フランスで山歩き

仏リヨン在住、40歳を過ぎて再び山に目覚めた元ワンゲル部員。週末になるといそいそと山に出かけています。

放牧地帯にチーズを買いに行く(中編)

こないだの日曜の話です。2、3日前から日曜は雨との予報だったのでうちでまったりと家事、料理、ブログでもしようかと思っていました。
前日土曜日の夜0時台にフト天気予報を見ると・・・いきなり好転しており、お昼過ぎまではまあまあ晴れ間が出るようです。
その代わり、次の休みである火曜の天気予報は悪くなってきています。
じゃあ、ぎりぎりだけど明日は山に行こうか・・・?
しかし、
・5日前にアドベンチャー系ハイキングの日帰り遠征したばかりであまりしんどいことはイヤ
・日曜は出かけるつもりなかったので夕食に友達夫婦を招待してしまった
・友達夫婦とのご飯はフォンデュなので(また…)うちに残っていたフォンデュに使えるタイプのチ-ズを使い切ってしまう予定
というような要素が重なり、里山感覚の近場、サヴォア地方のボージュ山塊にチーズを買うのを目的としたハイキングに行くことにしました。標高が低い目で緑が豊か、牛の放牧が盛んな地方です。
2年前に子供たち+友達とで来たことのあるエリアです。その時放牧のシャレーの一軒でチーズを売っていたので買ってみたら感動のおいしさだったのでした。


400mほど登って森を抜け放牧地帯に入ったあたり。


一般車両は通行禁止ですが放牧業の人達など許可のある車だけ走れる林道があります。
見事に日本のRV車ばかりです✨放牧に限らず、山で見かける車(RV車やピックアップ)は日本車率が高いです。丈夫なようで、15年くらい前のモデルもいくらでも見かけます。あとはJeep、Land Roverあたりで、間違えてもシトロエンやプジョーは出てきません(^^;)


サヴォアが原産のアボンダンス種の牛たちのカウベルの音が響き渡ります。
奥に見えるのはトレロというボージュを代表する山のひとつです。雪が少なかった昨年12月初めに行きましたが、2181mと決して高くはないもののとっても登り甲斐のある山でした。
👇そのときの頂上からの写真。奥にモンブランが見えています。


標高が低い&緑が豊かという、いつもと違う条件の場所なためか、いつも見かけない花が咲いています。


牛の移動搾乳ハウスが無造作に置かれています。


ラルキュルザ峠やダン・ド・ラルキュルザはこちらですよ、の手作り看板がシャレーの前に。自分ちの方にハイキング客が間違えて入ってくるのを懸念してここの持ち主の人が作ったのかな、と想像したのですが二度「DE L'ARCULSAZ」と書くのがとっても面倒くさかったらしいです(-_-;)


放牧地帯に入ってから3軒目くらいのシャレー。この次のがチーズを売っているシャレーです✨


いつものことながら牛さんにガン見されつつ先を急ぎます(^^;
お目当てのシャレーは遠くに見えています。


着きました(^^♪
小屋の方が中から出てきたので、休憩がてら立ち止まって話をします。2年前に来た時にいたのとは別の方です。チーズを買いたいんだけど、そう天気も悪くないから峠まで歩いて行ってからまた戻ってきて買おうと思う、と言うと道を説明してくれ始めました。
「えっ‥💧でも峠ってこの目の前のとこですよね?しかも地図に道筋載ってるし」と口を挟むと「うん、でも行く人少なくて途中道消えてんだよ」・・・え~~またですかぁ!?呪われてんのかな、わたし。。今日はとってもポピュラーなハイキングコースにきたつもりなんだけど(;´Д`)
おじさんは「そこに牛3頭いるだろー、その先おっきい岩あるだろー、木が一本生えてるだろー」など分かりにくいものばかりを目印にした説明を一通りしてくれたのですが、わたし的には、こんななだらかな場所は目で見て歩くものなのでほとんど聞いていませんでした(^▽^;) ごめんなさい💦
「急いで峠まで行きなさい。ガスりかけてるけれど、今すぐに行ったら反対側の景色も見えるから」
・・・え~~今日は癒し系だから急いで歩くとかないんですけど。。
でもそこまで言われたら、早い目に歩くしかありません(~_~;)


シャレーで飼ってる牛さん達。アボンダンス種とモンベリヤール種・・・


それにこれもサヴォアの代表的な品種、タリーヌ。


半分ほど登ったところで振り返って。既に道は見失ったので適当に登っています。


雨水やなど水の流れによって浸食された石灰質の岩、ラピアスが今日も登場しました。


おおっ、これは~!!
5、6月にしか見たことがないキンポウゲ科のトロールという花です。ボージュでも初夏にはたくさん咲いているのですが、こんな時期に見たのは初めてです。


峠っぽい地形の方向を目指して軌道修正していると・・・おじさんが言ってた「1本木があるだろー」の木と思われるあたりに道を発見Σ(´∀`;)


もうすぐですか・・・?


もうっ。急いできたけど真っ白やん~~


対して、登ってきた方面は辛うじてガスから出ています。


ガスの中ですけど、おやつ休憩です(やけくそ)。
いい石がなかったのでカメラを乗せるためだけに大きい石をふたつ積んでセルフ。
癒し系の日なので軽い靴と、登山には何の関係もない普段よく着ているカーディガンを着用(;'∀')


インスタントカフェオレ(最近ブーム)とチョコチップ入りビスケットです。


トレランの人が登ってきて、峠の横から少し登れるところがありそちらに登って行ってから間もなく来た方面にまた下りていきました。この日出会う初めての人でした。この後、シャレーの近くでマウンテンバイクの男性ひとり、帰りの下りで中年のご夫婦二組、駐車場に近いチャペルでもご夫婦一組、というのがこの日出会ったすべての人たちです。日曜だし、ポピュラーな場所にしては少ないなという印象ですがやはりお天気がいま一つなせいかもしれません。
座っていると寒くなってきたしわたしもさっさと下りたいと思います。


下りたらお天気は良さそうなのが救いです。


行きはルートを外れたところを歩いてたので出会わなかったのですが、看板が立ってました。「十字架」・・何の十字架?この看板こそ遠くから見たら十字架に見えるわ、と心の中でツッコんでみたのですが後でシャレーのおじさんに聞くと、この朝天気さえよければ登ろうと思っていた山「ダン・ド・ラルキュルザ」の頂上の十字架のことだそうです。この看板から道が分岐しているようには全く見えなかったのですが、これまた「行く人が少ないからほとんど見えない(踏みならされていない)」道なんだそうです(-_-;)


こんなです、ダン・ド・ラルキュルザ方面。これじゃー行く気が起こりません・・・この地点からの高低差は400mくらいなので1時間もかからないでいけそうなんですが、また別の機会に行くとしましょう。ちなみにおじさん曰く、反対側からも登れるそうです。その場合、全然別の駐車場出発になります。


シャレーに戻って来ました。


ただいま~~


牛さん達は思い思いの場所で草を食べています。


・・・で、ここのシャレーは牛だけでなく山羊も飼っているのです(*'▽')
この山羊乳のチーズが、2年前に来た時に買ってとっても美味しかったのでした。確か牛乳製のチーズは買わなかった気がします。


なんか迫力のある山羊たちです。南仏とかで見る可愛い山羊ちゃんとは一線を画した存在感です。体もでかいし・・・


なんかガラの悪い見るからにボスみたいなやつがいました。


牛舎。山羊も入るのかもしれません。
相変わらず日本製RV車(しつこい)。


牛舎の中。


こちらはメインのシャレー。あ、出てきたおじさん、この人は2年前に来た時にいました。


シャレーの正面。


入り口の上に何か書いてあります。

"ça va bien se passer" 「きっと上手くいくさ」・・・って、何が( ̄▽ ̄;)??
 よく分からんけどポジティブなメッセージを受け取りました✨
山羊さんとジョンシアンの花のイラストが可愛い(*´▽`*)


おじさん「さー入って入って。今チーズ作ってるところだけどね、もうすぐ終わるから。あ、中見とく?」


先ほど峠までの道を説明してくれたおじさんがチーズ作りをしていました。若い男の子がミルクを温める大きな銅鍋を洗っているところでした。

これは小さめのやつ、山羊のトム(山のチーズ)になるんだよ、とおじさん。


へーっ、ほーっ、と見ているわたしに「コーヒー飲むかい?」とチーズ作りの手を休めてコーヒーをいれに行ってくれました。


2年前もいたおじさんは、ここのシャレーの持ち主でした。メインの建物の隣にある熟成庫に案内してもらいます。前回は確かここの入り口で待ってたような気がします。


まずはトム・デ・ボージュ、この地方特産のAOP(原産地呼称制度)に指定されているチーズですが、これの出来るだけ熟成されたものをひとつともう少し若いのをひとつ見繕ってもらいます。


これは牛乳製の小さいもの。


型から抜いてあまり経っていない作りたてほやほやのチーズ。


わたし用に選んでもらった分。上のふたつは山羊乳製。その大きい方をあとひとつ足してもらいました。


わたし用チーズを5つ持って熟成庫から出てきました。


メインのシャレーに移動し、包んでもらいお会計をすまします。
1,2~1,3キロあるトム・デ・ボージュがひとつ12ユーロ、大きい方のヤギのトムが8ユーロ、小さいほうのが5ユーロです。


昔ながらの製法でバターを作っているようです。樽に生クリームを入れてグルグル回すとバターとホエイに分離されるのです。
経験から言って、おいしいチーズを作ってるところのバターはめちゃくちゃおいしい!
「わー、バターも買います~」と浮かれて言うと、「でも、すぐにうちに帰れないよね?駐車場まで2時間以上かかるし、車も2時間って言ってたよね、まだ寒い季節じゃないから帰るまでに悪くなってしまうよ」と売ってもらえませんでした(゚д゚)!
珍しいことですが、ある意味親切とも言えます。ううう、残念・・・次は保冷剤完備で来ます(^_^;)


チーズ、全部で4キロくらいになってます。嵩もあるし、ザックは既に結構いっぱいなので、横の部分のベルトにでも括り付けるつもりでした。するとおじさんが「いっぺん中のもの全部出してみ」と、詰めなおしてくれました。なんと5つのチーズが全部入りましたΣ(゚Д゚)


帰りは別の道を通って駐車場まで下りることができます。


シャレーが小さくなっていきます。まだ11時半になるかどうかという時間ですが、これ以上進むと森に突入しそうなので、草原になっているここら辺でご飯にする方が気持ちよさそうです。

                                     

こんなところです。座れる岩があったのでこの辺にしました。


今日持って来たもの。


雑炊風にしたいんですが・・意外とご飯が柔らかくなりません。レンジでチン用のやつだからかもしれません。                                                                       

それでもしぶとく煮続けると、なんとか雑炊チックになってきました。
レトルトパウチの味付きサンマを投入。
いただきます(*‘∀‘)



後編に続きます。下界の村の農家にも行きます(^^♪

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