に降った雪が上の方結構積もっているとのこと。岩々の山なので足元の雪の深さが分かりにくくて危ないから十分に気を付けなさい、と言われました。 この駐車場からだと高低差は1200mほどと大したことがありませんが、道がほとんどないこと、岩々ガレガレで急なことから難易度の高い山という扱いをされています。そこに2日前の新雪の積もった状態でチャレンジするのか・・・わたし??


「また(新)雪のないときに来よう( ̄▽ ̄;)」
あっさりと諦めることにしました。踏みならされた雪ならあまり怖くないのですが(アイゼンはあった方がいいでしょうが)新雪が岩々のところに積もってるの、苦手なんです。足がズボっといくので。。ケルンが雪に隠れちゃってて迷いやすいのでイヤというのも。それに最近毎休み山に来ていて、寝不足や長距離運転を含め疲れ気味というのが気持ちを消極的にさせたような気がします。。久しぶりに来たなら「行けるとこまでいったろ!」ってなるのでしょうが…あんまりややこしいところに行きたい気分ではありません。
こともあろうに登る前から撤退ですΣ( ̄□ ̄|||)


ロッシェ・ブランは諦めて別の機会にチャレンジするということにしましたが、とりあえずもう少し進んでみます。ここからだとどこに行けるかな・・・
右手に見えてきたのはエギーユ・ド・ラルジャンティエールのギザギザの稜線。これはアルピニストでないと登ることが出来ません。


駐車場で車を降りた時には「さっむ~~💦」と一気に色々着込みましたが、登っていると暑くなってきました。ちょっと地図見てみよう。目の前の景色もじっくり見てみます。適当な代理案を見つけなくては。


でっかいケルン?と思ったら朽ちて崩れた石造りの小屋でした(;´Д`)
駐車場から緩やかな谷を登ってきましたが、谷は途中でふたつに分かれるような地形になっていて(二つの川が合流する形の谷)、ロッシェ・ブランよりも左の方の谷を登っていく方が近くて標高も低いのでそちらに適当に進むことにしました。見たところ雪もほとんどなさそうです。


足元からフト目を上げると、二匹の雌のアイベックスがテケテケと横切っていきました。物音を立てたくなくて、立ち止まります。彼女たちはこっちをチラ見したけれど、無視して草の実か何かを食べながらゆっくり進んで行きました。

こっちを見るなり一目散に逃げていき、その割に遠くからガン見してくるシャモア達よりも余裕な態度がカッコいいです。(動物学的にそういうキャラなので仕方ないのでしょうが)


そしてその後しばらく歩くと雄のアイベックスが一匹。こちらを少し見ながらも特に気にせず悠々と歩きまわっています。


立派な角。比較的若い雄のようです。
この辺りから日陰の窪みなどに新雪がぽつぽつと溜まっているのが見られました。


アイベックスが逆光でシルエットになってるのが好きなので斜面側に歩いて行くのを待ってパチリ。


さて、アイベックスも随分と観察したので続きを歩くことにします。その右手の岩山辺り、手ごろっぽい距離と高さなんですけど、残念ながらぱっと見登り口が見つかりません。奥の稜線に進んで登りやすそうな峠っぽいところにでも登っておこうかと思います。運が良けりゃそのあと稜線伝いにでも頂上まで行けるだろうし、無理なら登れるところまでで止めておけばいいです。ブルーベリーの真っ赤な絨毯とアイベックス達でなんだかもう満足してしまった感じですが、一応頂上っぽい所にも登っておきたい(;'∀')


川をここらで越えておこう・・・


そのままいくらか谷を登ってきました。


右手に進むこともできるけど・・・


何のケルンか分からないけど(^^; とりあえずケルンがあったので引き続き真上に登ってみましょう。おそらく、峠っぽいとことろ(ふたつほどあります)のどちらかに続いてるのだろう・・・ただし、曲者なこの辺りのケルンたち。ごくごく稀に思い付いたみたいに見かけるだけで、何の役にも立ちませんでした。


ジョンシアンのつぼみを発見!ジョンシアンの中でも9月くらいまでは見られるジョンシアン・ド・バヴィエールのようです。それでも、もう10月中旬。雪が2度ほど降ったとはいえ、全体的にはとてもよい気候の秋だからかもしれません。


わたし的にはこちらの谷に向かったからには、ここの峠くらいしか行き先が思いつかないのでケルンがあるにしろないにしろこれを目指します。


例えば・・・この白い石って、ケルン?もう全く信用できません。ケルンらしきものはこれを最後にひとつも見かけることはありませんでした。


もうほとんど花は残っていませんが、思わず咲いているのを見かけると嬉しくなります。


最後は急なところを登っていきます。


2600m台。この程度の雪で、今のところ全く支障はありません。急なので歩くとザラザラと崩れるので登りにくいのですが、出来るだけ大き目の岩や動いたとしても安定感のある大き目の石の重なったところを選びつつ進んで行きます。


かなり急になってきました。と同時にズボズボする新雪もこの辺りには増えてきました。



慎重に目の先、5歩先、10歩先…と先まで続けて歩けそうなのかどうかシミュレーションしつつ進んで行きます。雪のある所を歩くのは久しぶりなので感覚がつかみにくい💦


雪のない所は登れるかどうか分かりやすいので判断が楽です。


もし足がズボっとなっても、一歩一歩ゆっくり底までグリグリして足場を作っていきつつ登ればまぁ大丈夫です。時間かかりますけど、帰り同じところを通るのであればなおさらです。


選択として、このまま正面の先までそろそろ進んでから稜線の部分で上まで行く、というのもあったんですが・・・


真上。直角っぽいけど、雪はないし案外手でつかめる岩も要所要所あったので、こちらから直に行くことに(^▽^;)


登った先は・・・あれ、想像に反してかなり広くて平たいです。もっとギザギザで狭いところを想像してたので意外です。
まぁ、景色はなかなかいいのでこれでよしとしよう。標高約2700mの地点です。正面にはエギーユ・ダルヴとエギーユ・ド・ゴレオン。


こちらは右側の城壁のような方々。ほぼ垂直な岩壁でとても登れそうにはありません。


ここでお昼ご飯にしとくか・・・
パスタとトマト味の野菜入りツナ缶、ベランダのバジルを持って来ています。


トマトツナ缶をソースのようにしてたっぷりのバジルまみれのパスタ料理ができました。3分間で茹るパスタなのであっという間にできます。
正面はグランド・ルース山塊のピック・ド・レタンダール(3464m)。白くなってるのは残雪もほんの少しはあったのかもしれませんが、特に新雪だと思います。




後編に続きます。

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