フランスで山歩き

仏リヨン在住、40歳を過ぎて再び山に目覚めた元ワンゲル部員。週末になるといそいそと山に出かけています。

一番聞きたくなかったニュース

3月に骨折して入院しているときから「聞きたくないな」と思っていた話題がついに耳に入り始めました。「峠道路が開通し始めた」というニュースです。お山の長い冬が終わりつつあることを暗示しています。日本で春の訪れを告げる「桜前線」がどこまで来たと言ってるのに、と似てるような、似てないような。


フランスの峠道路のうち標高の高いものは雪の多い期間は通行止めになります。その年の積雪量や除雪状況によって閉鎖期間は違ってきます。2017年から18年にかけての冬は雪が多く、標高の高いいくつかの峠道路の閉鎖は10月末(平年並み)、開通は6月上旬で中でも遅かったイズラン峠(2770m)の開通は6月20日を過ぎていたと記憶しています。実に年間7か月間かそれ以上が閉鎖されていることになります。


なんで聞きたくないかって・・・峠道路大好きなんですよ(;´Д`)
昨年は首を長くして待ちわびていた峠道路の開通。
両足首骨折、うち左足首は2本を複雑骨折で全治には半年やそこらかかりそうです。ハイキングはおろか、まだまだ運転もできないのです(つд⊂)エーン
わたしにとっては
「峠道路」=「素敵なお山の景色」≒「峠道路経由で遠くのお山に遠征♡」くらいまで空想が広がるのですが、左足にパイプが刺さり右足にはギブス、運転するといえば車椅子の今のわたしに「峠道路が開通した」という話は苦痛以外の何物でもありません・・・


先月末、サヴォア地方とイタリア国境にあるモン・スニ峠道路(2081m)が開通したそうです。そして今後もっと標高の高い峠道路も開通していきます。この冬は雪が少なめだったので少し早い目の開通になるようです。うう・・悔しい・・・



そういうことで、今日からいくつかの峠道路をテーマにしたいと思います。
まずは前述のイズラン峠。2770mで舗装道路として最もヨーロッパで標高の高い峠道路です。


イタリアからすぐのサヴォア県のオート・モリエンヌ地方のボヌヴァル・シュール・アルク村と同じくサヴォア県タランテーズ地方のスキー場として名高いヴァル・ディゼールの町とを結んでいます。ボヌヴァル村は「フランスでもっと美しい村」のひとつにも選ばれています。
昨年6月下旬の道路が開通して数日後と8月末の夕暮れ時にも通過しました。


スイスナンバーのスポーツカー3台組。峠道路はサイクリストやバイカーだけでなくスポーツカーや高級車で走りに来る人も多いです。


道路自体は除雪されていますが、周辺にはかなり雪が残っています。峠道路の開通直後に走る醍醐味です。


峠道路はどこもサイクリストさんに人気です。車よりも自転車やバイクの方が多い感じです。


峠のチャペル。


有名な看板の前で。


午後7時過ぎ。放牧の牛さんたちの搾乳タイムでした。この一帯はボーフォールチーズで有名です。


ハイキング中にしか見られないようなドキドキするきれいな景色です。全体としては雪が多く残る初夏の方がきれかったのですが、夕日に照らされる夏の終わりの枯れかけて暖かい色合いの山肌も美しかったです。


峠道路はヴァル・ディゼールの町で終わります。少し先のブール・サン・モーリスの街中にあるチーズ農協のボーフォールチーズは質が高くてお勧めです。昨夏のツール・ド・フランスではこの街を起点とした行程の日があったため農協の壁にはサイクリストたちの絵が描かれていました。


ご覧になっていただいたようにヨーロッパで最も標高が高く風光明媚なイズラン峠道路ですが、標高では4位のガリビエ峠道路や3位のボネット峠道路も劣らず魅力的です。2位のアニエル峠の地の果て感もいい。5位のイゾアール峠の紅葉も格別に美しかったし、季節にもよるから甲乙つけがたいのは事実です。それらのわたしの溺愛する峠道路も次に紹介したいと思います。


最後まで読んでいただいてありがとうございました。

フランスの介護タクシー(&オスのアイベックス)

町でよく見かけるけど、自分が両足首を骨折するまでは一度もお世話になったことがなかった介護タクシー。目立つのは救急車と同じストレッチャーごと乗車するものですがVSL(véhicule sanitaire léger)と呼ばれる小型車もあります。
2週間半入院したグルノーブルの病院から自宅へ搬送されたとき、それに先日市内の病院の救急に診察してもらいに行った時の往復に利用しました。


介護タクシー内。これは10日ほど前に救急からうちに帰るのに乗せてもらった車両です。病院が手配してくれ料金は医療保険から下りるので請求されることはありません。ただし、行きはその病院の書類(証明)がないため前払いしました。必要な紙を保険に送ったら払い戻されるのですが、これが結構高くてびっくりしました。復活祭の日だったので祝日料金だったこともあり、数キロ先の病院までが100ユーロちょっとです。


昨日はレントゲン撮影に行かないといけなかったのでまたこの介護タクシーを利用しました。保険から払われるとはいえ、うちから2km弱の病院までの往復がなんと・・・

137,50ユーロ(約17000円)!?
ぼったくりとちゃうのって思うでしょう?で、あとから医療保険のサイトで公式な料金を調べました。市街地内での移動の基本料金57,37ユーロ+(kmあたり2,19ユーロ×2)+5km以下の場合の割増料金7ユーロ、が片道なのでそれを2倍すると、まさに137,50ユーロですΣ(゚Д゚)


ま、それは仕方ないとしてこの看護タクシー会社ですが、昨日のレントゲン撮影に行くのにあたり、わたしのかかりつけ医さんの紹介で予約しました。
先日、救急に行くことになった時には既に昨日の予約を済ましていたので、それなら同じところにしとくか・・と電話したのですが、向こうが「14時に伺います。でもちょっと早く行くかもしれないです」というので付き添いの長男と10分ちょっと早い目にアパートの下の歩道で待っていました。


時間になっても現れず、やって来たのは14時15分でした。特に謝っても来ないけど、診察と違って時間が決まっていたわけではないから黙っていました。帰りは病院が手配してくれた別の会社のタクシーで帰りました。


そういう訳で、昨日のレントゲンに行くのにも「ちゃんと時間通りに来てくれるのかな」と不安だったのですが、インターホンが鳴ったのはなんと約束の時間の40分前Σ( ̄□ ̄|||)
「随分と早いですね?まだ準備できてないですけど」「いいですよ、待ちます」・・・
病院が近いこともあり予約の時間よりも50分も早く着いてしまいました。うちでのんびりしておけたはずの時間を待合室で待たされるのかとガックリしてると、運よくレントゲンの予約に余裕があり10分ほどの待ち時間で診てもらうことができました。付き添いには次男が来てくれました。


来週診察があるので、それに先駆けたレントゲン撮影でした。日本だときっとレントゲンも診察も同時にやってもらえるんではないかと思いますが、フランスでは入院中や救急で病院を訪れた時を除くと大抵は別々の予約になります。面倒くさいです・・・


帰りは行きと同じタクシー会社が来てくれましたが、30分以上待たされました。

行きと違うえらい大きな車が来て、寝台もあるのですが「車椅子のまま乗れますから」と空きスペースに乗せられました。何かで固定しているわけではないので、車椅子のブレーキをかけていてもカーブするときにススーっと滑り反射的に手を壁について止めましたが、下手すりゃ固定器具やギブスの足が壁にぶつかっているところです。ドライバーの男性と女性乗務員という二人組で女性の方はわたしの後ろにいましたが(写真右下に足が写っています)書類を書き込んでいて支えてはくれていませんでした。これでさすがに「まずい」と思ったのか、そのあとは車椅子に手をかけてくれていました。


その時はあれよあれよという間に乗せられてそのまま数分間でうちまで着いたので(しかも道を間違えられかけたので説明しなきゃならなかったり)、言われるままでしたが後から考えると車椅子を車両に固定させていないのもどうかと思うし、乗務員が立ったまま乗っているのも危ない話です(・・;)


来週病院に診察に行くのにもここを予約していたんですが、さすがにあかんやろ…ここ💧と一度うちに帰ってから電話でキャンセルして他のところを代わりに予約しました。逆切れされると嫌なので「診察の日が変るけどまだ未定」ということにしておきました(;^_^A
ちなみに先日の救急からの帰りに病院からの手配でうちまで利用した会社(最初に載せた写真のカードもそこのもの)にお願いしました。


先日はお山のスター、愛しのアイベックスの写真を何枚か載せました。メスや子供の写真ばかりでしたので今回はオスの写真です。アイベックスは単独行動もありますが、グループでいる場合たいがいオスはオスばかりで集っています。


ヴァノワーズ国立公園、2015年7月
若い2匹のオスのアイベックス。子供たちと3人で山小屋泊で周回ハイキングをしていて2日目の朝に出会いました。


フィズ山塊、2017年2月
普段ほとんど行くことのないスイス寄りのオート・サヴォア県のお山でスノーシューハイキングしました。目的地のテット・ド・モエード(2459m)に向かう途中、日当たりの良い雪の融けた斜面に若いのや貫禄あるのやら色々混じって7、8匹日向ぼっこしていました。


ベルドンヌ山塊、2018年10月
ベルドンヌの中でもあまり人気のないエリアらしく、道も荒れてはっきりしないし駐車場付近で散歩中の地元の男性に出会った他は誰ともすれ違いませんでした。その代わり、アイベックスはこのオスや、帰りにはメスや子供のグループを見かけました。


ヴェルコール山塊、2017年7月
カメラが壊れていた時期で携帯でしか撮れなくて残念・・・


セルス山塊、2017年8月
セルス山塊最高峰、グラン・ガリビエ(3228m)に登る最中のテルミエ峠(2876m)から少し上がった場所です。谷を挟んだ向かいのエクラン国立公園の4000m前後の雄大な山々をバックに大勢のアイベックスが寛いでいました。


ヴェルコール山塊、2018年8月
奥のグランド・ムシュロールを含む周回コースを歩いていて出会ったアイベックスのオスの大群。その前の年に来た時もこの辺りでオスをたくさん見かけました。その時はオス同士が角で一騎打ちをしていて(勢力争いでしょうか)、周りをぐるっと別のオスが見守っていたのは忘れられない光景です。


以下2枚はメスのアイベックスで、上の写真と同じ日に撮ったものです。前回のメス子供編で入れ忘れたのですがお気に入りの写真なのでここでついでに載せます。


ヴェルコール山塊の特徴である白い石灰岩。こういう直角みたいな岩壁も得意なアイベックス達、肉球が特別に発達しているそうです。



最後まで見ていただいてありがとうございました。

フランスのミネラルウォーター

両足首骨折(うち左足首は2本を複雑骨折)を出来るだけ早く治したい、と入院中から日仏の骨折関係の情報を検索していました。カルシウム源として日本ではよく「乳製品、小魚等」フランスでは「乳製品、ミネラルウォーター等」と書かれています。
入院先の病院で初めは水道水を飲んでいましたが、隣のベッドの同じく骨折されている方がコントレックスを飲んでいたのを見て、わたしもお見舞いに来る子供たちに頼んでミネラルウォーターを持ってきてもらっていました。


退院してからは値段が安い目のスーパーオリジナル商品を飲んでいたのですが、先日フト気になって調べてみると商品によってカルシウムの含有量は結構差があります。カルシウムと同時に強い骨を作るのに必要とされるマグネシウムの量もしかり。しまった、情報収集不足だった・・・ちなみに一般的に流通している商品ではイタリアの「クールマイヨール」、フランスの「エパール」、「コントレックス」などの順にカルシウムが多くなっています。


スーパーの配達を利用してめちゃくちゃいっぱい買いました(^▽^;) 
台所に置ききれない分は寝室にも積み上げています💦エパールはちょっと高い目なのと最大でも1リットル入りしかないのでクールマイヨールとコントレックスをチョイス。Ca含有量トップのクールマイヨールだけでいいんと違うの?と思われるでしょうが、味的にはコントレックスの方が好きなのです(コントレックスまずい、という人が日本人には多いので言いにくいのですが)。で、半々で注文しました。


マグネシウムやカルシウムの含有量に寄って硬水とか軟水とかいいますが、フランスの水はヴォルヴィックなどほんの一部以外はほぼ硬水。上記のミネラルウォーターは超硬水と呼ばれます。最も硬いクールマイヨールの硬度は1600以上。エヴィアンで約300、ヴォルヴィックで60、日本のミネラルウォーターはだいたい10とか20とかだそうです。
コントレックスのラベルには1リットル飲めば成人が1日に必要なカルシウムの58パーセントが摂取できる、とありますΣ(゚Д゚) すごくないですか・・??というわけで、喉が乾かない体質で普段ほんとに水飲まないんですけど無理して最低でも1日1リットルは飲んでいます。もちろんチーズやヨーグルトなどの乳製品は毎食取り入れています。こちらは大好きなので問題ありません(*^^)v なにせ左だけで2本も思いっきり折れたのでしっかりくっついてもらう必要があります💦


サプリで唯一買ったのはこれ「タラの肝油」。カルシウムの吸収に必要と言われるビタミンD、これは毎食とる自信がないのでとりあえず・・・。日光浴でもいいようですがお天気イマイチの日が多くてあまり外にも行っていません💧



今日のテーマ「アイベックスのメスと子供たち」
カルシウムとは何の関連もないお山のスターの写真を今日は見ていただきたいと思います。少し前にマーモットの写真を載せましたが、今の時期、冬眠から目を覚ましてピョコピョコ走り回っているマーモットと違って、冬眠はしないアイベックス。ソロで見かけることもありますが、グループでいる場合はオスはオスだけで、メスはメスばかりまたは子供たちと一緒にいることがほとんどです。今日はメス、子供たち編です。
ちなみにアイベックスはフランス語でbouquetin(ブクタン)と言いますが、メスを特にétagne(エターニュ)と呼ぶこともあります。といっても一般的にはまず知られていない単語で、知ってる人はかなりの山好きと見ていいでしょう^^;


ベルドンヌ山塊、2018年10月
アイベックスは先日紹介したシャモア同様、野生のヤギなので羊などと同じで乾燥した場所でも食糧となる植物を探し出すことができます。緑が青々としたところよりは、ガレ場、ザレ場でのほうがよく見かけます。


セルス山塊、2017年2月
友達とスノーシューハイキングをして雪がほとんどないところまで下りてきて出会った幼いアイベックス2匹とメス一匹。お母さんでしょうか・・・
このように冬の間は雪の少ない標高の低いところに下りてきて草や木の芽など食べ物を探している姿を見かけます。夏の間は主に標高2000m以上くらいのところで朝夕の涼しい時間帯を好んで行動します。


アンバン山塊、2017年10月
モン・ダンバン(3378m)に登る途中にお昼休憩していると雪渓を横切りやってきたメス。ゆったりとした優雅な動きで景色を眺めていました。わたしが近くにいても気にするどころかおっとりとこちらを見つめてきました。たった数分間のことですが、不思議な時間を共有しました。


モン・スニ山塊、2017年9月
メスと子供たちという典型的なグループ。影も絵になります。


エクラン国立公園、2016年9月
2700m台の避難小屋に1泊した際、日が暮れかけると高いところから次々にアイベックスが下りてきました。


逃げるともなくこちらの様子を伺うメスと赤ちゃん。


赤ちゃん、可愛い😻


これも同じ日のほぼ同じ地点で。多くの若いアイベックスが集って遊んでいました。角をぶつけ合って遊ぶやんちゃも。


これは翌朝、避難小屋からヴュー・シャイヨール(3163m)に登って下りてくるときに出会ったアイベックスの親子。ほんわかと暖かい気分になります。


アルプ・グレ山塊、2016年9月
エギーユ・ド・ラ・グランド・サシエール(3745m)に登る途中に見かけたアイベックス。


同じ日の帰り、下山途中で出会った群れ。行きに見かけたのと大体同じ場所だったと思います。



次回か、近いうちにオス編をやります。オスはメスに比べてくるりと大きく立派な角を持っています。
最後までお付き合いくださってありがとうございました。