フランスで山歩き

仏リヨン在住、40歳を過ぎて再び山に目覚めた元ワンゲル部員。週末になるといそいそと山に出かけています。

初体験のスペインの避難小屋

やたらと避難小屋の話が出てくるこのブログですが、ついに国境を越えスペインの避難小屋に泊まってスキーハイキングしたときのお話です。
同行者はプロヴァンス地方に住む友人Yさんと、そのお友達でトゥールーズ在住でピレネーに詳しいEさん。どちらも熟練山スキーヤーです。


標高約2000mのところにあるウィシェラ避難小屋に到着したのはお昼過ぎでした。
ここに2泊して周辺をスキーでハイキングする予定です。
この辺りは夏には羊の放牧地になるので、羊飼いさんが滞在する小屋なんだそうです。
そうか、だから地べたに・・・


羊の骨とか落ちてるんですね(;^_^A


2泊3日滞在する間の飲料水はとても持って来られないし、今の時期、川は雪の下です。
雪を融かして水にするので、到着早々避難小屋内にあった大きめの鍋に雪を入れて日向に置いておきました。夜までに少しでも融けてくれたら、ラッキーです。あとはバーナーや暖炉の火で融かすことになります。


避難小屋の前からの景色。
中央やや左に頭一つ飛び出ているのが、ピレネー山脈の最高峰、アネト(3404m)だそうです。アルプスはそれなりに馴染みがあるけど、ピレネーは普段からあまりに接点がなさ過ぎて、最高峰の名前も、それがどのくらいの標高なのかも、恥ずかしながら全く知りませんでした。知ってるのはツールドフランスがよく通る峠道の名前くらいです(;^_^A


避難小屋前に椅子を出してきて、遅い目のランチにしました。


スノーモービルをぶっ飛ばして、ありとあらゆる斜面の雪を傷め、時々スノボで遊んでいたスペイン人の若者カップル。わたし達同様、小屋のすぐ横でピクニックをしています。
「自然を大切にしない馬鹿者め・・・許せんっ」と怒っていたEさんなのに、ふたりに話しかけられると、思いのほか愛想よく英語で世間話をしていました( ̄▽ ̄;)


パンとチーズ、オイルサーディン、生ハムといういつもながらシンプルなご飯です😅


チーズはうちから持って来たもので、他は前日にスペインに入ってから調達した食料です。
生ハムはスーパーの計り売りコーナーで切ってもらったもので、そんなに高くなかったので期待していなかったのですが、あまりのおいしさにちょっと感動してしまいました。甘味さえ感じる深い味わいです。山から下りたら、うち用にもっと買おう!と思っていたのに、結局時間がなくて買えずじまいになりました(T_T)


食後にはインスタントコーヒー♩
デザートに、これも昨日仕入れたばかりのスペイン菓子を出してきました。


薄甘いお煎餅はスペインではとてもポピュラーなお菓子のようです。オリーブオイルが使われているんだそうです。
それに、トゥロンと呼ばれるカタローニャ地方のヌガーと、ちっちゃなドライいちじく。
どれもおいしい(≧∇≦)


後片付けをした後は、散策に出発です。
ふたりが準備が遅いので(正確にはYさんが特に遅い)、先に出ることにしました。
ふたりはとてもスキーが上手なので、ちょっと難しいところに行くようですが、わたしはすぐそこら辺をウロウロする程度で、どうせ行き先が違うのです。


奥の峠っぽくなってるところをめざすことにしました。
それにしても、このスノーモービル跡・・・ほとんどノンストップで延々と走り回っていました。フランスでは許可付きでスキー場や林道で乗ること以外は禁止されているので、こんなことは起こり得ないのですが、スペインでは禁止されていないのでしょう。
走り回った跡もさることながら、エンジンの騒音やガソリンの臭いも耐え難い酷さでした。


少しずつ登ってきました。
振り返ると、避難小屋が小さくなっています。


少しずつ急になってきます。


遠くから見るとなだらかな斜面の峠に見えていましたが、いざ登りだすと、最後の方は特に結構な傾斜がありました。でも、今の時間帯、お日様がよく当たって雪が柔らかいので滑るのは格別難しくなさそうです。


斜面を登りきると、ようやくスノーモービルのあとがほとんどない場所に来ることが出来ました。もう少し先まで行くつもりでしたが、この先下ることになるので、もうここで引き返すことにしました。


峠からの急な斜面を滑り下りたのち、避難小屋方面へとゆっくり滑ってると、歩いて来るふたりをを見付けたので、そちらへと向かいました。
そしたらEさん「頑張ったな。よし、これから俺らについてくる元気はあるか?」
はっ??わたし、もう今日の元気は使い果たしたんですけど(避難小屋に向かう荷物重たかったし💦)?と言いたいところでしたが、今下りてきた雪は柔らかくて気持ち良かったので、もう一回滑りたい欲が出てきて「はいっ、もちろん!」と返事していました(^-^;


先頭を行くEさんと、あとに続くYさん。
わたしが登った峠と平行した別の斜面になります。
日当たりが良過ぎて、雪がかなり緩んでいます。


登ってると暑くなってきて上着を脱ぐYさん。
柔らかい雪は下りるのはいいけど、どんどん急になってきたこともあり、登るのにはスキーがズルズルと滑って難儀します。


根性で進んでいくEさん。Yさんはゲンナリしてスピードダウンし、わたしと一緒に歩いています。ここでわたしがひとこと叫びました。
「Eさん!ありがとう、今日はもう十分満喫したので、わたしはここでもう下ります!それでは後ほど、避難小屋で」
Yさんも帰りたかったっぽいんですけど、まだどこにも登っていないYさん、俺も帰る、とは言えずEさんと登り続けるハメに・・・お疲れ様です(≧∇≦)


やれやれ、避難小屋に戻ってきましたε-(´∀`*)ホッ
ふたりが帰ってくるまで少しありそうです。
ゆったりしたくて、お湯を沸かしてお茶を飲みました。


夕方・夜編に続きます。
お読みいただいてありがとうございました。

ピレネー遠征・避難小屋へ

友達ふたりとピレネー山脈のスペイン側にスキーハイキングをしに行った時のことです。


前泊をした麓の村にあった周辺の地図。
アラン渓谷と呼ばれる地域のようです。今回誘ってくれたプロヴァンス地方に住む友人Yさんからは「ピレネーに行こう」としか言われてなかったため、それがスペインだとは思ってもいませんでした(^-^;
Yさんの友人でこの辺りに詳しいトゥールーズ在住のEさんと合流し、Eさんの知っている民泊に前夜は泊まったのでした。


とっても小さな村で道もすごく狭いので、男子二人にデミたんの方向転換をお願いしました(^-^;


3人分のスキーやらでかいザックやらで荷物が多いため、2台で行こうと最初は言っていましたが、デミたんになんとか3人分の荷物が入ったため(Eさんの車はデミたんよりもさらに小さいスマート・フォー4)1台で出発です。Yさんがそのまま運転を続けました。


村は1200mほどの地点にあり、車で行けるギリギリまで進んでみることにしました。
もう少し進めそうか、ここが限界なのか男子二人が様子を見に行ってくれます。


どうやら、このあとは雪が連続して残っているため四駆でない車では進めないみたいなので、ここから歩き始めることにします。


デミたんをヘアピンカーブの少し下の反対側(谷側)に移動させて停めました。
先ほどの場所でも道路幅に余裕があったから大丈夫やん?と思ったんですがEさんが「斜面側は落石の恐れがある」とナイス判断。なるほど~(;・∀・)


初めて見るスペインのハイキング用看板。
フランスだと黄色が主流です。


わたしもいつもより重たい荷物ですが、男子二人のザックは比じゃない重さです。
これはEさん。ザックに入りきらない食料のビニール袋が括り付けられています💦


最初の1時間ほどは雪が残っていないところも多く、何度もスキーを履いたり脱いだりを繰り返しました。4月5月のスキーハイキングのようです(;´Д`)


スキーを外して歩き中のわたしをEさんが撮ってくれました。
Eさんは結構よく写真を撮られる人で、お願いしなくても合宿中、何度も撮ってくれていました。


2時間ほど林道を歩くと、そうやく視界の開けたところに出てきました。
Eさん曰くあと30分くらいで避難小屋に着くそうです(^^♪


わたしはもちろん、Yさんもこの辺りは全く知らないのですがEさんは夏に来たことがあって、その避難小屋に泊まったそうです。4~5人くらいでいっぱいになってしまう小さな小屋なので、自分たち以外にグループの泊り客がいると厳しいね、と少し心配しながら歩いていました。


ここに限りませんが、営業山小屋と違って避難小屋は予約できないので、自分たちだけなのか、他に何人くらい泊り客がいるのかが全く分からないのが不安です。素敵な場所にある快適な避難小屋は人気があるから混むことも多いし・・・冬は夏に比べて全体的に泊り客が少ないのは確実ではありますが、、運任せです(;^_^A


途中で別の林道と交差している地点があり、そこからスノーモービルの走った真新しい跡があり、「これって避難小屋に泊まりに来る人だと思う?」と3人でドキドキしながら歩いていました。


Eさん。


山小屋が見えてきました。嬉しい♩
2泊する予定のウイシェラ避難小屋。標高約2000mの地点になるようです。
あれ?斜面にものすごい数のスキー?の跡が。ここってスキー場!?


若い男女がスノーモービルを乗り回しています(;゚Д゚)
高いところまで上って片方がスノボで下り、それをまた下で拾ってまた上がる、の繰り返しです。単に走り回って遊んでいるときもありました。
フランスは林道や一部のスキー場など、許可を得てスノーモービルに乗ることはできますが自然の中では禁止されています。スペインは違うのでしょうか・・・


うるさいし、ガソリン臭いし、雪の表面が傷んでスキーしにくくなるし、ゲンナリしてしまいましたが、スペインで禁止されていないのならわたし達が何かを言える立場ではありません。結局、昼過ぎまでさんざん遊んだ後、帰っていきました。途中からは疲れたのか、スノボはもうやらずにあちこち乗り回すのみでした。くまなく荒らされた雪の表面を見ていると腹が立ってなりません。でも避難小屋の泊り客ではなかったことをありがたく思うよう試みました(-_-;)


スキーを脱いで、避難小屋の中に入ってみましょう。


Eさんから聞かされていた通り、暖炉があります(*^^*)


正面から。
なんか大きな鳥の羽が飾ってありました。


屋根裏部屋に上がってみます。多くの避難小屋同様、寝室になっています。マットレスが3枚。他に泊り客があった時のためにエアーマットは持って来ていますが、結局この後、誰も来なかったのでこのマットを使うことが出来ました。


屋根に隙間があるみたいで、雪が少し積もっていました。


階下に再び下ります。
テーブルの上にはなぜか羊かムフロンの頭蓋骨が(;^_^A


午後編に続きます。
お読みいただいてありがとうございました。

スペインの民泊での夕べ

友達ふたりとピレネーのスペイン側にスキー合宿しに行った時のお話です。


プロヴァンス地方に住む友人Yさんと半日かけて車でスペインまで来ました。
Yさんの友人のEさんと一緒にスーパーで買い出しをした後は、Eさんの車に付いてお山方面へと向かいます。
山の麓にある民宿というか、民泊的なお宿に今晩は泊まるそうです。Eさんは以前に泊ったことがあるらしく、一人8ユーロで中々快適なんだとか。


着いた時はもう真っ暗で、外観はあまり見えませんでしたが、中の様子からもとても古い建物だということは分かります。わたし達の他に泊り客はいません。隠してあった鍵でドアを開け、電気も水道も切ってあったので、元栓を開けます。


ここでちょっとしたアクシデントが・・・
村は標高1200mくらいあり冬場は冷え込むことも多いため、宿泊客は帰る前に水道栓の水抜きをするように注意書きにあるのですが、前回に水抜きをした宿泊客が水を抜いたあと、水道のすべての蛇口を閉めるのを忘れていたため、水道の元栓を開けると同時にジャーっと水が流れ出し、それに気付くのに少しかかってしまったので、2階から水漏れがΣ( ̄□ ̄|||)
到着早々、雑巾を探して床を拭き拭きする作業に追われました(;^_^A


ピレネーのお山の麓の村だけあって、ビンテージなスキーやスノーシューが壁に飾ってありました。


なんと・・・
スノーシューや登山靴が無料でレンタルできるそうです。
スキーはさすがになかったけど(^-^;


広い居間には暖炉が✨
薪も物置き部屋にいっぱいあるので、男子が火を点けてくれます。


特に、自宅にも暖炉があるのでとっても慣れているYさんが率先して火起こし隊長になってくれました。


わーい(*^^*)
きれいな火になりました。


焚火・・じゃなくて暖炉の火を激写中のEさん。
Yさんはそうでもないんですが、Eさんはよく写真を撮る方で(インスタもブログもしてない割に😅)翌日からのスキーハイキング中もしょっちゅう景色の写真を撮っておられました。


男子が買ってくれていたワインなどでアペリティフにしました。
適当にジャケ買い!?してたワインにしてはおいしかったです。


台所の調理コーナー。


台所の棚には食器や調理器具が色々あり、調味料などもそろっています。


パスタを作り、お昼ご飯のピクニックで残ったパテ・ド・カンパーニュも食べました。


なんとお酒が色々置いてあり、勝手に飲んでいいんだとか。でもわたし達はワインがあったし、わたしはあまり強いお酒は好きではないし、いただきませんでした。


部屋の壁には立体登山地図が掛けてあります。


Eさんが明日から行くエリアについて説明してくれます。
彼はトゥールーズに在住で、一番近いお山であるピレネーにとても詳しいのです。


リビングの本棚にはたくさんの本が。ここの民泊のご主人はフランス人だそうで、本もフランス語のものが半分以上でした。


暖炉の火を入れたこの部屋は暖かいけれど、寝室は2階でかなり冷えています。
寒がりなわたしは、ひとりだけ寝室でなく暖炉の前にお山用のマットレスを引いて寝ました( ̄▽ ̄;)
寝室には毛布もありましたが、むしろお山用のシュラフ(マイナス5度までOKな冬用)を使いました。マットレスが薄いのでちょっと背中が快適ではなかったものも、シュラフは暖かく、まあまあ寝られました。


翌朝。
ふたりが下りて来ないので、お山に持って行くザックのパッキングをしました。
その後、3人揃って朝ご飯にしましたが、残念ながら写真を撮らなかったみたいで、探したけれど出てきませんでした。


わたしのスキーのエッジがいまいちだったため、Eさんが研いでくれました。
さすがは熟練山スキーヤー、そんなものも遠征に持って来てるんですね。


今回、スキー用のアイゼンだけでなく、普通のアイゼンも持ってくるように言われてました。本当に危ないところではスキーを脱いでザックに引っ掛けて、普通のアイゼンを靴にはめて歩くんだそうです。スキー靴にアイゼンが合うように調節してくれてるEさん。


建物の外観。


デミたんは前に停めてありました。
民宿の下の道はとんでもない急な坂道です。


村を見下ろして。


準備に手間取るYさん。
ちなみにわたしじゃなくて、Eさんが撮ったものです。お山の写真を後日送ってきてくれた時にこれも一緒に入ってました(^▽^;)


しかも2枚もあった(;'∀')
わたしとEさんはとっくに準備できていて、Yさんがパッキングするのをボケーっと見てました。


いざ、出発!編に続きます。
お読みいただいてありがとうございました。