フランスで山歩き

仏リヨン在住、40歳を過ぎて再び山に目覚めた元ワンゲル部員。週末になるといそいそと山に出かけています。

久々にヴァノワーズ国立公園へ(最終回)

子供たちにとっては今シーズン初めての山歩きとなったヴァノワーズ国立公園での1泊ハイキング。行き先はエクラン国立公園でも良かったのですが(わたしはどちらかというとエクランのファン)、前日夕方に南仏での3泊4日のハイキング旅行から戻るのにそちら方面の道路から帰ってきてるんですね・・12時間後に同じところ走るのイヤ(;´Д`)
・・・そんな理由もあってのヴァノワーズでした(^^;
でも子供たち、特に次男はヴァノワーズが大好き。今まで行った山の中で一番きれいと言っています。


今回泊まるのは標高2100mにあるル・ソー山小屋。オープンを1週間後に控えて日中は管理人さんを始めスタッフが色々と作業をしていましたが夕方には帰っていきました。


こちらがわたし達が泊まる離れの建物。母屋とは10mほどしか離れていません。3、4年前に改装されたばかりでとっても清潔で便利でした。


小屋の壁には国立公園内にある山小屋のマップがありました。


こちらが母屋です。ストーブに入れる木を取りに行きます。


良さそうなのを見繕います。ちなみに我が家で火関係の担当は長男です^_^


無事火がつきました\(^_^)/
日中はそれなりに暑かったものの夕刻が近づくと肌寒くなってきました。ストーブはありがたいです。


子供たちがストーブの火を付けている間にわたしはご飯の準備をしました。


野菜のみじん切り入りとポレンタ入りスープとパスタを作りました。


夕食の後は毎回のことながら夕陽を見に行きます。
これは9時過ぎ。日が長いです。


9時半。


夕陽を見ていると外国人ハイキング客がやってきました。泊り客、わたし達だけかと思ってたらひとり増える・・? すると「これは山小屋(避難小屋やシャレーではなく正式な、という意味)か?」と英語で聞いてきます。どうやらテントを設営するつもりのよう。ヴァノワーズ国立公園ではテント設営は山小屋のすぐ近くのみ容認されているのです。時間も夕方から朝のみと決まっています。この人はその後山小屋から50mほどのところにテントを張っていました。
わたしたちもそろそろ寝たいと思います。


翌朝はゆっくり目に起きました。いつも張り切って少しずつ辺りが明るくなり始める5時前とかから山小屋から出たり入ったりするわたしですが、この日は7時前くらいにようやくコーヒーを作りに下の台所へ下りていきました。ほんとに快適で普通のアパートみたい。ここが山の中とは思えません。かなり原始的な山小屋(避難小屋)に寝泊まりすること多いので・・・ちなみに使用料は大人10ユーロ、25歳以下は5ユーロでした。管理人さんがいる時期だともう少し高くなります。


もうとっくに明るいです(^-^;
今朝は正面のこんもりしたところをまず登っていきます。


山小屋前で。出発は8時でした。


最初の20~30分ほどだけきついですが後は緩やかです。


2300mほどの地点。雪が残ってる場所が増えてきました。


2450mくらいの地点。


もうひと頑張りで峠です。


シャンルージュ峠(2529m)に到着です。


峠で休憩しているとトレラン姿の男女がやってきたのでモンブランをバックに3人の写真を撮ってもらいました。


やり投げ大会


そり滑り大会(参加者1名)


さて十分に休憩したので次の目的地に向けて歩き始めます。目指すはメルレ湖2450m。100m下るだけ?と思いますが、実際には2200m台まで下りた後また200m以上登ります(~_~;)


この後、コース上にかなりの面積と量の雪が残っている場所がありました。わたし達より一足先に峠を出発していたトレラン男女も「どーする」と立ち止まって考え込んでいます。ちょうど逆方向から歩いてきた二人組がありました。雪のあるところを迂回してかなり遠回りをしながら登ってきています。
子供たちに左下に広がる谷底を指さして「結果的にあっちに下りられたらいいんよね」
・・・彼ら、ニヤリ。
トレランカップルが躊躇している横を次男が先頭を切ってお尻で滑り降りていきました。続いて長男、わたしの順です。そこそこ傾斜があったためほとんど引っかからずにあっという間に下りることができました。そろりそろりと歩いて下りていたら30分はかかったであろう斜面が約10秒です(^▽^;)


滑り終えて。


谷底の湿地帯を歩きます。


滑り降りてきた坂を振り返って。


トリコロールは国立公園の境界線。


もう少し進むと前方に湖が見えてきましたが、これは目的の湖ではありません。わたしたちは左側に登っていきます。
が、せっかくなのでこちらもざっと見ておこうと思います。どうせ徒歩5分かからないくらいだし・・・


ぺートル湖(2282m)。標高が低いだけあり、かなり前から氷は融けている様子です。


このあと200m近く登ります。
日も高くなり暑くなってきて次男がバテ始めました(;´Д`)
「まだ登るのォ?」という目で見られた時、、、
到着しました(´▽`) ホッ


メルレ湖(2450m)


湖から少し上がったところには山小屋があります。いいシチュエーションなので泊まってみたいところのひとつです。


湖の氷は完全に融けていますが周りにはまだ少し雪が残っています。


12時前になろうとしています。水がもうあまり残っていなかったので山小屋の近くの小川まで上がって水を汲んでから湖の方に戻ります。


湖の畔でご飯にします。
サラミを切る次男


お昼ご飯は雑炊っぽいものを作りました。それだけでは足りないので常に登場するサラミとチーズにパン。


景色を楽しみつつお昼を食べたらまた出発です。このあとまた別の峠に向かいます。湖からは100mほど上がります。


奇怪な岩がそびえています。



向かう場所の等高線をまじまじと見てみると思いのほかこの後もアップダウンがきついことに気が付きます。しまった、ちゃんと見てなかった・・・(@_@;)
なんでちゃんと見てなかったって・・・?そりゃあ、前日夜に半日運転して南仏から帰ってきて入念なスケジュール立てる暇がなかったんですよ。。
とりあえず泊まるところ確保して、2日で周回できそうなコース、と地図を眺めつつ思い付いた日程でした。アップダウンが思った以上にきつく、特に今から向かう峠のあとさらにふたつ峠があり、アップダウンが約300m×2回あるのです。
山小屋を出発してからここまで多分800mくらい合計登っています。あと600m・・・気温の高さも手伝って疲れてきています。体力のある長男も「え~~まだ登りあるの!?お母さんなんでこんな素敵な(嫌味)コース考えたん?山小屋往復で良かったん違うん?」
・・・怒ってます(;´・ω・) 次男は文句は言わない代わりに絶望的な目でわたしを見ています。
「だって・・だって・・・往復より周回の方が楽しいかなってお母さん思ったんだもん💦」
しかし、あと峠をふたつ越えないと昨日の朝車を停めた駐車場には戻れません。または今まで来た道をぜーんぶ戻るか?長男「えーーあの滑り降りた雪のいっぱい残ってるところ、あれ登るの!!??無理無理」そりゃわたしだって嫌だ・・気温も上がって一歩一歩踏み抜くことは確実です。ゲイター持って来てないしな。


四面楚歌・・・決断を迫られます。
地図を凝視しつつ、2年間の登山人生(爆)で初めての解決策をとることにしました。
出発地点と別の村に下りる


昨日出発したのはメリベルというそこそこ大きなスキー場です。そもそもこの辺りにはスキー場が多いのですが、ミシュランの星付きレストランが複数あり国内外のお金持ちが集まる有名スキー場、クールシュベルもこのすぐ下なのです。というかその時いた地点からは最寄りの人里になります。
仕方ない、クールシュベルに緊急下山です。
クールシュベルからメリベルは直線距離では遠くないんですが、道路だとそれなりにかかりそうです。今日は日曜で割増料金だし、結構かかりそうだな・・・でも背に腹はかえられません。600m、わたしひとりなら「ひぇ~~死ぬ~~」とか言いながら登りますが、この行程を決行すれば、子供たちは多分もうわたしのことを信用しなくなってしまうでしょう。「もう去年みたいなしんどい計画は立てないから」という約束なのに(;´Д`)

クールシュベルは大きなスキー場で標高別に3つのエリアに分かれています。わたし達はそのうち一番標高が高い「Courchevel 1850」に向かって下りていきます。


疲れ果てて無口な次男


スキー場を歩いています(;´Д`)


ぜぇぜぇ・・
下りるのにも2時間以上かかりましたが300m×2回よりはまだましです(~_~;)


最後の40分ほどは森の中でした。村に到着してまずは高級別荘エリアを通り抜けます。クールシュベルのなかでも一番リッチ層がシャレーを持っている地区だそうです。


10分ほど下りていくとスキー場の中心地区に到着しました。下りていく途中でイメージとして、ちょっと大きなホテルなりツーリストインフォメーションなりカフェなりでタクシーを呼んでもらう・・・だったのですが、そんなのなーーんも開いてません!ゼロです、ゼロ。ゴーストタウンです。人っ子ひとり歩いていないのです。
まあスキーシーズンのようには賑わっていないにしても、ハイキング客はいるだろうし通年オープンしてるホテルやお店もあると思ってたのですが甘かったです’・・・


ネットは繋がったので、タクシーを探してみます。コールセンター(しかしクールシュベルではなくもっと離れた大きい町の)の番号と、個人でやってるタクシーの電話番号がひとり分だけ出てきたのでその人にかけてみました。頼む・・出てくれ・・・
あ、出ましたっ。「あ~僕、今休暇中でクールシュベルにいないんだよ。コールセンターは日曜はやってないからかけても無駄だよ。僕の知り合いの運転手の電話番号を二人分教えるよ」
その番号にかけるとひとりは出ず、もうひとりはこれまた今日はお休みなので別の町にいる、と(T_T) その人がまた別の運転手の電話番号を教えてくれ、この人が「じゃあ今から行くよ」と。助かった・・・
ただし「すぐ近くに住んでるわけではないので30分かかります。」ということでスキー場の中心地で待ち合わせです。いくらになるか聞いてみると「75ユーロです」カード払いは出来ないそうで、現金は20ユーロくらいしか持っていなかったので「それじゃあATMで引き出しておきます」と返事し、タクシーを待ってる間にATMを探しました。
・・・ない。
世界的に有名なスキー場なのに??
そしてもしATM見つかったとしても、この完全なるゴーストタウンで機械の中にお金入ってるの?という心配も出てきました。リフトの発着点近くにショッピングセンターがあり、いかにもこの中にはありそうな感じなのにショッピングセンター自体閉まってて入れません(-_-;)
どうする!?誰かに聞きたいけど誰も歩いていない・・・しばらく放心状態でフラフラあてもなく歩いていると地元ナンバーの車が通りかかったので両手を振って停まってもらいました。乗っていた老夫婦は「中心地から少し下りたところに銀行があるよ。今日は日曜だから閉まってるけど、ATMは使えたはず」・・・メルシー・ボークー💖


こうして無事にお金をおろすこともでき、タクシーも時間通りに来てくれてしかも革張りの素敵なメルセデスのバンで、おっちゃんは地元のスキー場や山のことを約35分間の道のりの間ずっと説明してくれ、なんとか7時前には自分の車に戻ることができ、9時ぴったりにうちに帰ることができました。
こうして南仏メルカントゥール4日間+ヴァノワーズ2日間のプチ・バカンスを終え疲労困憊で翌朝の月曜朝、仕事に復帰することができました(;´∀`)

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