フランスで山歩き

仏リヨン在住、40歳を過ぎて再び山に目覚めた元ワンゲル部員。週末になるといそいそと山に出かけています。

中1日で再びスノーシュー

日曜日に友達とワイワイと賑やかにスノーシューで歩いて中1日の火曜日、またまた晴天の予報だったので、ひとりでスノーシューをしに出掛けました。
クリスマス明けから先月下旬までほんとうにひどいお天気だったので、行けるときに行っとかないと・・という危機感があります💦
実際に12月と1月はフランスは観測史上以来、同じ時期で比べて最も降水量が多かったそうです。
行き先は2日前と趣向を変えてサヴォア県方面にしました。片道2時間半強の道のりです。


標高1566mのテレグラフ峠でトイレ休憩です。うちから2時間ほど運転したところです。ツール・ド・フランスをはじめ自転車レースのコースによく組み入れられており、峠にはサイクリストの大きな像があります。


峠にはお店やカフェはありませんが、駐車場のある広場になっておりトイレもあり、ツール・ド・フランスについてや周りの観光案内を示した看板が設置されています。
2~3年に一度くらいの間隔でツール・ド・フランスのコースに組み入れられ、前回(昨年7月)にも今走ってきた道路が入っていました。


この峠は1566mと標高は大したことがありませんが傾斜はそこそこあります。そして昨年の行程では同じ日にラ・クロワ・ド・フェール峠(2067m)とガリビエ峠(2642m)というふたつの「HC(オー・カテゴリー)=特別にキツイ」扱いの難所が入っており、全日程の中でも厳しい日であったことが想像されます。今日スノーシューをするつもりでいるのは、このガリビエ峠の近くになります。


ちなみに、2015年にもツール・ド・フランスがこの地方を通過する予定だったのですが、コースのうち一部で大規模な地滑りのためトンネルが閉鎖されたことで道路自体も閉鎖(復旧工事に2年半かかり、ようやく昨年末に再オープンしました)、コースが変更となってしまったそうです。ツール・ド・フランスが来るとかなりの集客効果になるので、その年、こちら方面の人はがっかりしたことでしょう。


この日のレースの終着点はわたしが昨年12月初めにハイキングしに行った辺りの町、セール・シュヴァリエだったようです。
レースはこの翌日にはイゾアール峠~ケラ山塊~ブリアンソンという、これまたわたしが12月半ばにスノーシューハイキングをした地方を通過しています。山歩きをしていると、このようにツール・ド・フランスの足跡に少なからずも重なることがあります。


早くハイキングの出発点に着いて朝の光の中歩きたいのだけど、トイレ休憩していると丁度遠くの山の後ろが明るくなってきました。車に乗ってしまうと多分見えなくなってしまう方向なので、とりあえずしばらくこの景色を見ていたくなり、10分弱くらいですけど長居をしていまいました。


さて、あと30分ほど運転しないといけないので出発です。先ほど載せたツール・ド・フランスのコースの傾斜のグラフを見ていただいても分かるのですが、テレグラフ峠のあとは比較的平坦な道がしばらく続きます。


このエリアにはふたつスキー場がありますが、そのうち大きい方のヴァロワールを通過します。この町から換算するとガリビエ峠への道路は平均斜度6,8度(最大11度)となるそうです。


そこそこの規模のスキー場なのですが、昔からの村を中心に広がっており、大きなシャレーホテルなどは中心からは離れたところに目立たないように建てられているのでビジネスが先行して景観の均整を失ったマンモススキー場とは一線を画した上品さがあるように感じられます。


スキー場の町を通り過ぎ、道路はほんの少し登り坂になります。間もなく「ガリビエ峠(道路)・閉鎖」の看板があります。峠道路はここから数キロのところで昨年11月初めから閉まっており、再開は5月31日の予定になっています。


ちなみにガリビエ峠は国内で4番目に標高の高い峠道路で、他の標高の高い峠道路はこれと大体同じような日程で実に年間7ヵ月間は閉鎖されていることになります。これはハイキングに行くときにスノーシューやアイゼンがいる期間とおよそ重なると言えると思います(^^;
以前に「冬には行きたいところに行けない」といった内容のブログを書いたことがありますが、多くの林道が雪のため閉まっているのはもちろんのこと、峠道路の一部は完全閉鎖、基本的に冬でも開いてる峠道路も天候次第でいきなり閉鎖されたりします。こういう標高の高い峠道路はハイキング関係なしに運転していても楽しいものですが、初夏から秋にかけてだけのお楽しみだということです・・・


そして間もなく目的地の村に到着します。


出ました!おやすみ村です(^▽^;) (Bonne nuitはグッドナイト、おやすみ)
おととしの晩秋にこの村からハイキングをして、日が短い時期でしたので1600mの高低差を歩いて登った3230mの山から下りてきて駐車場まであと少しというときに真っ暗になってしまい、なんでおやすみ村っていうのか分かったような気がしたのでした…
なお、ゆっくり余裕をもって登頂したい人は2260mの地点にある山小屋に1泊することもできます(^^;)


駐車場は村と道路の間に設けられた小さなスペースです。除雪はそれなりにされているものの凍結していて傾斜もあるため、そろそろと上ろうとするとスリップして上れません(;´Д`) 2度チャレンジしてダメだったので、もうひとつ候補として考えていたハイキングコースにしようか・・・とさらに車を走らせます。道路が行き止まりになった地点からしばらく道路を歩いてから山に入ることになるので、車を停めるのは簡単です。ただ、改めて地図を見てみると。。道路の部分が長い(~_~;) あかん、これいらんパターンや・・・


また元来た方面に向かいます。おおっ、朝焼けがキレイ✨得した気分。


傾斜のある難しい駐車場の他に、2~3台停められる小さな🄿マークのスペースが道路わきにあったので、ここだ♪と停めようとすると、レストランかなんかの専用駐車スペースだみたいなことが書いてあります_| ̄|○
仕方ない、やっぱりあそこか・・・先ほどスリップして上れなかった坂、3度目の正直で勢いを付けて遠くからチャレンジすると何とか上れました(´▽`) ホッ
雪のところは慣れなくてヘタクソなので無駄に時間を使ってしまいました。


おやすみ村の駐車場、標高1660mです。冬の出発地点としては標高高くて嬉しいです。だから選んだというのはありますが(^^;
目的地は山スキーヤー向けコースとして地図に線が引っ張られている2865mの山頂、ポワント・デ・ラティシエールに定めました。


はーーしかし歩き始める前から既に疲れてしまいました(精神的に)。
これだから冬は困ります(-_-;)
テレグラフ峠で写真撮ったりしてたのと、目的地周辺でやたらウロウロと時間食ったのでグーグルマップが計算してくれた2時間半強をはるかに上回って3時間以上かかって到着しました( ̄▽ ̄;)


雪用ズボンを履いたり準備をしていると一台の車が駐車場にやって来ました。わたしみたいに何回もチャレンジしないで一回で上ってきました(^-^;
中年の男性が降りてきたので挨拶しました。


ここから少し上がったところにシャレーを持っていて、雪が数日前にいっぱい積もったみたいだから雪かきしに来た、と言います。住んでる家でもないし、今からしばらく滞在するとかでもなく雪かきだけしに来るって珍しいな、と思ってると自分と息子で改築したばかりでまだ工事は終わっておらず、最近暴風雨がきたり雪がものすごく積もったりしたから大丈夫なのか心配で見に来たんだ、と実情を話してくれました。


シャレーの場所はわたしも通る予定の場所からすぐなので、一緒に歩くことになりました。


まずは小さな川を越えます。
この後結構傾斜のある森の部分を登っていきますが、トレースでしっかり踏み固められていてスノーシューなしで歩けました。
歩きながらシャレーの工事のお話を聞きました。奥さんの家系が昔、牛の放牧をしていた時のシャレーで、おそらく雷で火事になってしまってからは長いこと廃墟になっていたのを最近息子名義にして自分たちで少しずつ工事を進めてるんだ、と話してくれました。


森を抜けて、その昔は放牧をしていたらしいエリアに到着しました。


おおっ、建物が見えてきました。
が、これはおじさんのシャレーではありません。地図にも載っている小さな集落です。


こんな可愛いシャレーが3軒ほどあるだけの集落、レ・ゼギーユです。1845mなので駐車場からほんの短距離で200m近く上がったことになります。ぶっちゃけ、今回のハイキングで唯一傾斜のキビシイところでした( ̄▽ ̄;) 
あと頂上付近も少し急というか岩々で難しいところがほんの少しありましたが。


遠くにおじさんのシャレーが見えてきたとことで1枚写真を撮ってもらいました。奥に見えているのがそれです。


おおっ、確かに不自然に(笑)新しいです。
ちなみに少し上にキャラバンと物置みたいなのがありますが、このキャラバンで夏の間工事中は寝泊まりしていたんだとか。なんでも土台だけしかなく、壁を作るところから始めたんだそうです。このふたつの大きなものや一部の重たいものをヘリコプターで運んだ他は毎回自分たちで40キロ50キロ背負って先ほどの斜面を登って来たらしいです(*_*)


小屋の周りをぐるっと回りつつ何枚か写真を撮られていました。きっと今までの記録の写真もたくさん撮られていることでしょう。


「わー、やっぱり結構積もってるなー・・・入り口、二つ作ったけどどっちからも全然入れないよ(笑)」
中にはまだ何もないとはいえ、見せてもらうことになってたんですが、これは雪かきに時間がかかりそうなので待ってられません(^^;


この丸太も、伐採した木のまま購入して自分で加工したそうです。すご過ぎないですか?と聞くと自分は家具職人なので木の扱いには慣れてるんだよ、とおっしゃっていました。
コンクリートのブロックの上から木の板を張り付けて飾るつもりだそうですが、もちろんすべての工事は春の終わりか初夏に雪が融けてからになります。


この1821と年代が彫られた石だけ、元々使われていいたものだそう。記念に壁に組み入れることにしたそうです。


日が高くなってきました。


「じゃあわたしはこのへんで」
「散策楽しんでね」
「雪かき頑張ってください」
「じゃあまた夕方にね」(・・って夕方通った時にはもうおじさん帰ってましたが😅)


気持ちの良い1日が保証されたも同然の太陽の下、おじさんに別れを告げ歩き始めました。



次に続きます。

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