フランスで山歩き

仏リヨン在住、40歳を過ぎて再び山に目覚めた元ワンゲル部員。週末になるといそいそと山に出かけています。

美大生の男の子たちと過ごす避難小屋の夜

立地条件も、小屋自体も最高な避難小屋に泊まって、先月スキーハイキングしたときのお話です。


避難小屋に向かう最中に出会ったスノーシューの二人の男の子。
わたしが午後の散策に出掛けてまた小屋に戻って、しばらくすると、帰ってきました。


わたしはハーブティー、彼らは持参のビールを飲みつつ小屋内でおしゃべりしていました。ふたりは美大に通う学生で、同級生なんだそうです。避難小屋に泊まってハイキングするのはまだ2回目だと言っていました。冬の泊りがけハイキングも初めての経験で(その割にはこの小屋に3連泊😅)スノーシューも近くのスキー場でレンタルしたものだそうです。


普段なら夕方に小屋内で寛ぎ始めたら、もう外で何かをする気は起らないのですが😅、そり遊びをしに出たふたりが戻ってこないので、わたしも少し外に出て見ました。
そんなに寒くないし、曇り空だけどそれがまた味があってきれいです。
急いでスキーに滑り止めを貼って、小屋の裏の斜面をしばらく登りました。


そり遊びに熱心なふたり(^-^;
遠くの空は晴れているのに、昼過ぎからこの辺りだけ少しずつ雲が広がってきて、かなり低い位置まで下りてきています。秋にこの小屋に2泊したときも、2日とも夕方には雲が立ち込めてきていました。周りを高い山に囲まれた盆地であること、無数の湖や小川があることで、湿気が溜まりやすいのだと思います。
小屋内の湿気もひどくて、マットレスは全て紐に吊るしてありました。


夕暮れ空の中、小屋の近くをスキーで下りてきた動画です。
👇12秒間です。

Sunset Taillefer
小屋の裏を10分ほどだけ登って、小屋の少し下まで下りる、を2度繰り返しました。
あんまり下りると、また登ってくるのが大変なので( ̄▽ ̄;)適当なところで止まります。


たまたま止まった場所にエリカ(ヒース)が雪から顔を出していました。


夕日の中、スキーするのはあまりないことなのでほんの少しだったけど、小屋から出てきて良かったです。


小屋前から。
ツール・ド・フランスでも有名なスキー場、アルプ・デュエーズを擁するグランド・ルース山塊が正面です。山塊名はあまり有名ではありませんが、最高峰は3465mあります。


中央奥はサヴォワ県で、3つの特徴的なとんがりのエギーユ・ダルヴ(3514m)などが見えています。ふたりはお山初心者のようで、あまり山の名前を知らないのでいくつか代表的なものを教えてあげました。


外が暗くなってきたので小屋に戻りました。
ろうそくに火を灯します。


サラミを切ってふたりにも分けてあげました。


雪を融かし中のふたり。お料理に使うんだそうです。余計に作るから一緒に食べようよ、と言ってくれました。
この避難小屋の素晴らしいところは、ガスボンベがあって火が使えることです。
ボンベが空ということもあり得るので、わたしはジェットボイルを持って来てるし、ここのガスは使いませんでした、


バターでマッシュルームを炒めています。野菜とかバターとか避難小屋に持ってくる人はフランスではあまりいないのでちょっとびっくりしました。そしたら「3日も滞在するから、小屋ライフも楽しくないとね」だそう。避難小屋・お山初心者にしては良い心がけ!?をしています。
ひとつ前の、雪を融かしていた鍋はここの小屋にあったものですが、この鍋は自分たちで持って来たものらしいです。避難小屋って、結構色々なものが置いてあんですが、実際のところ何があるかは行ってみないと分からないし、あるはずのものでも、壊れていたり、派手に汚れていたり、なくなっていたりするかもしれません。結局自分たちでも持って行くから、使わないことも多いんですよね・・・
それに加えてわたしの場合、小屋の食器や鍋などを使うと、きれいに洗うのが面倒くさいので(お湯はもちろん水道もなく、汚れを落としにくい)、ほとんど使うことはありません。


雪を融かした水が湧いたので、ご飯を炊いています。


前もってバター炒めのマッシュルームをよそっておいて、そこに茹でたご飯を足します。


マッシュルームは底なので、よく混ぜて・・・
ふたりはグラーナ・パダーノ(パルムザンみたいなチーズ)持ってきていたので。それを最後にかけていただきました。


おお、なんとワインまで✨
ありがとう(≧∇≦)


木があまりないので、ご飯を食べ終わるまで薪ストーブに火を入れませんでした。
ようやく点火です(^^♪


薪ストーブの上に濡れた靴を置くふたり。
熱くなりすぎるとゴムの部分が融けだしたりするので、注意ですよ(;'∀')


翌朝編に続きます。
お読みいただいてありがとうございました。

お気に入りの避難小屋で過ごす午後

昨秋に2泊した、中々いい感じの避難小屋にスキーハイキングで泊まりに来たときのお話です。


標高2000mちょいの地点に立っているラ・ジャス避難小屋。
夏の放牧期間には羊飼いさんが寝泊まりすることもある小屋らしく、屋内には放牧に必要な道具が片付けてありました。
この小屋は、数年前からハイキング中に何度か通りがかったことはあったのですが、実際に泊まったのは昨年の9月が初めてでした。
朝の避難小屋前にて👇

朝日に照らされる草紅葉が進んだ地面と山肌が美しかったです。
その時は2泊して、正面真ん中のお山、山塊最高峰になるル・タイユフェール(2857m)に登ったのでした。


一番初めに通りがかった時の写真も載せておきます。
2017年4月下旬でした👇

この次の年に改装工事が行われ、今のような外観になったようです。


シュラフなど、要らないものを少し出して軽くなりました。
今から少しお散歩に行こうと思います。考えていた2500m台のお山は日当たりが良過ぎて雪解けが進み、地面が露出し過ぎていたのでスキーで下りることは難しそうでした。
もう少し手前の稜線はここから見る限り真っ白なので、そちら辺りを適当に目指して登っていきました。


30~40分ほど、避難小屋の裏の斜面を登っていきました。
平たいところに着くと、ものすごい風です(>_<)
恐ろしい風の音を動画で感じてください。
👇ぐるっと360度、13秒間です。

Une rafale sur le plateau des lac
 もう少し奥まで進みたかったのですが、完全に心折れました_| ̄|○
ここで避難小屋まで引き返すことにします。


しょっちゅう風が吹き荒れる場所なのでしょう、雪が吹き飛ばされて薄くなり、決して滑りやすい雪ではありませんでしたが、新しいスキー板は今まで使っていた60㎜幅よりも広めの76㎜、重さも690g→1000g、と安定は良いはずです。確かにちょっといい感じがしました(多分😅)。


避難小屋に戻ってきました。
小屋の外には磁石と温度計の着いたキーホルダーが置いてあり、12度くらいあります。
これは先月にお話なのですが、2月にしては暖かい週末だったのを覚えています。
キーホルダーは小屋に泊っている男の子たちのものでした。


登った先でおやつタイムにしようとジェットボイルなどを持って行ってたのですが、強風でお茶どころではありませんでした(;^_^A
ここは風が少なくて、寒くないのでお湯を沸かして飲み物を作ることにします。
小屋から少し歩いたところに小川が流れているのですが、あいにく雪の下です。少し残っている水に雪を足しました。


お日様のある間は小屋内よりも外の方が暖かいので、日向ぼっこしながらおやつにしました。インスタントコーヒーかお茶かハーブティーか、日が経ちすぎて何を飲んだのかすっかり忘れてしまいました💦


1月末に遠征したスペインで買った、オリーブオイルを使った薄甘いお煎餅。
2パック買って帰ったので、この時点でまだいくらか残っていました。次男にも味見させましたが「うーん、おいしいことはおいしいけど、大好きな感じではない・・・」とモゴモゴ言っていたので、遠慮なくひとりで消費しました。


こないだも書きましたが、食べるたびに気になるお姉さんのイラスト。
「この点線で半分に折って、こうやって欠片まで残さずに食べろよ」の押しつけがましいメッセージ入りです(読めないけど多分)。見るたびにイラストの人がわたしに似ているような気がしてなりません・・・


自分ち感覚で小屋前でまったりしていると、ソロスキーヤーさんが登ってきたので、しばらくお話しました。少し遠い地方から来られた方で、地元の山岳協会のリーダーをされているんだとか。この冬のうちに、小屋から近い前述の山塊最高峰のお山にグループを引き連れてやって来る予定なので、今日は下見に来たとおっしゃっていました。


男性が行ってしまってから、わたしも小屋に一度戻りました。
ここの避難小屋の魅力は何といっても、立地条件です。
このように出入り口からの景色も最高なのです。


小屋内のチェックでもしてみよう・・・

食器とかロウソクとか。
写真には撮らなかったけど、お鍋やフライパンもあります。


ゴミ袋、洗濯ばさみ、洗剤、トイレットペーパー。
そして大事なもの、ノコギリ。薪ストーブに入れる木を切るのに不可欠です。


食料品もいくらかあります。
缶詰とか・・・


食品が入っている透明のプラスチック容器は、ウォーターサーバーのボトルです。
泊まった人が余った食料を置いて行って、必要な人が使えるようになっています。
冬場はいないかもしれないけど、避難小屋には大抵ネズミが出るので、食べられないようにきちんと戸が閉まる棚や、容器に入れておく必要があるのです。


ビスケットやパスタ、粉末のインスタントスープなど。
おっ、オイルサーディン。ひまわり油でなくオリーブオイル漬けの高いやつだ・・・


食べかけのチョコレートケーキ?💦
しかも手作りっぽい(;´Д`)💦
こわ・・・


ジャガイモが置いてある(^-^;
男の子たちに後に聞いてみたけど、彼らが持って来たのではないと言ってました。
そして彼らいわく、ネズミは全然出ないそうでした。


夕方~夜編に続きます。
お読みいただいてありがとうございました。

避難小屋みつかってホッ

先月、新調したばかりのスキー板を持って一泊スキーハイキングに出掛けた時のお話です。


駐車場から800mほど登った見晴らしの良いところでお昼ご飯にしました。
高低差800mというと、2時間もかからないかな、と思われるでしょうが、スキーを脱いだり履いたりの林道が長く、その後もトレースがなくてベストではないかもしれないところから様子を見つつ登ってきたので3時間近くかかりました(;^_^A
9秒間の動画でぐるっと景色をご覧ください
👇

Près du Refuge du Taillefer
日が経ちすぎてすっかり忘れていましたが、動画を見て思い出しました。
着いた時はそうでもなかったけれど、ご飯を食べ終わる頃にはかなり風が強くなってきたのでした。


新しいスキーは、前のものとシール(滑り止め)のシステムも少し違います。板の上部には四角い輪っかを引っ掛けるようになっていて、下の部分には「J」の形の部品を引っ掛けるようになっています。
わたしが使っていた板のシールはもっとシンプルで軽い代わりに、端っこが剥がれやすいという欠点がありました。


剥がした後は、くっつく面にプラスチックの保護シートを貼る人が多いのですが、わたしは今までの習慣で二つ折りにします。レンタル屋さんでもこうやってたし、専用の袋に入れるので、埃などが付く心配は特にないと思います。


夏のハイキングコース用の行き先看板が近くにありました。
後方に見えているのは営業山小屋(ヒュッテ)です。今の時期は管理人さんがいなくて、閉まっています。わたしが泊まるつもりの避難小屋はここから結構近くですが、行き先看板には書いてありません。
メインハイキングコース上にあるわけではなく、しかも吹きさらしにならない、ちょっと隠れた場所に建っていて遠くから見えないので、見つかるかドキドキしています。
秋に泊まった時も最初、見つけられなかったのです(;´・ω・)



それでも、9月に来た時からそんなに日が経っていないので、何となくは覚えています。
そちらに向かって下り始めました。


小川が流れている地点があり、近づいていくと、ふたりの若い男の子がいました。
その瞬間👇

Vers le ruisseau
この日出会う初めてのハイキング客でした。スキーではなくてスノーシューを履いています。避難小屋に今から行くというと、なんと彼らは既に2泊していて、今晩が最後の夜なんだそうです。
「避難小屋、見つけにくくなかった?」と聞くと、
「全く!最初見つけられなくてちょっと探したよ。でも今、小屋から歩いて来たから僕らのトレースについていったら、到着するよ」


小川を渡った後、振り返って。
少し登らないといけなかったのでハの字で進みました。
ふたりは写真を撮るのが好きだそうで、ちょっと良い目のコンパクトデジカメを持っていて、川面の写真を撮りまくっていました。


ふたりのスノーシューのトレース通りだと、かなりアップダウンの多い場所を通ることになるので、なんとなく平行してアップダウンのほとんどないところを選んで進んでいくと・・・


避難小屋、あった!!嬉しい♩の瞬間です。
👇到着する直前、15秒間の動画です。

Bergerie de la Jasse l’arrivée
心底ほっとしました(;^_^A


後ろが小高くなっているせいで、上から見ても見えないんです。
山頂だとか湖だとか、ハイキングの目的地にたどり着けなくても、残念なだけで特に問題はありませんが、泊まる予定の小屋が見つからないのは、かなり悪夢です・・・


わーい\(^_^)/
ラ・ジャス避難小屋、標高2010mになります。
Cabane(小屋)またはBergerie(羊飼い小屋)と呼ばれ、夏の放牧期間には羊飼いさんが滞在することもあるようです。


中は結構広く、屋根裏はない一部屋のみの造りになっています。
テーブルの上は男の子たちの持ち物でしょう。わたしは小屋に戻ってくる予定の時でも、自分の持ち物はまとめていくけど(;^_^A  
もう2泊もしていて、ふたりだけだったからもう誰も来ないと思ったのかもしれませんね。



マットレスが吊るしてあるのは、この辺りは湖がたくさんあり湿原のようになっているせいで、小屋の中は湿度がひどく、何でも湿りがちだからなようです。


薪ストーブに乗せてある木の枝は男の子たちが前日に拾いに行ったものだそうです。
森林限界は越えているし、森は少し遠いのですが、少し歩くといくらか枯れ木があると前回来た時に知りました。


ピンボケ失礼😓ベッドは2段ベッドになっていて、8人か、詰めたら10人くらいまでは寝られそうな広さがあります。
この後、次々に宿泊客が到着するとはあまり思えないけれど、分かりません。避難小屋に着いて、まずすることのひとつは寝床の場所取りです(^-^;
営業山小屋と違って予約できないから、早いもの勝ち的な感じなのです。もちろん、多少人数オーバーになったくらいなら、詰めて後から来た人も何とか寝られるようにするのが常識というか良識だと思っています。
男の子たちが上段に寝床を構えていたので、下の段の隅っこにマットレスを一枚敷いて、シュラフを広げました。もちろん冬用シュラフです。場所取り完了♩


ベッドの横には羊の放牧時に使うと見られるネットや電気柵がありました。
この小屋に泊まるのは2度目、2、3度通りがかったことも別にありますが、冬だったり春の終わりや秋で、夏の放牧シーズン(大体6月半ばから9月半ば)に来たことは一度もないため、羊飼いさんがいることは一度もありませんでした。


午後~夕方編に続きます。
お読みいただいてありがとうございました。