フランスで山歩き

仏リヨン在住、40歳を過ぎて再び山に目覚めた元ワンゲル部員。週末になるといそいそと山に出かけています。

アルプスの雪の山小屋での夕べ

先月、ひとりで泊まりに行った山小屋のことを書きます。
このブログには山小屋と言っても、避難小屋の方が最近よく出てくるのですが、今回泊まったのは管理人さんのいる営業山小屋(ヒュッテ)です。


標高2260mの地点にあるエギーユ・ダルヴ山小屋。山岳協会(CAF=Club Alpin Français)に加盟しており、ベッド数は39。比較的小規模な小屋と言えるでしょう。
ここは一部のCAFの山小屋同様に、管理人さんがいない期間でも鍵が開いていて、勝手に使うことが出来ます。その際は使用料(もちろん管理人さんのいる時期の素泊まり料金よりは安い)を現金か小切手を備え付けの箱に入れるか、山岳協会宛てに郵送します。


食堂側の出入り口のドア。
一度は稜線の高い部分の裏に隠れた太陽が再び出てきて夕方だというのに明るく、そして暖かいです。雪山では特に、お日様の威力をひしひしと感じます。


食堂から直接テラスに出られます。写っていませんが、地べたには木の板が張ってあります。
階段を下りてぐるっと左に回ると、非常階段と出入口があり、寝室へはそちらから出入りするようになっています。


非常階段側の出入り口。
入ってすぐが靴箱になっています。左のドアは3ある寝室のひとつです。


部屋には、山小屋の名前にもなっているすぐ後ろにそびえる3つの峰、エギーユ・ダルヴの名前がそれぞれに付けられています。
わたしはエギーユ・セントラル(中央峰)の部屋を使ってくださいと言われました。


他の部屋のドアに貼っているイラストも可愛かったので載せておきます。
エギーユ・メリディオナル「南峰」


そして、一番印象的なのは一番低いテット・ド・シャ、「猫の頭」です。
これらの3つの峰「エギーユ・ダルヴ」はフレンチアルプ北部では結構有名なお山なんです。特徴的な形なので、遠くからでも確認できるのです。
こんな風に👇

隣の県(イゼール県)から見えるエギーユ・ダルヴ。
ただ、3つとも全てとても急なので普通にハイキングでは登れなくて、アルピ二スム(クライミングなどのテクニックや、相応の装備)が必要とされています。


農協バターの包装紙にも描かれています👇

農協はこれらのお山の真裏の地方になるので、この山小屋から見えるのとは逆になっています。こちらからだと、猫ちゃんは一番右側に見えるのです。


数えなかったけれど12人部屋くらいで、わたし一人なんだそうです。
この日はわたしに他に6人しか宿泊客がありませんでした。


窓からの景色。
カネルさんが「食堂は薪ストーブ点けたから暖かいですよ」と声をかけてくれたので、部屋から出ました。


手書きのお品書きの黒板の掛かった明るい食堂。


なんか懐かしい感じのする薪ストーブ周り。
他の人はまだ来ておらず、管理人さんのとわたしのものだけ乾かし中です。


よく片付いた厨房。
右側には作業台があって、カネルさんが夕食の準備をしておられました。
わたしは山小屋(ヒュッテ)に泊っても、素泊まりして自炊しますが、どこの山小屋でも2食付きで泊まる人が大半です。CAFの山小屋だと素泊まりもできるのですが、加盟していない山小屋の中には2食付きでないと泊まれないというところもあるようです。


管理人さんカップルの飼い犬のボーダーコリーちゃんがやってきました。
アスカちゃんという日本っぽい名前の女の子です。


人懐っこい✨
かわいい(≧∇≦)
ボーダーコリーに4分の1だけボースロンが混ざっているそうです。


まだ若くて遊びたい盛りのようです。カネルさんが外に出しました。
先ほどわたしがテラスでおやつを食べてる時も山小屋の少し上の雪の斜面を転がりまわって遊んでいました。


左が管理人さんのフロリアンさん。4人組のスキー客(3人しか写っていませんが)が先ほど到着して、食堂に来ています。明日行く場所の行程や雪の状態のアドバイスをもらっているので、わたしも会話に参加しました。
わたしが明日行くつもりをしている小屋の真裏のお山は、雪の状態が「最悪」なんだそうです😓その山と同じくらいのレベル(スキーでの下りの難易度)で少し高低差の少ない峠があり、そこは北向きの斜面なので、比較的雪の状態はいいとのことでしたが、パノラマといいう意味では前者には劣るようなので、予定通りに真裏のお山に行こうと思います。
雪の状態が悪いというのは、滑り心地が悪いだけの話で、雪崩が起きやすいとかいう意味ではありません。


トイレと洗面所。
有料でシャワーの使える山小屋もありますが、ここはシャワーはないそうです。


自炊室があり、調味料や食器は自由に使うことが出来ます。


ガス台は3ユーロを払って使うことが出来ますが、ジェットボイルを持って来ているので必要ありません。
この日、先ほどの4人組の他に、ベルギー人のカップルがいました。彼らも自炊組だったので、夕食前から同じテーブルでおしゃべりしていました。幸い、フランス語圏の人たちだったので(^▽^;)


質素な晩ご飯です。
朝、地元のパン屋さんで買ったボーフォール入りパンがあったのが華になりました。


茹で汁を少し捨てたパスタに、インスタントスープを足したスープ風パスタです。
ドライオニオンとハーブ、サラミも入れて食べました。
シェラカップが小さすぎて食べにくい💦
ベルギー人カップルは似たような感じで、インスタントスープにセモリナ(クスクス)を投入していました。ご飯中、お互いの山飯アイデアを交換し合いました。


ご飯の後、3人でストーブ前に椅子を持って来て、ハーブティーを飲みながらしばらくおしゃべりをしていました。
先程はほぼわたしのだけだったけど、みんなの靴下や手袋で賑やかなことになっています。


食堂の片隅に座布団を敷いたベンチがあり、お山関係の本や雑誌があるので、そちらに移動しました。


雑誌内に良さげな山小屋の記事があって、聞いたことのないところだったので写真に撮っておきました( ̄▽ ̄;)


テント泊用のエアーマットの特集も写真に撮っておく・・・


壁に貼ってあった動物の足跡ポスターも写真に撮っておく・・・


ウサギはいいとして、鳥さんの足跡ってちょっと難関過ぎやしませんか!?


おやすみなさい(って、真っ暗だったので、これは朝の写真です😅)


2日目に続きます。
お読みいただいてありがとうございました。

素敵な山小屋に到着

先月、山小屋に一泊したソロスキーハイキング記です。


1600m台の駐車場から1200mちょっと登った山頂、ポワント・デ・ラティシエール。
二人組の女性スキーヤーさん、ソロの男性スキーヤーさんがいたので少しお話しました。


3人ともわたしよりも先に下りて行ってしまいました。
今日は山小屋に下りるだけなのでのんびりです。この山頂は2865m、山小屋は2260m。
ただし、位置的に直接は下りられなくて、山小屋よりも下の谷底まで一度下りて登り返す必要があります。


最初の稜線の部分は急で幅が狭めな上に、2週間以上も積雪がなかったため、さんざん踏み均されてツルツルだったので、ボーゲンや横滑り気味に下りました。
その後はそう急なところもなく、2週間前の雪にしては状態も比較的よく、何よりもお日様で柔らかくなってきており、気持ちよく滑り下りていくことが出来ました。


11秒間の動画です👇

Descente Ratissières
天気も景色も良くて、幸せホルモン!?がドバーっと出る下りでした(≧∇≦)


高低差で500mくらい下りたでしょうか。
さて、問題はこの後です。
谷底の川に合流する別の小さな川を越える必要があります。駐車場に向かうらしいトレースはたくさんあるのですが、山小屋に行くにはどの辺で川を越えたらいいのかな・・・?
ちょっとドキドキです。


ひとり分のスキーヤーの川を越えたトレースが目に入ったので、そこを目指して下りました。川辺にズリズリと下りてる最中の動画です👇

Ruisseau Valloire
細い小川なのですが、近づいてみると川幅が案外あって、どこからでも渡れるわけではないんです、


この地点は雪で小川がまだ繋がっていましたε-(´∀`*)ホッ


これはまだ先月のお話なので、雪がたくさん残っているし雪解け水もそこまで流れていませんでした。暖かくなるにつれ、水量が増し川幅も広くなり、春らしい景色になってきます。
そして、渡れる場所は簡単には見つからなくなります(^-^;


この後、山小屋に向かって川沿いにゆったりと谷を上がっていきます。


最後は急斜面を登ることになります。
夏のハイキング道はこの斜面の高い位置を川沿いにずっとトラバースしてくる形になっていますが、結構急なので歩きにくいのに加え、おそらく雪崩の危険のある部分もあるため、山スキーのコースとしては谷底を登ってくることになります。


まずはトイレがあり・・・(常に急斜面😅)


山小屋に到着しました\(^_^)/
エギーユ・ダルヴ山小屋(2260m)です。
残念ながら日陰にはいってしまいました。
わたしが着くのと同時に、若い男性スキーヤーさんが戻ってきました。挨拶をすると「君、今朝電話してきた人だよね」と。ここの管理人さんのフロリアンさんでした。この日の朝、駐車場から「今晩泊まれますか」と電話したのでした😅


管理人さんは午後の空いた時間に少しスキーをしに行ってたそうでした。
小屋の1階部分にある物置小屋が薪&スキー置き場になっています。


管理人さんカップルの、彼女の方が出てきて案内してくれました。カネル(シナモン、の意味)さんという可愛い名前の女性です。
宿泊客は非常階段から小屋に入るんだそうで、これはその扉です。
正面のお山が丸い窓ガラスに映っています。


その扉から入ると、すぐ靴箱そして寝室があります。
今晩は空いているので、3部屋あるうちのひとつを一人で使わせてくれるそうです。


食堂の薪ストーブを点けるので、濡れてるものがあれば持って来てねと言われたので、靴下や手袋、インナーシューズ、シール(スキーの滑り止め)を乾かさせてもらうことにしました。


外に出ると、一度は日陰になっていたのにまた日向に!?
太陽が沈む直前、軌跡がほぼ稜線に平行した感じになるので、稜線の一番高くなっている部分の裏を通る際に日陰になった後、また出てきたのでした✨


お昼ご飯のデザートで食べ切れなかったクリームパン的な菓子パン(朝、地元のパン屋さんで買ったもの)とハーブティーでおやつにしました。


足元はこれです😅
スキー靴はインナーシューズが薪ストーブの前なので、山小屋の上履きのクロックスの偽物です。上履きだけれど、どこの山小屋でもテラスくらいまではOKです。


山小屋での夕べ(山小屋紹介)に続きます。
お読みいただいてありがとうございました。

モンブランがよく見える山頂で絶景ランチ

先月、ソロ一泊で出かけたスキーハイキング記です。
1600m台の駐車場を出発、山小屋とは少し別方向になる山頂に向かっているところまで書きました。


半分ほど登ったところで左側の景色。


右側にはモンブランが見えてきました。
日本で富士山が見えると嬉しいのと同じような感覚かもしれません。


そして真後ろに見えるのはセルス山塊の最高峰、グラン・ガリビエ(左)。
そのすぐ右下の雪がたっぷりと溜まっている部分にツール・ド・フランスなどで有名なガリビエ峠があります。


ソロ女性スキーヤーさんが立ったまま休憩しておられました。
駐車場では数人の男性スキーヤーさんを見かけたけれど、その後は誰ともすれ違っていませんでした。
挨拶だけして先を行かせてもらいます。


頂上が近づいてきました。
中央のとんがった部分が目指している山頂です。
左の大きいのは、繋がってそうに見えて、何百メートル(高低差で)も下りないと登ることが出来ない別のお山です。ここには明日、山小屋から出発して登るつもりをしています。
まずは手前のこんもりとしたのに登ります。


その続きはちょっとカッコいい稜線になっています。
2週間以上雪が降っていない&踏み均されてかなりツルツルな感じで、スキーで下りるのちょっと怖いやつだ(^▽^;)


稜線を登りつつ奥のやや右のモンブランを眺めて。


秒読みな感じです(^^♪


振り返って。
やっぱりスキーで下りるの怖いやつや(≧∇≦)


あ、先客がひとりいる様子です。
ちなみに左下に黒く写っているのは、酷使し過ぎてちゃんと閉まらなくなったカメラのレンズのキャップ(自動の)です。指でこじ開けることはできるのですが、ちゃんと確認していないことが多くて、しょっしゅう映り込んでいます😓


つ、着いた~\(^_^)/
ポワント・デ・ラティシエール(2865m)。アップダウンは数えずに、駐車場から1200mほど登ったことになります。
頂上周辺だけちょっと怖い感じがしますが(下りる時)、他は全体的になだらかなので、山スキーで難易度の低いお山とされています。


先客の女性スキーヤーさんとお話をしました。
ソロかと思ったら、お友達と一緒なんだそう。さっきわたしが抜かした女性がそうらしいのです。抜かしたの、山頂まで30分くらいある地点だったけど!?ふたりでハイキングしてるとは思えないくらい突っ走ってるな💦


頂上ランチにします(^^♪


インスタントの「オニオングランタン風スープ」
一口目はおいしんですが、すぐに胸焼けがするようなしつこさを感じます😓


連れの女性がようやく到着しました。おふたりはこの週末、山の麓のスキー場のある町に泊まってハイキングをしているんだそう。このお山には山小屋があるのに、もったいない💦
次いで、ソロ男性スキーヤーさんも登ってきました。
男性にこの近くにある別のハイキングコースについて質問しておられたので、わたしも便乗して聞いてました(^-^;


〆に、ここに来る途中の町のパン屋さんで買ったクロワ・ド・サヴォワ(ブリオッシュ生地のクリームパン)。サヴォワの国旗(昔は独立国家だった)の十字をかたどったお菓子で、サヴォワ地方のパン屋さんやお菓子屋さんには必ずおいてあります。
それとインスタントコーヒーです。
菓子パン大き過ぎて、半分しか食べられませんでした。また夕方ごろおやつにいただこう…


撮ってもらった一枚。


山小屋編に続きます。
お読みいただいてありがとうございました。