フランスで山歩き

仏リヨン在住、40歳を過ぎて再び山に目覚めた元ワンゲル部員。週末になるといそいそと山に出かけています。

足の中に入っているもの

退院して車椅子生活を始めて今日で3週間になります。1週間後には退院後初めての診察(「SOSドクター」の訪問医や先週の救急は除く)を控えています。
ハイキング中の怪我で骨折した両足首のうち、複雑(開放)骨折の左に付いている固定器具がまず印象的だと思います。わたしだって手術の麻酔から目覚めたときはビックリしましたから💦


レントゲンで見るとこうです。踵とくるぶしの間の2本は貫通してます:(;゙゚'ω゚'):


でもわたしの人造人間ぶりはそれだけではありません!見えないところまでメカニックな仕組みになっているのです。


退院時にもらったレントゲンです。黄色は骨折してる部分。はい、2本です・・・
多かれ少なかれいつも痺れを感じるし、どうも不自然な感覚だなーと常に気になっていますが、それも当然。外側だけでなく足首内部にもこんなに色々入ってるんです。比較的軽傷の右足首内部にもネジひとつが埋め込まれているそうです(-_-;)
1日も早くメカシステムなしの人間に戻りたいです。



今日のテーマ「放牧の牛」骨折→カルシウム→チーズ→牛さん、というごく自然な?連想ですね♪


先日は夏にハイキングをしていると時々出会う放牧の羊の写真を見ていただきましたが、放牧といって普通想像するのはむしろ牛かもしれません。放牧の時期は羊と同じくらいで乾燥した土地でも順応できる羊に比べて牧草が青々とした緑のゆたかなエリアで放牧されてます。


ヴァノワーズ国立公園、2015年6月
牛の放牧といって思い浮かぶ場所のひとつがヴァノワーズです。子供たちと初夏に山小屋に1泊して周回した思い出のハイキングです。


エクラン国立公園、2017年7月
子供たちと3日間でハイキングをした際、1泊目の山小屋から2泊目の山小屋へと向かう最中、牛さん達が後ろから歩いてきました。
全体的に乾燥した土地が多いエクランですが、谷を隔ててセルス山塊と接しているエリアは緑が豊かで牛の放牧に適しているようです。


ボージュ山塊、2016年6月
全国的には知名度が低いボージュ。あまり高い山はなく、なだらかな山中心で牛の放牧が盛んです。


ボージュ山塊、2016年8月
これもボージュ山塊。手頃なハイキングコースもたくさんあるし近いので時々来ます。子供たちと初めてハイキングに来たのがこの地方で、その時民宿のご主人が連れて来てくれた農家で毎回チーズを買って帰ります。


ボージュ山塊、2016年8月
サヴォア地方の伝統品種、タリーヌ(タランテーズ)。搾乳量は少な目ですが質の高いおいしいミルクを出します。
放牧期間は山にお花が豊富な時期。お花が混じった牧草を食べた牛さんのミルクからは香り高いとびきり美味しいチーズが作られます。


オート・タランテーズ地方、2018年7月
タリーヌともうひとつのサヴォア地方の伝統品種は顔が白いアボンダンスです。タリーヌに比べて目つきが悪いのが特徴です。共にサヴォアが誇るとってもおいしいチーズ、ボーフォールを作るのに使われる品種です。
子供たちと1泊ハイキングした時でしたが翌朝には日本に里帰りするというのに帰りに農協でどっさりとボーフォールを買い込んで帰りました。


ボーフォータン山塊、2018年9月
ボーフォールは作られている地域が比較的広いのですが、その名前の由来にもなっているボーフォータン山塊でも盛んに作られています。ボーフォールに限らず、チーズが作られている地方にハイキングに来たら必ず買って帰ります。


グランド・ルース山塊、2017年8月
牛さん達はハイキング道の上に堂々と寝そべっていたりもします∑(゚Д゚) ガンつけられてる次男。横から迂回しなさい、って次男に言ったのですが間もなく彼方からどいてくれました。


セルス山塊、2018年7月
相変わらず牛にガンつけられてる次男。「子牛だから怖くなかったよ♪」


1枚上の子牛さんから少し離れた場所に大軍が居座ってました。遠くから見ると白い岩がいっぱいあるように見えていました。


アルヴ山塊、2017年9月
タリーヌ(右)とアボンダンス(左)にガン見されてるわたし。


セルス山塊、2017年7月
こちらの方たちからのプレッシャーもすごいです。そそくさと通り抜けます。


ボージュ山塊、2017年9月


アルヴ山塊、2017年8月
牛さんたちは綺麗好きなので仲間同士でペロペロしているのを時々見かけます。可愛い(*^^*)


アンバン山塊、2017年10月
2500mくらいの地点だったと思います。通常はもうとっくに標高の低いところに下りている時期ですが、この年は非常に暖かい秋でしたので放牧期間を延長している農家も多かったようです。1泊して周回で帰る途中、この辺りから道が薄くなってきて全く見えなくなりかなりウロウロしました。地図と見比べて大体の方角に行くと何となく道の形になり、何とか続きを進みましたが、人気がないエリアのようで羊飼いさんひとりを除いて誰とも会うことのない孤独な、でもとっても美しい秋の1日でした。


モン・スニ山塊、2017年9月
お気に入りの1枚です。
山塊最高峰3612mを含む3300〜3600m台の山頂7つを結ぶ10kmの岩稜歩き(コース全体は17km、高低差1900m)からの帰り、道を見失って適当に下りてきてようやく道に交わった後に出会った牛さんたち。この写真を見るだけでその時のホッとした気分を思い出します😅
わたしのハイキング史上(ってたった4年)5本の指に入るしんどい(でも同じくらい美しい)ハイキングでした。



今日も長々とお付き合いくださってありがとうございました。

山とビール

昨日は親しい女友達ふたりがお昼ご飯を持ってお見舞いにやって来ました。車椅子生活では料理を作るのは難しいので、何か持って来てもらえるのは正直、助かります(*^^*)


友達のお父さんが田舎で摘んできたというスズランを持ってきてくれました。フランスでは幸運を呼ぶと言われ、5月1日に親しい間柄で贈り合う習慣があります。イースター菓子の記事は数日遅れでしたが、こちらはフライング気味です( ̄▽ ̄;)


飲み物はわたしが用意しました。お山の帰りに買った地ビールは白ビールとジェネピ(高山植物)風味。そちら方面の山小屋で時々出てくるメーカーです。色々なビールを知っている彼女たちのお眼鏡にも叶いましたヽ(^o^)


ワインは南ブルゴーニュのリュニー村の農協で買った白。シャルドネ特有の華やかさとブルゴーニュらしい複雑さを併せ持ち、全体的によくまとまっていてワイン好きにも特別そうでない人にも受けが良く値段も手頃なので10年以上前から時々買っています。


そんなわたしセレクションの自信の品々を出してきたというのに、わたし自身はコントレックスですよ( ̄◇ ̄;)カルシウムが多くて骨に良いと骨折関係の記事にありました✨アルコールは逆にあまり良くないらしく、現在禁酒中なのです…


友達が持って来てくれたのはパエリア、赤キャベツサラダ、バゲット、アプリコットのタルトとチョコレートでした。チーズだけうちにあったのを出しました。残念ながらおしゃべりに夢中になり過ぎて食事中の写真が一切ありません。先日、病院ではあんなに撮ったというのに💧



ビール繋がりで(かなりこじつけ)今日はお山で撮ったビールの写真をいくつか載せたいと思います。


エクラン国立公園、2016年8月
先日の氷河のテーマの時に登場したピラット氷河です。すぐ横にある山小屋で注文し、グラスを持って少し散歩しました。


エクラン国立公園、2016年7月
元同僚と2泊で周回してハイキングをしました。日本から戻った翌朝出発というハードスケジュールでした。猛暑の中1300mの高低差を登ったのでビールが格別に美味しかったです。白ビールにレモンが一切れ入っていてさらに爽やかに。


2泊目に泊まったもう少し標高の低い山小屋にて。


セルス山塊、2017年7月
山小屋2泊でソロハイキングでした。
2枚前の写真と同じメーカーのビールです。ここのはとても美味しくてラベルも可愛い!


2泊目に泊ったモン・タボール山小屋にて。前日に飲んだのと同じメーカーの生ビールです。年配のご夫婦と夕食前のひと時をおしゃべりしながら過ごしまし
た。


2018年7月、セルス山塊
子供たちと長男の彼女と4人で2泊3日でハイキング。1枚上と同じ山小屋ですが、駐車場も違えば距離や高低差も前年ひとりのときと比べると半分ほどのコースを組みました。(^^;)
パリからおいでの二人組の男性とビールを飲みました。自分の歩いたコースの話をしながらおつまみを分け合ったり楽しい時間を過ごしました。


セルス山塊、2018年7月
同じハイキングで2泊目の宿にて。地元サヴォア県のメーカーでしたが、見たことのないビールでした。白ビールが好きなのであるとついつい注文してしまいます。


エクラン国立公園、2018年6月
2年前に泊まった山小屋ですがイギリス人の女性が新しく管理人さんになっていました。同じくイギリス人がすぐ近くの町で作ってる白ビールを注文しました。味わい深く感動✨


オート・タランテーズ地方、2018年7月
子供たちと山小屋1泊で周回コースでハイキング。地元メーカーが好みに作ってくれるという山小屋オリジナルの生ビールを注文しました。おいしかったけど、味はあんまり記憶にありません💦


アルヴ山塊、2018年12月
同僚S君、山友Aちゃんとスノーシューハイキング。このふたり(例え片方だけでも)となら大抵宴会になります( ̄▽ ̄;) S君のエマージェンシーシートがピクニックシート代わりに∑(゚Д゚)


ボーフォータン山塊、2019年3月
友達Dちゃんとスノーシューハイキング。Dちゃんがビールを持って来てくれました。冷え性だからほんとは寒い時はビールは苦手なんだけどせっかくだから飲みましたよ、ブルブル💧


しかもDちゃんは栓抜きを忘れてスノーシューの爪で開けました∑(゚Д゚)


ボーフォータン山塊、2017年2月
ハイキング帰りに通った山小屋で研修を終えたガイドさんたちが一杯楽しんでいたところに招待されました(^▽^;)


ピレネー国立公園、2018年5月
初遠征のピレネーで友達とハイキング。1泊した山小屋にて。


今日も最後までお付き合いいただいてありがとうございました。

痩せ細ってきた(ToT)

寝たきりの入院生活と退院してからの車椅子生活で5週間になります。覚悟はしていましたが、ふくらはぎが確実に痩せてきました。脂肪だったらいいのですが、動かない間に落ちるのは筋肉です(T_T)
ちなみに体自体や顔は痩せも太りもしていないように思います。体重は・・・なにせ立てないので計れません( ̄▽ ̄)


こうして見てみるとそうでもありませんか・・?
元々が結構ごっついふくらはぎだったので、これでも「細くなった・・」って思います。
よく一緒に山に行く同僚S君も若い頃膝を骨折していた時期はふくらはぎが「まじで、細い棒みたいになった」と言っていました。


こちらはギブスの右足。退院直前に作り直してもらった時はほぼピッタリで指の一本も入らなかったのが今では指4本入ります(-。-;


今のところまだ棒とまではいかないけど、左足は器具が取れたあとギブスになり、それが取れてようやくリハビリが始まるという長い道のりです。棒になってしまうのも時間の問題でしょう💧
太ももはまだ動かす機会もあり、そこまでは筋肉は落ちていない気がします。機会だけでは足りないと思うので右足はベッドの上で意識的に動かしたりもしていますが、左足はあんまり動かすと器具のすねに刺さってる棒周辺の皮膚が若干動いて痛くなるで最低限に留めています。


でも一度は「細い棒」のようになったふくらはぎも、そのあとリハビリを頑張ったらちゃんと元に戻るとS君や、ほかの骨折経験者の友達からも聞いています。
何ヶ月ぶりかにお山に行けた日にはほんの少しの高低差も歩けなくて悔しい思いをするんだろうけど、それでもなんでもその日が待ち遠しいです。


今日のテーマ「放牧の羊」・・・いや、羊さん達って体の割に足が棒みたいに細くて
(;´・ω・)


フランスで夏に山歩きをしていると放牧の牛や羊の群れに出会うことがあります。牧草の豊かな草原地帯だと牛、もっと乾燥した土地なら羊が放し飼いになっています。


アンバン山塊、2017年10月
放牧期間は6月半ばから9月後半くらいまでのことが多いようですが、この年の秋は非常に温暖で良い気候だったので、例外的に期間を延長していると後に出会った羊飼いの兄さんがおっしゃっていました。


エクラン国立公園、2016年6月
山小屋から下りる途中に山に上がってくる羊の群れに出会いました。多分200匹くらいはいたと思います。群れの先頭と最後に人間が、途中2匹のワンちゃんが誘導して歩かせていました。斜面をすこし登ったところに身を寄せてすべての羊さんが通り過ぎるのを待ちました。わたしの姿を見て驚いてUターンしてしまう羊さんもいたので(それを見てパニックになり何匹もめちゃくちゃな方向に散ったりもするので)出来るだけ木に隠れるようにしていました(^^;)


エクラン国立公園、2015年10月
この日は逆に山から下りてきた羊さん達が冬の間を過ごす土地に向かうところに出くわしました。エンジンを切り羊の群れが通り過ぎるのを待ちます。こういう季節の変わり目の羊や牛の移動をトランジュマンス(移牧)と呼びます。


エクラン国立公園、2015年9月
エクラン国立公園が続きます(^^;) 牛の放牧は難しいけど羊ならいける岩々して乾燥したエリアが多いのです。奥の特徴的なとんがりはエギーユ・ディヴォナ(3131m)。見た目から分かるようにアルピニストにしか登れない山です。


エクラン国立公園、2017年8月
一枚上の写真と同じエリアをハイキングした時です。群れからはぐれてしまった2匹の羊さんが気の毒になるほどオロオロとさまよっていました。


シャルトルーズ山塊、2018年9月
牛と違って羊は臆病なのでできるだけこっそりと歩く必要があります。これも正面から来た子羊さんを怖がらせてしまった場面です(;´・ω・) ごめんよぉ💦


タイユフェール山塊、2018年2月
ハイキングコース上で放牧地に入る地点に立っている看板。「群れはそっとしておいてください」「犬は繋いでください」など注意事項が書かれています。


エクラン国立公園、2016年8月
こんなちょっと変わった子も見かけました。エクランの放牧の羊はチーズや羊毛より主として食肉用だと聞きます。


スペイン、バスク地方、2018年3月
フランスバスクは羊乳チーズ作りが盛んで毛が長く顔が黒いマネーシュ種がよく見られます。この日スペイン側で出会ったのは同じく毛は長いけど真っ白の羊でした。どちらにしてもアルプス山系ではまず見かけない品種なのでちょっと興奮してしまいます(^▽^;)


ヴァノワーズ国立公園、2018年6月
ヴァノワーズといえば牛の放牧の方が圧倒的に多いのですが、ここでは例外的に羊をいっぱい見ました。こんな美しい景色のところで悠々と草を食んで幸せそうなこと・・・



今日もお付き合いくださってありがとうございました。