フランスで山歩き

仏リヨン在住、40歳を過ぎて再び山に目覚めた元ワンゲル部員。週末になるといそいそと山に出かけています。

嬉しいこと悲しいこと

しばらく前から滞在している酪農農家では牛さんの出産シーズンで仔牛ちゃんが週に1、2匹生まれます。
大体は安産で問題なく生まれるのですが、そうでないことも時々起こります。


先日はいつものように朝7時前に牛舎に下りていくと、赤ちゃんを身ごもっていた牛さんの1頭が流産していて、中型犬と大型犬の中間位の大きさの仔牛ちゃんの亡骸が傍らに転がっていました。
幸いお母さん牛は元気でケロッとしていて?元気でしたが、とても切なくなりました。
医療設備の整った病院で生まれる人間の未熟児はかなり小さく生まれても生き延びることができますが、牛舎で生まれる牛さんの赤ちゃんにそのチャンスはありません。


一昨日の夜中に農場主のSさんがドアを叩きました。1階が牛舎で2階が居住スペースになっているのです。
「出産が長引いていて危険だから手伝いに来てくれ!」


逆子でもなく、安産パターンに思われたのにお母さん牛が疲れているのかへたり込んでしまい、仔牛ちゃんの頭半分と前足の片方しか出てきていません。
両方の足首にロープを括り付けて器具で引っ張りたいのですが、どうしてももう片足にSさんの手が届かないのです。
出産が長引き、仔牛ちゃんは舌がグッタリと垂れています。仕方がないので片足だけにロープを括って引っ張り出しました。


動かないのでバケツの水をかけ、体を叩くと反応がありました。
しかし、片足だけで引っ張り出したため、もう片方の前足が膝の関節のところで折れてしまったようでブラブラしています。
Sさん「命を救うために選択の余地がなかったけど、可哀そうだな・・・この子は立ち上がれないだろう」


命は助かったけどぐったりしている仔牛ちゃん。
牛に限らず、家畜が怪我や病気で痛みに苦しむ場合、人間と違って治療よりも安楽死を優先させることがありますが、それが頭をよぎります。
2時過ぎ(夜の)には部屋に戻りましたが、なかなか寝付けませんでした。


翌日の朝。
仔牛ちゃんは立ち上がってミルクを飲む本能がありますが、前足の片方が折れ曲がってるので立ち上がりたいそぶりは少し見せるものの、全然立ち上がることが出来ません(T_T)
それだけでなく、出産が長引いた影響か、まだ弱弱しくあまり動きません。
わたしも座り込んでゆっくりゆっくりとお母さん牛のミルクを入れた哺乳瓶を飲ませました。うつらうつらと眠りがちで全部飲ませられなかったので、残りはお昼に温めて飲ませました(通常は仔牛ちゃんのミルクタイムは朝晩2度)。なんか自分の子供が赤ちゃんだった時のことが思い出されます。


昨日は日中ずっと曇っていましたが、夕方の搾乳時には晴れ間もでてきました。


1階部分が牛舎で50頭ほどの大人の牛と現在6匹の仔牛ちゃんがいます。
牛舎に入ると、嬉しいサプライズが。


片足の関節がグニャグニャで立ち上がれなかった仔牛ちゃんが、ガクガクと震えながらですが、何とか立ち上がったのです。
嬉しい(≧∇≦)


立っとる✨
可愛い😻
ただ、ミルクを飲むのには時間がかかり、その間ずっと立ち続けることはできなかったので朝や昼と同じく寝そべったままのミルクタイムとなりました。


そしてこれは今朝。
他の仔牛ちゃんたちと同じく、立ってミルクを飲むことが出来ました✨


アップで😊


これも今朝の写真。
昨日の夕方には少し晴れたけれど夜から雨になり、農家の裏山には雪がうっすらと。


折れていなくて脱臼?してただけだったのか、折れていても立ち上がることが出来たのかは、レントゲンを撮ったわけではないので分かりませんが、足首の複雑骨折の影響であまりちゃんと歩けず、再手術を待ちつつリハビリ中のわたしにとって大きな勇気を与えられる出来事でした。



お読みくださってありがとうございました。

×

非ログインユーザーとして返信する