フランスで山歩き

仏リヨン在住、40歳を過ぎて再び山に目覚めた元ワンゲル部員。週末になるといそいそと山に出かけています。

放牧地の小屋でチーズ作り②&お昼ご飯

9月上旬の週末に知人Sさんの放牧地を友人Oさんとその息子さんA君と訪ねた時のお話です。シャレー(山小屋)で行う伝統的なチーズ作りに立ち会いました。


標高約2100mの地点にある小さな山小屋はほんの1週間前にチーズ作りができるように改築されたばかりです。干してあるのはチーズ作りに使う麻布。
小屋前の黒いのは小屋に滞在してしばらくチーズ作りを行っているFさん夫妻のワンちゃんです。


温めたミルクをレンネット(天然の凝固剤)で固めたものを専用の櫛のような道具でトウモロコシの粒ほどの大きさに攪拌してモロモロになったものをかき混ぜつつさらに50度まで温め続けます。


チーズの元になる固形分の硬さを確かめます。
まずは指で。そして面白いのは噛んでみて確かめます。歯の間でキュッキュッとなる弾力が必要なんだそうです。柔らかすぎる場合はもう少し余熱でかき混ぜ続けます。
この時点での固形物を何度か味見?テスト?させてもらったことがありますが、硬い目のモッツァレラみたいな感じです。


乳清と分離して底に沈んだ固形物を集めるための麻布。
鍋の真ん中にはステンレスのしなやかな棒が置かれています。


麻布の一辺をステンレスの棒に掛けます。もう一辺は口で咥えています。
おかしなポーズに見えるかもしれませんが、これが放牧小屋で伝統的に行われてきた手法(のひとつ)なんだとか。ちなみにFさんが若い時に伝統的なチーズ作りを教わったのはイタリアアルプスのアオスタ渓谷の放牧地だったそうです。


固形分をすくい取った麻布を吊るします。


柱が回転するので、こちらのプレス台の上に麻布にくるまれたチーズの赤ちゃん(とFさんは呼びます😊)を移動させます。


プレス台には木の枠組みを置き、真ん中に「赤ちゃん」を乗せます。



乳清の底にすくい残しが少しあるので(Fさんは上手にすくうので、ほんの少ししか残っていませんでした)、2度目をすくってチーズの赤ちゃんに付け足します。


これをプレスします。途中で布をもう1枚使って一度ひっくり返して形を整えます。
水分が残り過ぎていると、熟成に耐えるチーズにならないそうです。
ちなみに約300リットルのチーズから30kgほどのチーズができます。
しばらく水を切って持ち運びが可能になったチーズは麓の村にあるチーズ保存カーブに運びます。最低でも6か月ほどの熟成を経ておいしいチーズになります。少し皮が厚くなりますが、1年や1年半の保存も可能です。


プレス台の下に置いたバケツに余計な乳清が流れ出てきたのを、おいしそうに飲むフィルー君。乳清には乳糖やたんぱく質も残っているため、ほの甘いのです。


この辺りで流れている川の水を引いてきているホース。
流しが唐突に( ̄▽ ̄;)シャレーの前に置かれています。
チーズ作りに使った麻布を早速ここで洗います。


洗った布を速攻干す、Fさんの奥様のCさん。
さて、12時になるのでご飯の準備をしよう🎵


Oさんからの差し入れのメロンと生野菜。
パンとサラミはわたしがここに来る途中に買ってきたものです。
ワインはFさんから。ワイングラスがないのでお茶碗やコーヒーカップですが(;^_^A


シャレーには薪ストーブがあるので火を使った料理もできますが、Oさんが持って来たソーセージがあったので焚火でバーベキューすることにしました。


焚き火で便利な挟むタイプのグリル。Oさんの四駆に常に積んであるものです。


スムール(クスクス)をスパイスとオリーブオイルで味付けしたものを付け合わせにソーセージ2種類。ハーブ入りのものとピリ辛のものと。シンプルながらとても満足なランチでした。


わたしが家で焼いて持って来た蜂蜜胡桃入りケーキがデザートです。少しシナモンとジンジャーを入れてあります。


コーヒーとよく合いました😊


日向ぼっこのフィルー君。



お読みいただいてありがとうございました。
午後編に続きます。

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