フランスで山歩き

仏リヨン在住、40歳を過ぎて再び山に目覚めた元ワンゲル部員。週末になるといそいそと山に出かけています。

リベンジに挑戦!ル・ロシャイユ(3022m)

調度1週間前の金曜日のお話です。仕事が休みで晴天の予報だったので迷わずお山へ(^^♪
その前の週末に次男とドライブ三昧、2日後の日月で子供たちと南仏の遠い山にテント泊遠征の予定だったのであまり遠くまでは運転したくありません。そこで8月に撤退していてリベンジしたかったエクラン国立公園の端っこに位置する3000m級のひとつに再チャレンジすることにしました。


まず、自宅から2時間ほどで「怖い道(県道)」が始まるブール・ドワザンの町に着きました。


県道の初めに通行禁止の標識。といっても下記の時間は、という注意書き付きです。道幅が狭くて普通自動車同士ならすれ違える場所まで片方がバックすればよいだけの話なのですが(それも嫌ですけど💦)、平日スクールバスの通る時間帯は通行禁止となります。金曜ですがこの時点で7時台だったのでまだ大丈夫です。帰りも夕方16時10分~16時40分を避ければOK。
この道は来るのが4度目になるのでそれは把握済みだったのですが、山道に入って少し進んだところでこんな看板が・・・


「県道219号線 9月17日から11月9日まで8時~18時は工事のため通行止め」
・・・つまり夕方6時まではたとえ下山してきても帰られないということです。う~ん・・・もっと早くに下りてこられる計算なんだけど。持って来ているハイキング地図には別のハイキングコースも色々載っているので少し運転すれば行き先を変えることは可能です。でもこのリベンジ、雪が積もるまでにやっておきたかったのでこのまま進むことにしました。県道の終点にある村自体にはお店とかないので時間潰せないけど、ハイキングコースで調整しながら下りて来たらいいだけの話です。


8月に来た時にも記事に書きましたが、「イゼール県で最悪の県道」と言われる崖沿いの怖い道。すれ違えない幅のところもいっぱいあります。一番怖いのがカーブしていて先の見えない、1車線分しかないトンネルです(゚Д゚;)  全部で確か4つくらいトンネルがあります・・・いきなりジャバジャバっと滝のよう水が落ちてくることもあり、アドベンチャーワールドのようです。真っ暗で自分の車のライトの灯りのみ、スリル満点です💦


村に着く直前のカーブする地点に駐車スペースがあるのでここに停めます。前回は8月上旬の日曜日だったので確か3台くらい車が停まっていました。すれ違ったのは途中にある山小屋に泊まっていた兄さんのみでしたが…今日は他に車はありません。


7時半になったばかり。ようやく明るくなり始めました。


7時半過ぎに歩き始めです。ル・ロシャイユはコース外でこれといった道がない山ですが、途中の山小屋まではちゃんと道になっていました。3時間30分とありますが、そんなに歩くのが早い方ではないわたしでも前回2時間ジャストで行けました。


まず谷底の川が流れている地点まで下りるんですね・・・イヤなコースです。


川を越えて森の中を上っていくと放牧地帯に到着します。


こんな感じの開けた平たい野原(放牧地)を横切って再び森に入ります。前回はここらに牛さん達がいました。


そしてここから結構下るんです💦
帰りのことを考えると「も~~やめてぇ」と泣きたくなります。


振り向くと木の間からエギーユ・ダルヴやエギーユ・デュ・ゴレオンのカッコいいシルエットが。


1433mの地点まで下りてきました。恐らくこのコースで一番標高の低い位置になると思います。車を停めているのは約1500mの地点です。


期待していなかったのですが、紅葉がとてもきれいです。奥の雪を被ってる辺りが目的地の周辺になります。累計高低差1700m、15㎞のロングコースです。


険しい谷の右側の斜面の山肌に沿った細い道を登って谷の奥に進んで行きます。これが結構長い・・・


エギーユ・ダルヴと紅葉。


時おりこのようなザレ場になりますが、基本的に土の道です。


ヴィラ―ル・ノートル・ダム村。ここに到着する直前の道路に車を停めています。


小さな滝が流れ落ちていました。


朝日が紅葉した木を照らし出してとってもきれい。つい振り返ってはうっとり眺めてたくさん写真を撮ってしまいます。前回は景色的に面白いものがない8月だったのでほとんど立ち止まらずに歩きました。なので前回よりも歩くのに時間がかかっているかもしれませんが、どっちみち早く下りても道路が通行止めなのでちょうどいいかもしれません。


これは1800m台くらいのところに残っている雪。2ヵ月前に来た時にはもっと大きく残っており「8月に2000m以下の地点にこんな雪の塊が残っているなんて」とびっくりしましたがさすがにもう融けていると思っていたので心底驚きました。例年を大きく上回る積雪量の昨冬だったことが再確認されました。


遅咲きのジョンシアンがぽつぽつと見られました。


時折水が流れているところを歩いてきましたがここである程度の水量で流れている地点にやってきました。あ、これは・・・覚えています。その目の前の盛り上がったところの裏に・・・


ありました。レ・ソース避難小屋です。Les Sourcesとは水源のこと。川が近くを流れていることを予想させる名前の小屋です。前回は若い兄さんが小屋の前にいて「中に弟たちがまだ寝てる」と言っていたのでした。


誰もいなさそうだけど、一応ノックして(^^; そろっと開けてみます。


小屋の中。


とっても小さいですが味があります。電気が来てるわけではないけど、電池の入ったランプが天井に吊るしてあります。一番印象的なのはクラシックなコーヒーミル✨
今から向かうル・ロシャイユの古い写真が貼ってあります。


小屋からの景色。ここで朝を迎えるのはとても気持ちが良さそうです。


出発から2時間ほどです。写真を撮りまくってたけれど前回とほとんど同じタイムでした。


この小屋を最後に道が急に分かり辛いものになっていきます。でも前回途中まで行ってるので問題ありません。小屋の上を右に登っていきます。


これは先ほどのジョンシアンとは違って、わたし個人的には夏の後半以降は見かけない種類のジョンシアンです。10月に咲いているのは初めて見ました。



うちを出る前に朝ごはんは食べているし、駐車場でドライフルーツ入りのパンを数切れ食べたのですがもうお腹が空いてきました💧 イチジク入りシリアルバーでエネルギー補給です。


道は分かりにくいけどケルンが時々あるので助かります。小さくて遠くからは見えにくい時が大半ですが、ときどきこのくらい大きなのもあります。


要は右側の斜面を隙間から反対側に越えていくということです。無駄に上り下りしないために、盛り上がった部分を歩いて行きます。この辺は元氷河だったモレ―ンです。


モレ―ンだけあって思いっ切りザレています。
この辺から頂上まで、ガレガレ&ザレザレから逃れることはできませんでした。


約2400mの地点。雪が少しあります。残雪なのか、新雪なのかはよく分かりません。
そもそも8月に来た時、なんでロシャイユ諦めたかというと、今向かっている上りの部分に雪が溜まっているのが遠くから見えて「アイゼンがなかったら無理だろ~!」って早とちりしてしまったためでした。👇 8月の写真。

右下の滝のように写っている白く細長い部分。これが今から登る部分なのですが、離れたところからだととても急なように見えます。雪も結構残っていてこりゃ無理だろ、と代わりにそんなに急なところはない正面の斜面の峠っぽいところ(=代理案①)に登っておいたのでした。
👇

代理案①から望むル・ロシャイユ。奥の一番高い部分です。つまり同じ稜線上まで来ましたがこの位置からだと崖になっているので登ることはできません。やはり、前述の滝のように見えた斜面から裏に回り込んで反対側の峠、稜線からぐるっと登ってくるしかないのです。


遠くから見るとものすごく急に見える坂でしたが、今登っているのがそれです。実際登り始めると少し急な程度で大したことはありません。8月は、代理案①から下りてきたあと実際にこの部分に近寄ってそれが分かったので時間もまだ早かったし登り始めたのでした。雪がたんまりあったけれど横の雪がない部分を歩くことが出来たのでした。


峠やそれに近い地形のところを越えて反対側に回り込むときは何とも言えずワクワクするものがあります。瞬時に見えてるものがガラッと変わる魔法のような瞬間と言ったらよいのか・・・山歩きをしていて最も楽しい瞬間のひとつです。


日が差してきました。


正面に見えてきたのは前回、代理案①のあと登った2785mの山。代理案②とします。残念ながら名前はないようです。ロシャイユは急なザレ場岩場、細い稜線を登らなければいけないのが分かっていましたし、実際に目にするとほんとに登る気の起こらないふてぶてしいビジュアルであえなく撃沈。代理案①に登った後この地点に着いたときには既に1500mの高低差を歩いていたのでもうあまり元気が残ってなかったのでした。


代理案②に登っている途中の風景👇

代理案①も、登ってる時には特別に急だとは思わなかったけれど、ここから見ると普通に登れるような斜面ではないように見えます😅
この日はロシャイユそのものには登ってないのに、ロシャイユだけに登るよりも多い1900mの高低差、距離でも20㎞近くになってしまいました。この夏一番たくさん歩いた1日でした。


さて、8月に撤退した日の話はこれくらいにしておいて、先週の話に戻ります。

こういう平たいところに到着しました。2500m台と特別高い場所ではないのに地形なんでしょう、雪がたんまりと残っています。
左にそびえる代理案②の右後方に見える似たような形の山はピック・デュ・コル・ドルノン(2872m)。前回、ロシャイユの代わりに代理案②とどちらにしようか迷ったんですけど代理案②のほうが距離的に近かったことや立地条件的に代理案②のほうが頂上からの景色がよさそうだったのでそっちに登ったのでした。


ケルンと道の形が薄っすらと見えていたため、雪の溜まったところからすぐ左の斜面を登り始めたのですが・・・


間もなくケルンも道も全くなくなりました。マイナーな山ではよくあることなので気にせず歩き続けます。


非常に歩きにくくなってきました。なにこれ?こんなに早く岩々のとこ登るんだったっけ??ここで地図を出してみます(遅っ)。どうやらこんな初めから登らず、まずはお椀型のザレ場の底の辺りを通って奥まで進んでから登るのが正しいようです。一体何だったんだ、あの初めらへんのケルン・・・ザレ場が嫌いで岩場LOVEなクレイジーな人が登りながら作っていったケルンだったんでしょうか。


振り返って。


せっかく高い位置を歩いてきたのに正しい道(いや、決して道にはなってないのですが😅)を求めてまた底の部分まで下りてしまうのは悔しいのでちょっと歩きにくいけどガレガレ地帯をトラバースして峠方面に向かうことにしました。間もなくやたら石が赤っぽいエリアに辿り着きました。8月に来た時に避難小屋前で出会った地元の若い兄さんが「赤い土峠」をロシャイユ峠の前に通過する、と言っていたのを思い出しました。


結局地形的に「赤い土峠」がどの地点を指すのかは分からないままでした(地図にも載っていません)。
そもそもロシャイユ自体、コース外の山のため避難小屋以降は道らしい道もなければ看板はひとつもありません。最後にあった看板は森の中の1400m台の地点のものでした。


👇しつこく8月の写真です、すみません。ふたつ目に登った頂上(=代理案②)から眺めたロシャイユ。

赤っぽい斜面が見えますよね、今ここを登っているわけです。登ったら特にどうということはないのに少し離れると登れそうにない斜面に見えます。目の錯覚なんでしょうね。


これは・・何Σ(゚Д゚)
花びらの真ん中に穴が開いた花がこの地帯いっぱい咲いていました。


水がちょろちょろと流れる湿った場所には少しサクシフラージュが咲いていました。10月後半に見るのは初めてのような気がします。


花のように見えたのですが、葉っぱが黄色く枯れた後、真ん中から新たに若い葉が出てきたものでした。10月の後半で標高もそこそこ高いのに暖かいせいでしょう、枯れていない植物を結構見かけました。


高度が上がるにつれ、後方の景色もどんどんよくなってきていますエギーユ・ダルヴの下の辺りまで見えるようになってきました。


稜線の部分に近付いてきました。


おおっ✨ケルンと感動の再会です(^▽^;)
よっしゃよっしゃ、正しい道に合流出来たってことで上出来です。わたしが登ってきたところも特に登りにくい所ではなかったですが、もうすこし右手の砂利の細かい斜面を登るのが正しいみたいです。帰りはケルン通りに帰ろう😅


峠に到着します。看板とかはないですが、ロシャイユ峠(2756m)です。



次回に続きます。

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