フランスで山歩き

仏リヨン在住、40歳を過ぎて再び山に目覚めた元ワンゲル部員。週末になるといそいそと山に出かけています。

賑やかな避難小屋から、静かな雪山散策へ

お気に入りの避難小屋に泊まって、雪山ハイキングをした時のお話です。


4時間くらいかけて到着したメルレ避難小屋。
今回で泊まるのは5回目。スキーで来たのは初めてでした。
この辺りは夏には羊の放牧地になるためか、羊のものと思われる骨が窓際においてありました。


マットレスばかりか掛布団まであるのは、避難小屋としては珍しいです。
夏用シュラフで大丈夫なので、荷物が軽くて助かります。


今まで来た時は、誰も宿泊客がいないことが多かったのですが、今回パリから来たという3人組の男の子たちと一緒になりました。
写真は彼らのスキーとザックの一部です。


朝、起きたときは1,2℃だった気温が2,8℃まで上がっていました(^^♪
真ん中の数字は時間ではなくて気圧です。


荷物のパッキングを終えて出発しつつあるパリジャンたち。
お山の話ばかりか、パリの日常生活のお話も聞かせてもらってとても楽しかったです。

みなさん、お気をつけて!!


考えてみると、パリやリヨン(わたしです)といった大都会の人間が、こんな電波も届かない山奥の雪に埋もれた避難小屋で一緒になって、時間を過ごす、というのは面白いことですね。


3人組が出発してしばらくしてから、わたしも散策に出発しました。
まずは川を越える必要があります。昨日、水汲みの最中に雪が崩れて、片足がハマったにっくき川です(;^_^A


右奥を目指して、適当なところを歩いて登っていきます。
あんまりポピュラーな場所ではなく、トレースはほとんどありません。


右手を見ると、何本もの小川が流れているのが分かります。
今の季節、雪で繋がっていて渡れる場所が多いのですが、夏は渡れるだけ幅の狭い部分を見付けるのが大変で、結構遠回りをしないといけなかったりします。


登っていると、暑くなってきてダウンを脱ぎました。


表面が融けつつある川。
氷の色がきれいです・・・とか言って落ちないように気を付けます(^-^;


うわ✨


湖の一部何だか、川なのか、水たまりなのかよく分からないきれいなのがありました。
うっとりしてしまうパステルっぽい水色です。


もう少し進むと、湖がありました。
ほんの少し、融けかけています。いくつかの湖が集まったモレタン湖のひとつ、ラック・アンフェリエ―ル(低い湖、の意味)です。


氷が融けかけの川とか湖って、大好きなもののひとつなので、見られて嬉しいです。


さらにしばらく登って、ラック・シュぺリエール(高い湖、の意味)に到着しました。
ほとんど融けていないけれど、湖の形はよく見えています。
もっと真冬だと、雪の量も分厚くて、湖がどこにあるかも全く分からないものなのです。


ところで、今朝のお散歩の目的地は、右手正面に見えている峠だったんですが、こうして見ると、かなり急斜面です。スキーを脱いだら登れるだろうけど、そこまでして一番上まで行かなくてもいいかな(^▽^;)
あっ、その少し左手に・・・


良さげなでっぱり(中央やや左)があるので、そこを「今朝の頂上」ということにしたいと思います。


My頂上でおやつというか、早い目のランチにします。
ジェットボイルは小屋に置いてきたので、暖かいものはなしです。


午後編に続きます。
お読みいただいてありがとうございました。

パリジャンたちと避難小屋の夕べ

今までに4回泊まったことのある一番のお気に入りの避難小屋に、初めて山スキーで行った時のお話です。


お昼過ぎに着いて、小屋内でランチを食べた後、午後の散歩に出て戻ってくるとパリから来た3人組の男の子たちが到着していました。
日が暮れるまでは外の方がぽかぽかと暖かいので、彼らとお喋りしつつ小屋前で過ごしましたがお日様が隠れると急に寒くなり、ぼちぼち小屋の中に戻りました。


さすが男の子、テーブルの上の散らかし方が半端ないです(;^_^A
ちなみに真ん中の子が一番山スキーの経験が豊富らしく、リーダー格のようでした。


3人が晩酌タイムに入ったので、わたしも何か・・・
デカフェインのコーヒーとスナック菓子という謎の組み合わせです。3人はというと、ウイスキーとピーナッツという、わたしが一度も山に持って行ったことのないもの同士の組み合わせでした(;^_^A


完全に暗くなってしまう前の空の色を見たくて、もう一度外に出ました。
小屋前をぐるっと一周撮ってみました👇

Merlet au soir
わたしの大好きな小屋の周りの雰囲気を知っていただけたら、嬉しいです。


いよいよ真っ暗になってきたので、ランプを天井に吊るしてくれました。


トム・デ・ボージュ(サヴォワ地方のチーズ)、パンにインスタントスープというシンプルな晩ご飯です。パリジャンたちは豪勢に!?ハイキング用のフリーズドライ飯でした。
そのうちひとりが、デザート代わりに持って来ていたチョコレートを分けてくれたのはいいんですが、他の子が「俺、チョコレートのお代わり~!えっ、もうないの!?」となり、ちょっと気まずい思いをしました(;^ω^)


ご飯の後は、作戦タイム!?です。
彼らが今日の午後、山小屋に来るのに通ってきたのは、わたしが明日行こうと思っている辺りだったので、様子を教えてもらいました。
彼らは明日が最終日なので、山を下りるのに通る場所を決めていました。3泊4日で山塊を縦断するため、出発した駐車場とは別の地点に着くので、バスがもしなければタクシーを呼ぶことになるみたいです。


夜になって雪が凍りツルツルと滑ること、スキー靴を履くのが面倒くさいこと、ドアの建付けが悪く(以前よりも悪くなってた😓)、隙間風が入らないようにきっちりと閉めるのにかなり力がいることから、外に出る気がしなくて窓から撮った星空です(;^_^A
おやすみなさい☆彡


朝✨まだ小屋内は薄暗いです。
ドアの辺りから外の光が入ってきていることからも分かるように、隙間風がひどくて、結構寒かったです。でも夏用シュラフに布団を2枚被って、なんとか寝られました。ダウンをシュラフの中に着る必要はありませんでした。


木のストックがなくて、薪ストーブを点けられなかったのに、あたかもストーブの火で乾かしてるっぽく干してあるパリジャンたちのスキーのシール(滑り止め)。洗濯紐がストーブ前に掛かっているので、そこになるんですよね(^-^;
左はわたしのインナーシューズです。昨日の夕方、水を汲もうとして小屋前の小川に思いっきりはまってべちゃべちゃに濡れたんでした。
意外と少し乾いていました。まだ冷たいけどジュクジュクというわけではないので、何とかなりそうです。


少しずつ明るくなってきました。


パリジャンたちのザックなどが全て壁の高い位置に掛けられています。
というのも、彼らは今まで営業山小屋(ヒュッテ)以外には泊まったことがなく、避難小屋は初めてだというので「ネズミが出るから食料は絶対に出しておいてはいけない、ザックのポケットにシリアルバー入れてたら、そこのファスナーの周辺が食いちぎられて(本体の素材は頑丈で歯が立たないのでファスナーの部分の薄い部分を狙われた)、ポケット使えなくなった」という経験談を話したら、全員震えあがってこんな高いところに吊るしたみたいです(;^_^A 
そして実際に、昨晩、小さなネズミが走っているのを見かけたし、今朝は糞を少し見つけました。



小屋内の気温は1,2℃でした。1月に泊まったピレネーの避難小屋では、暖炉に火を入れても0℃が最高気温だったこと、2月に泊まったアルプスの避難小屋では朝0℃だったことを考えると、春になったんだなぁと感じますね( ̄▽ ̄;)
ちなみに815というのは気圧で、時刻ではありません。


3人がゴソゴソと起き出したので、わたしも合わせてベッドから出ました。
朝ご飯にします。2泊あるので、変化をつけるため今朝はシリアルにしました。
例によって、スキムミルクを混ぜてきたので、水を加えるだけで牛乳をかけたみたいに食べることが出来ます。それと、いつも通りインスタントコーヒーです。


パリジャンたちもジェットボイルを持って来ていました。
水筒とか魔法瓶とかいっぱいで、そのほかの荷物チョイスについても、ミニマリストのわたしからしたら、改善の余地がいっぱいで、その結果、かなり嵩高く、かなり重たいザックになっていました(;^_^A
まあ、男の子だから力もあるし、わたしみたいに足首に問題があるわけでもないだろうから、大したことじゃないのかもしれません。


小屋の外に少し出て見ました。たまらなく好きな景色です。
残雪の多い年の春の終わりというか初夏に来たことはありましたが、雪山と呼べる時期に来たのは初めてで、しかも自分が一生関わることがないと思っていた山スキーで、ひとりでここまで来られたことが何よりも嬉しいです。


午前辺編に続きます。
お読みいただいてありがとうございました。

午後のお散歩とパリジャンたちの到着

前月末のスキーハイキング記です。
お気に入りの避難小屋に到着して、ランチしたところまで書きました。


今回で泊まるのが5回目になるメルレ避難小屋。
避難小屋LOVEなわたしですが、5回も泊まったことがあるのは、ここともうひとつしかありません。どちらも、小屋自体と、建っている場所の両方が好きというのがあります。
最寄りの駐車場から遠いのも、満員になる可能性が少なくていいです。


避難小屋は、営業山小屋(ヒュッテ)と違って予約できないので、他に宿泊客がいるのかどうか、ドアや窓が壊れているなどの不備はないのか、それ以前に開いているのかどうか(工事中だったり、夏季は羊飼いさんが使っているなどの理由で使えないことも)、などといった基本的なことまで来るまでははっきりと分からないのがドキドキします(;^_^A


午後の散策に出掛けるにあたって、食料品は壁に取り付けられたちゃんと戸が閉まる棚にしまいました。避難小屋は真冬以外は、大抵どこでもネズミが出るので、今の季節はどうなのかよく分からないけど、その方が安心です。


スキーにシール(滑り止め)を貼ります。


どこに行くか特にないけど、とりあえず小川を越えました。
まだこの時期、雪解けがあまり進んでいなくて、渡れる場所がいっぱいあったけど、思いのほか幅があるので、夏に来るとそうそう渡れないんですよね💦


奥は今越えてきた峠だし、明後日帰る時にも越えるから、あえて今はそっち方面はやめておきます。


右手のきれいなお山の方面。
これは明日行く予定なので、今日はやめときます。


となると、消去法で避難小屋の入り口から真ん前に見えていた辺りしかありません(^-^;
山小屋の裏という手もあるんですが、下ることになり、出来たら「登る→下る」にしたいので(ロードバイクも同じだけどいきなりダウンヒル、そしてヒルクライムって嫌)、却下です。


適当に登ってこ・・・


振り返って。
この辺り急に電波が入ってきて、メールやSMSの着信音が。
駐車場を出て、林道を歩いている途中に電波がなくなって以来、峠でさえ電波はなかったんですよね。こちらの谷の奥はスキー場のある町なので、ある程度登ると電波が入りやすくなるのかもしれません。


あー、もうそこら辺でいいです・・・
もう今日は朝から重たい荷物背負っていっぱい歩いてるので、適当なところで下りて、小屋でのんびりしたいと思います。


45分くらい登って、10分くらいで下りてきました。
すると、小屋前には3人の若者がいました。
挨拶すると、3泊4日でここベルドンヌ山塊を山スキーで横断中のパリからのスキーヤーさん達でした。ベルドンヌ山塊は、わたしは個人的に好きな場所だけれど、全国的にはマイナー気味で、遠くから来ているハイキング客に出会うことは、あまりないのでちょっとびっくりしました。


そうだそうだ、小屋前に人がいて、うっかり忘れてたけど川で水を汲もうと思ってたんだった・・・今晩の分と明日の朝の分と。
スキー板を外して川に下り、水を汲もうと一歩・・・あと一歩大丈夫かな・・と進んでいくと、やっぱり落っこちました(ノД`)・゜・。 
雪がドサッと崩れて、片足だけですが、見事にチャポンと完全に川の中にはまりました。
気を付けていても、定期的に起こる悲劇です。あ、しかも今晩薪ストーブないんだよね💦
乾かんやん(T_T)


パリジャンたちのインナーシューズや靴下と共に、屋根に干しました。
幸い、屋根はお日様が当たってちょっと熱いくらいです。日没までにちょっとでも乾いてくれたら嬉しいけど・・・


気を取り直して、汲みたての小川の水を沸かしてハーブティーをいれました。
木の板は、小屋の屋根の下に置いてあったのを見付けて、自分で引っ張り出してきたものです。これが滞在中、便利なベンチとして活躍することになりました。
しばらく、パリジャンたちと喋ったり、ひとりで黄昏たり、夕暮れまでのポカポカと気持ちの良い日向の時間を小屋前で過ごしました。


夕方編に続きます。
お読みいただいてありがとうございました。